開催時間 |
11時00分 - 20時00分
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入場料 |
無料 |
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アートフロントギャラリー
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒150-0033 東京都
渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラス A 棟 |
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最寄り駅 | 代官山 |
電話番号 | 03-3476-4869 |
ニキータ・カダン ーー歴史と現在 鴻野わか菜[早稲田大学教授]
あの空の異変、燦然と光る天宮図を彼が写し撮るあいだ、私は頭を光に漂うに任せながら
うっとりと外套の上に横たわったまま、夢を永つづきさせようと物憂く露出を繰り返した。
ブルーノ・シュルツ『春』工藤幸雄訳
本展は、ウクライナ現代アートを代表するニキータ・カダンの日本初の展示となる。
カダンにとって歴史は創作の源泉であり、ソ連やウクライナの歴史、社会の様々な側面を主題とする一方で、2014年のクリミア併合、2022年のウクライナ侵攻以降は、現代の戦争が彼の創作の中心を占めることになった。
カダンの創作の特徴は、特定の事象を想定しながらも、それを他の歴史的事象と比較し、それらに共通して現れる人間の本質を見据えることで、詩的で内省的な表現を可能にしていることだ。本展と同時開催となる「大地の芸術祭」で制作した、誰も入ることができない児童公園《別の場所から来た物》が、手に入れることのできない幸福の象徴であると同時にソ連の公園を想起させる宇宙船型の遊具の溶解が“ソ連的ユートピア”の終焉を表し、なおかつ現代のウクライナの公園の惨状をも示しているように、カダンの作品ではしばしば複数の時空が混在している。
カダンは、彼が愛するブルーノ・シュルツの小説の主人公さながら、足を大地に置きつつ、夢想の中で歴史を旅し、その眼差しは遠い星座を捉えている。
本展で展示される《共同の部分の保護》は、銃弾の跡のある防弾服を用いたオブジエで、少数民族や先住民に対する抑圧と現在の戦争を重ねながら、身体に対する暴力の歴史を照射している。世界初公開となる《ダンサーと爆発》は、ウクライナの踊り子を描いたものでありながら《ロシアの踊り子》と題されたエドガー・ドガの絵画とカダンの幼年時代の体験、現在のウクライナの状況を重ね合れせた連作ドローイングである。カダンは、「この戦争は人類最初の戦争ではありません。しかし歴史を振り返れば、現在進行中の戦争をも過去の事実として捉え、〈戦争の歴史を作る〉美術の力を見出すことができる」と語り、俯瞰的視点で現在を見つめ、社会や人間の根源を思考し、美術によってそれを表そうとする。
アーティストトーク 7月11日 18時30分~ ※予約制