滋賀県立美術館 企画展 「今森光彦 里山 水の匂いのするところ」

「今森光彦 里山 水の匂いのするところ」ポスター
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    会 期
    20230708日 -  20230918
    開催時間
    9時30分 - 17時00分
    入場は16時30分 まで
    休み
    月曜日
    ただし祝日の場合には開館し、翌日火曜日休館
    入場料
    有料
    一般 1,200円(1,000円)、高校生・大学生 800円(600円)、小学生・中学生 600円(450円)
    ※( )内は20名以上の団体料金 ※企画展のチケットで展示室1・2で同時開催している常設展も無料で観覧可 ※未就学児は無料 ※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方は無料
    作品の販売有無
    展示のみ
    この情報のお問合せ
    滋賀県立美術館
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    滋賀県立美術館
    住所
    〒520-2122 滋賀県
    大津市瀬田南大萱町1740-1
    最寄り駅
    瀬田
    電話番号
    077-543-2111

    詳細

    参加クリエイター

    展覧会内容

     1954年、滋賀県大津市に生まれ、第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞、地域文化功労者文部科学大臣表彰をはじめ、数々の賞を受賞している写真家・今森光彦の写真展を開催します。今森は、学生の頃から世界各国を訪問し、熱帯雨林から砂漠まで、その自然に生きる生物とそれらを取り巻く環境を撮影してきました。1992年、写真雑誌『マザー・ネイチャーズ』夏号に「里山物語」を発表。以後、滋賀・仰木地区の琵琶湖を望む田園風景の中にアトリエを構え、自然と人の関わりを里山という概念を通して撮影し続けています。本展では、今森が長年撮り続けてきた滋賀の里山を通して、水の循環に着目しました。撮影の中で出会った水の匂いに、自身の原風景を思い出したと言う今森は、里山における水の循環を、生命の循環とともに写しとっています。水は奥山から人々の住処を流れ、琵琶湖へと戻り、大気を通して再び大地へと還ってゆきます。里山に宿る多様な生態系と、その土壌となっている豊かな環境は、私たちの忘れてしまった原風景を、水の匂いとともに思い出させてくれるかもしれません。

    展示構成

    第1章 はじまりの場所
     自然写真は、ネイチャーフォトとも訳されます。しかし、今森光彦にとっての自然は、西洋的なネイチャーではなく「自然(じねん)」なのだといいます。「自然(じねん)」は、元々は仏教用語。今森は動物も生き物も人間も同じ立場だという考え方として捉えています。奥山で撮影された《トチの実を拾う人》に見られるように、今森の撮影する里山の写真も、この「自然(じねん)」の概念に根ざしたものです。
     さて、水の旅のはじまりの地、水源地でもある原生の森の地表からにじみでる水は、多くの生命を養いながら、沢となり、渓流となります。産卵のために渓流を遡上するビワマス、渓谷の落ち葉の中に佇むカモシカの骨、お盆の時期に先祖を供養するためにおこなわれる「おしょらいさん」など、水と土の匂いのなかに生命の循環があるのです。

    2章 萌木の国
     今森光彦は、クヌギの古木「やまおやじ」を守るべく、1997年に滋賀県マキノ町(現・高島市)の雑木林を入手しました。空撮された雑木林は、その広大さをあらわしています。切っても切っても萌えぐ。この雑木林を今森は「萌木の国」と名付けました。
     雑木林は人の手が入らないと成り立ちません。雑木林を管理しながら、今森は四季の風景やそこに生きる生き物の写真を撮影しました。植物や昆虫の写真は、彼らのポートレイトであり、生命の持つ力強さや豊かさを私たちに教えてくれます。

    第3章 光の田園
     小さい頃から熱帯雨林に憧れていた今森光彦は、19歳の頃に東南アジアを旅します。インドネシア・スラウェシ島とバリ島のアグン山を囲む棚田の神々しい風景に感動し、帰国後、生まれ故郷である滋賀に同じ風景を見出しました。
     比叡山の東麓に位置する大津市仰木の棚田は、今森が「里山」をテーマとするきっかけの地でもあります。同地にアトリエを構え、はじめは棚田に生きる生き物を主に撮影していた今森ですが、次第に生き物の住む環境を意識し始めました。里山としてその環境を撮影し、1992年、雑誌『マザー・ネイチャーズ』夏号に「里山物語」を発表。後継誌『SINRA』に受け継がれたこの連載で、木村伊兵衛写真賞を受賞し、写真集『里山物語』に繋がりました。

