孺禾(じゅか)根付彫刻展 「唐渡り」

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会 期
20240316日 -  20240324
開催時間
13時00分 - 19時00分
最終日18時00分まで
休み
月曜日
クリエイター在廊

3/16-17
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
ギャラリー花影抄
情報提供者/投稿者
開催場所
花影抄/根津の根付屋
住所
〒113-0031 東京都
文京区根津1-1-14 らーいん根津202
最寄り駅
根津
電話番号
03-3827-1323

詳細

展覧会内容

【ギャラリーより】

このたび、新しい取り扱い作家として迎えた孺禾 (じゅか)の初個展を開催する運びとなりました。孺禾は、中国吉林省出身の彫刻家・王坤(wan kun)と佐賀県出身の画家・百武由里子(ひゃくたけ ゆりこ)夫妻が共同で根付作品を作るユニットです。2人でひとつの作品を制作するスタイルは、私どもの扱う作家の中では初めてです。彫刻家と画家の共同作業であるからこその良さが発展していくことを願っています。

2人は、上海のディーラー「元気造物」が開催していた展示会で現代根付を知ったと言います。上海ではディーラーを中心に、中国人作家によるオリジナル作品としての現代根付の制作が、2016年頃から始まりました。そこから、ディーラーや作家が来日したり、2019年に私が上海の展示会にゲストで呼ばれて作家たちと会ったりと、交流を大事にしてきた経緯があります。しかしその後、コロナ禍による世界的な断絶期間を経て、根津の私たちと上海のチームも少し疎遠になっていました。そのコロナ期間の中で孺禾の2人が上海で現代根付と出会い衝撃を受けて作家になる決心をし、また国際結婚をして佐賀に戻り、日本で根付作家デビューをすることになった。このことは国境を越えたアジア地域での現代根付の発展のためにも、とても重要な一歩ではないかと考えました。こうして私どものギャラリーで孺禾のお二人の初個展を開催できることに、大きな責任と希望を感じています。

さて、この初個展のタイトルには「唐渡り」という言葉を添えました。これは海外・中国と日本の行き来を指し、また海外から来た良い物という両方の意味合いを含んだ言葉です。「孺禾」は「唐渡り」をしてきた2人組です。百武さんは上海に渡り、王さんと現代根付に出会いました。そして、王さんも百武さんと一緒に唐から日本へ渡ってきたわけです。この個人的な2人の物語とは別としても、この言葉は中国と日本の間を渡ってきた様々なもの、大きな背景についても考えさせてくれます。

日本美術について言えば、題材は遠い昔に中国から渡ってきたものがたくさんあります。「根付」も日本で独自の発展をした装身具・工芸品ですが、そこに表現されてきたもの、龍や麒麟などの霊獣たち、仙人や神様たち、西遊記や三国志のような物語など、やはり中国から渡ってきた題材も多くあります。身近に感じている鯉や亀(「クサガメ」)も、じつは遠い昔に渡って来て日本の里山に居ついた生物たちです。本展では、孫悟空、麒麟、龍、蝙蝠などの中国から日本に渡ってきた題材や意匠を中心に、10点あまりの根付彫刻を展示いたします。

そのようないろいろなことを思いながら、孺禾さんたちの初個展を開催したいと思っております。ちなみに、「孺禾」とは中国語で“小さな稲の苗"という意味だそうで、『まだまだ小さい自分たちですが成長していこう』という思いが込められています。様々な方に本展を御覧いただいて、今後の成長を見守っていただけましたら、作家共々、心から嬉しく存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

2024年3月吉日 花影抄/根津の根付屋 橋本達士

【作家の言葉】

初めまして、孺禾(じゅか)と申します。私たちは、中国吉林省出身の彫刻家・王坤(Wang Kun)と佐賀県出身の画家・百武由里子(ひゃくたけ ゆりこ)の夫婦で根付を作っています。中国と日本の国を越えた結婚をして、少し前までは中国に住んでいました。夫婦揃って日本で生活を始めて十ヶ月程になります。

根付と出逢い、たくさんの魅力(手で触れて鑑賞できる、緻密な技術の集積である、実用性も兼ね備えている、作品が受け継がれていく、木や鹿角など環境にやさしい素材である…など)を感じ、自分たちも根付に挑戦してみたいと強く思いました。

私たち夫婦が根付に惹かれるのは、根付との出逢いのタイミングも大きく影響しています。根付を初めて見たのは、コロナ禍によるロックダウンを経験した直後で、同時にウクライナとロシアの戦争も始まったころです。王坤の故郷、吉林省とロシアは国境を接していたので本当に身近な出来事だと感じていました。そんなとき、上海で現代根付の展覧会を観ました。会場に並んだ作品の中に、ウクライナとロシアの作家の名前がありました。日本、中国、ウクライナ、ロシア…国境を越えた作家の名前と作品を鑑賞しながら、民間レベルでは繋がっていられること、根付を通して集まった作家たちの心根を感じ、胸が熱くなりました。それは、どんな情報よりも確実で、説得力のある事実だと感じました。このような出逢いがあり、今は一日一日を大切にしながら、根付を制作しています。

日本で花影抄さんとご縁ができてから、制作に対しての心構えや、日本の美意識、根付を取り巻く環境などを学び始めました。作品を目に留めてくださった方から助言をいただける機会にも恵まれ、日本で制作できる環境に改めて感謝しています。

このたびの個展に向けた作品は、自分たちにできることを試し、サポートを受けながら仕上げたものです。もし機会が許すようでしたら作品や美意識についてご助言をいただけると幸いです。孺禾にとって、日本の美意識と根付について学ぶことは、長い道のりだと思いますが、生涯芸術として取り組みながら、技術面の向上も併せて謙虚に向き合っていきたいと思います。

今後、孺禾がどのように成長していくのか自分たち自身も想像しきれていない部分もありますが、花影抄さんや作品を目に留めてくださる方とやりとりをする中で、作品ができあがっていくことが楽しく、充実しています。この個展で学んだことを今後の活動に活かしていきたいです。

花影抄さんと、そこで出会える方とのご縁に、心より感謝申し上げます。

孺禾(王坤・百武由里子)

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