開催時間 |
10時00分 - 18時00分
金・土曜日は20時00分まで |
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休み |
月
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入場料 |
無料 |
展覧会の撮影 |
不可 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
兵庫県立美術館
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒651-0073 兵庫県
神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 [HAT神戸内] |
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最寄り駅 | 岩屋 |
電話番号 | 078-262-1011 |
学芸員イチオシの注目作家を紹介するシリーズの第7 回。
近年、新展開で話題の髙橋耕平、公立美術館での初個展。
兵庫県立美術館では、担当学芸員がいま最も注目すべきと考える作家を個展形式で紹介するシリーズ展「注目作家紹介プログラム チャンネル」* を2010年度より毎年度開催してきました。
7回目となる2016年度の「チャンネル」では、髙橋耕平(1977 ~)の個展を開催します。髙橋は2000年代より京都を拠点に活動してきましたが、2013年のGallery PARC(京都)での個展《HARADA‒san》以降、特に作品で扱う主題の面で大きな変化を見せ、話題を集めています。
近年、現代美術の領域では、特定の場や人を取材し、映像や写真、言葉などで表現するというスタイルで、多くの注目すべき作品が生み出されています。髙橋の近作もこの傾向に属するもので、特に記録や記憶の継承と断絶、個人と社会や集団との関係といった問題を注視し、題材としてきました。主に映像によるドキュメントの手法を用いながらも、巧みに作品構造を複層化し、なおかつ生々しい身体性をともなう(いわば「メタ」かつ「ベタ」な)作風、鋭くシニカルでありつつユーモアも感じさせる点に、強い独自性が感じられます。
2016年には「PATinKyoto 京都版画トリエンナーレ2016」の出品作家に選出され、2017年1月からは豊田市美術館で小林耕平との二人展「切断してみる。―二人の耕平」が予定されているなど、まさに今もっとも旬な注目作家の一人。本展が公立美術館での初の個展となります。
テーマは「阪神・淡路大震災以降の、都市の経験と記憶」。
21 年という時間の距離があるからこそ、可能な表現とは。
本展で髙橋は、21年前に起こった阪神・淡路大震災以降の、都市の経験や記憶をテーマに、神戸・阪神間で撮影した映像や写真等から成るインスタレーションを新たに制作、発表します。
たとえ同じ街に暮らしていても、それぞれの人の身体は街を違ったふうに経験しています。街のある造りが、ある人には便利な一方で、他の人には障害となることもあります。しかしどのような場合もそこに生きる人は、解決の糸口を求め、自らの身体で街を探り、縫うように歩を進めます。それはまるで、それぞれの身体にあわせ街を更新し続ける仮縫いのようだ、と髙橋はとらえます。
21年前にさまざまな人がこの街で経験したことの記憶や記録。さらに現在それぞれの人がこの街をどのように経験し、歩み続けているのか。ともすれば「被災地の経験」などとひと言でくくられがちな、しかし決して誰一人同じではない交換不可能な個別性に注意を払いつつ、髙橋はそれらをいったん解き、自身の経験として新たに緩く縫い直し、提示します。
当館では、阪神・淡路大震災を直接にとらえた作品を集めた「震災から5年 震災と美術― 1.17から生まれたもの」(2000年)をはじめ、阪神・淡路大震災に関する展覧会をこれまでにも何度か開催してきました。発災から21年が過ぎて開催される本展は、時間的にも空間的にも、いわゆる当事者と呼ばれる立場からはやや距離のある作り手が、震災に関わる記憶をどのように自らの身体に引き受け、新たな意味を加えて鑑賞者に提示しうるのか、その距離ゆえの可能性を探る試みとも言えます。
この展覧会場に身を置くことが、直接的な被災経験の有無を越えて多くの方にとり、自分とは異なる個の経験に想像を巡らせ、街で生き歩み続けることについて考える機会となることを願い、本展を開催します。
* 注目作家紹介プログラム“チャンネル” とは
チャンネル(channel)という単語には「海峡」や「水路」、美術館の前にもある「運河」、テレビやラジオの「チャンネル(局)」、「思考・行動の方向」、さらには何ものかとの「交信」など、様々な意味があります。そこに共通するのは「何かと何かをつなぐこと」。美術館を訪れる人と、同じ時代を生きるアーティストとがつながっていくことを願って、タイトルを“チャンネル”としました。
主催:兵庫県立美術館
後援:公益財団法人 伊藤文化財団
助成:公益財団法人 朝日新聞文化財団、公益財団法人 テルモ生命科学芸術財団、公益財団法人 中内力コンベンション振興財団
協力:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
平成28 年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業