枝史織「見えない処に」

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会 期
20231028日 -  20231111
開催時間
12時00分 - 19時00分
休み
月曜日,祝日
クリエイター在廊

10/28(土)初日 15:00~ 作家が来日・在廊いたします。
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
FUMA CONTEMPORARY TOKYO
情報提供者/投稿者
開催場所
Fuma Contemporary Tokyo | Bunkyo Art
住所
〒104-0042 東京都
中央区入船1-3-9 長崎ビル9F
最寄り駅
八丁堀
電話番号
03-6280-3717

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

FUMA Contemporary Tokyo | 文京アートでは、パリを拠点に活躍する油彩画家・枝史織(b.1983)の日本で6年振りの待望の個展を開催いたします。
2010年東京藝術大学大学院 油画専攻を修了、久米賞、安宅賞、サロン・ド・プランタン賞、丸の内アートアワード天野太郎賞、損保ジャパン東郷青児美術館選抜奨励賞、TERADA ART AWARD三瀬夏之介賞受賞、2017年に活動の拠点をパリに移し、パリ、上海、香港、台北などで精力的に作品を発表。セルヌスキ美術館(フランス)やTiantai Museum(中国)に収蔵されるなど目覚ましい活躍を続けており、昨年はキュレーター・中野仁詞氏による企画展「ドリーム/ランド」にも招集されています。

天高い空と左右に雄大に広がる水平線。厚い雲と不透明な水面により枝史織は、演出家として画面(舞台)全体を構成し人物を配置している。《雨に火をつけて set fire to the rain IV》に登場する 11 名の女たちは手で目を覆い隠し、今自らが置かれている状況から目を背けできる限り現実から逃避しようとしている。そして、彼女たちは状況が見えないゆえに身がすくんで動くこともできない。二つの手で視覚を遮るも、彼女たちに降り注ぐ火の粉のもととなる爆発音は否応なく聴覚を刺激する。そこには救いはないようで、ただただものを見るという行為を遮断することに頼るしかないまま、動くこともできずに立ちすくむ。その姿からは、身体のみならず心の奥底でさえも逃げ惑っているのだ。2022 年 12 月に神奈川県民ホールギャラリーで開催した企画展「ドリーム/ランド」。ご出品いただいた《雷》、《竜巻》、《虹》(2015 年)。この作品では 3 つの自然現象のなかで、裸体の女たちが、ひれ伏し、逃げ惑い、全てをあきらめたように俯いているシーンが描かれている。コンプレックスな現代社会そしてこの社会に生きるわれわれを取り囲む自然。台風や大雨など圧倒的な自然の力に帰依せざるを得ないわれわれ。枝史織が登場させる女性は一人ひとりは「わたし」という個体でありながら、枝の構築した世界において様々な自然の有り様を舞台に、地球上にいきる人々「わたしたち」という人間全体としての演舞を描きあげている。彼女らは、《雨に火をつけて set fire to the rain IV》での騒がしき舞台で盲目のまま動かぬ身体で心象の中でも演舞しつつ、悲しみの合唱を歌い上げる。彼女たちと対峙する鑑賞者としてのわれわれは、この舞台を観劇することにより、日常世界の中で気づかなかった自然や人間社会への枝史織が向ける視点から導かれた問いを受けることになる。
キュレーター
中野仁詞
 
 
 
言語も一つの神話のようなものだ考えており、自分の作品を端的に説明することは困難だ。
私の制作の根源は、言語化できない無意識を辿るような感覚がある。複雑な人間社会によって隠れてしまっているものを剥き出しにし再構築することで、自然に対しての人の圧倒的な虚無感や無力感を描き出したい。自然の中の丸裸の人々の状況を見ると、人は如何に弱いか、そしてその弱さこそが強みであること見えてくる気がする。

地球が偶然生み出した奇跡のような環境下で、月と太陽のように象徴的な対象関係があるため、言語の性質にもよく表れているが、人間は対極的な思考に陥りがちだ。
人という生き物、人間社会、自然、地球、宇宙と、それぞれが内包している環境を露わにし、それぞれの境界線を極限までなくし、対極では決して説明のつかないものを見てみたい。

私自身の細胞も刻々と変化していて、無機物と有機物、人工と自然、その境界線やその定義を突きつめていくと曖昧で、ルールはあるものの、例外ばかりであり、言葉で意味を一括りにすることも、私自身の囲いさえも、囲いの外と中の共通点を重要視するか、相違点を重要視するかで、相違点と共通点の数の差のように思う。また、生命とは囲いの内と外だけの差であるのかどうかもわからなくなってくる。全てが一緒とも言え、全てが違うとも言える。

今作には、火の雨が降り、膝上まで水に浸かる環境に丸裸の女達が立たされている。彼女たちは手で目を隠しこの状況を直視しないという傍観者でもあり、実際には環境に直面している当事者でもあり、概念を捨て去った丸裸の人間は自然の一部に見えてくる。
こうしてあらゆる角度から見るとそれらは矛盾ばかりで、そういった端的には片付けられないような無意識を表現で辿りたい。
枝史織

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