    第4章 湖辺の暮らし
     二人の漁師との出会いによって、今森光彦は改めて琵琶湖に目を向けます。漁師のうちの一人である福沢常一さんから漂ってきた匂いに強い郷愁を感じた今森は、「藍(あお)い宇宙」ともいうべき、湖辺のイメージが頭の中を駆け巡ったと言います。今森はまた、もう一人の漁師である田中三五郎さんが暮らす、高島市新旭町針江地区の「かばた」での思い出を「水の匂い」と共に語っています。「かばた」は、集落の中を巡る水路やその水を生活用水に利用したシステムのこと。「水の匂い」とは、人間と生き物の営みが複雑に混ざり合った、里山を象徴する匂いなのです。

    第5章 くゆるヨシ原
     近江八幡の水郷には、美しいヨシ原の風景が広がっています。今森は、晩秋の深いセピア色に染まるヨシ原の眺めに、はるか昔の琵琶湖を思うのだと言います。
     冬、ヨシ刈りを経て現れる、3メートルほどの高さのあるヨシでつくられた円錐形の物体は「丸立て」と呼ばれ、ユーモラスな形をしています。ヨシ刈りの後におこなわれるヨシ焼きは早春の風物詩。跡地には2週間もするといろいろな植物が芽吹きだします。ヨシ焼きをおこなう土地は、今では少なくなってしまいましたが、人の営みと生命の循環が組み合わさった風景でもあります。

    第6章 還るところ
     今森の主な撮影地は琵琶湖の西側、すなわち湖西です。湖西は琵琶湖と比良山系に囲まれた自然豊かな土地。そのため奥山や棚田、雑木林などの奥地を撮影していても、その土地の何処かでは琵琶湖を見ることができます。巨大な湖は、田んぼや川とつながり、生物の命の流れと重なり合っています。
     山々から下った水の流れは、湖で終わるわけではありません。琵琶湖では、冬から春にかけて、琵琶湖の深呼吸という現象が起こります。寒暖差によって、表面の水と底の水が入れ替わるのです。つまり、琵琶湖という広大な水の器のなかでも、循環が起こっているわけです。そして水は、湖の表面から時間をかけて、大気へと昇り、山々へ還ってゆきます。

    関連イベント

    ◆今森光彦 スペシャルギャラリーツアー ※事前申込制(6/15 申込開始予定)/抽選
     日時:9月17日(日) 14 時から(約90 分) ※要観覧料
     会場:滋賀県立美術館 展示室3
     定員:20名
     内容:作家・今森光彦氏本人が会場をご案内するスペシャルギャラリーツアーを開催します。

    ◆アートにどぼん!たいけんびじゅつかん拡大版
    「切り絵ワークショップ 里山を作ろう!」 ※事前申込制(6/15 申込開始予定)/抽選
     日時:2023年8月15日(火) 午前(10時から12時)・午後(13時30分から15時30分)
     会場:滋賀県立美術館 ワークショップルーム、展示室3
     対象:子ども(幼児~中学生)とその保護者
     定員:各回15名(子ども)とその保護者
     参加費:無料 ※保護者の方は観覧料(団体料金)が必要
     内容:切り絵作家としても活躍する今森光彦氏をむかえ、子どもとその保護者を対象に、ワークショップとギャラリーツアーを開催します。

    ◆びわこ文化公園3館(滋賀県立美術館・滋賀県立図書館・滋賀県埋蔵文化財センター)連携共同事業
    「講演会 ヒトと自然のかかわりから見た近江」 ※事前申込不要/当日先着
     日時:2023年9月2日(土) 14時から(約90分)
     講師:堀 真人(滋賀県文化財保護協会)
     会場:滋賀県立美術館 木のホール
     定員:70名程度
     内容:ヒトと自然は、どのようにかかわりあってきたのでしょうか?
     滋賀県文化財保護協会の堀真人氏をむかえ、近江と瀬田丘陵、そしてヒトの営みについてご講演いただきます。びわこ文化公園3館共同企画事業です。

    主催・協賛・後援

    主催:滋賀県立美術館
    協力:有限会社オーレリアンガーデン、株式会社クレヴィス、株式会社たねや
    協賛:株式会社ニコン、株式会社ニコンイメージングジャパン
    後援:エフエム京都
    企画:芦髙郁子(滋賀県立美術館 学芸員)
    会場グラフィックデザイン:長岡綾子(長岡デザイン)

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