開催時間 |
10時00分 - 18時00分
入館は17時30分まで ただし11月23日(金・祝)は20時30分まで(入館は20時00分まで) |
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休み |
木曜日
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入場料 |
有料 一般1500円(1400円)、大学・高校生900円(800円)、中学生600円(500円)、小学生以下無料、65歳以上1400円(要証明書、美術館券売所でのみ対応) ※()内 20名以上の団体料金 ※前売り:一般1300円、大学・高校生700円、中学生400円 ※前売券販売期間 10月12日まで ※2018年11月3日は観覧無料 ※毎週土曜日は高校生以下無料(要生徒手帳、学生証) ※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料 ※観覧当日に限り本展の観覧券で「横浜美術館コレクション展」も観覧可 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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子連れ |
否 |
この情報のお問合せ |
横浜美術館
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒220-0012 神奈川県
横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
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最寄り駅 | みなとみらい |
電話番号 | 045-221-0300 |
日本における現代銅版画の先駆者である駒井哲郎(1920-1976)は、深淵な詩的世界が刻まれた版画により、国内外で高く評価されてきました。黒いインクと白い紙の豊かな表情のなかに立ち上がる、夢と狂気のあわいを彷徨う駒井の宇宙。それは、デジタル時代の今こそ観る者を魅了します。
駒井は銅版画を追求した一方、詩人や音楽家と交流し、総合芸術グループ「実験工房」での活動や詩画集の出版などで、文学や音楽との領域横断的な表現を試みました。またルドンをはじめ西洋画家たちへの敬愛も、駒井の芸術観の形成に深く関わっています。
本展では、初期から晩年までの駒井作品の展開を縦糸に、芸術家たちとの交流や影響関係を横糸とすることで、多面的な駒井の姿を捉えなおし、その作品の新たな魅力に迫ります。色彩家としての知られざる一面も、福原義春氏のコレクション(世田谷美術館蔵)を核とした色鮮やかなカラーモノタイプ(1点摺リの版画)によってご紹介します。駒井の版画作品や詩画集など約210点とともに、関連作家作品約80点を展示し、さまざまなジャンルとの有機的な繋がりにより紡ぎ出された、豊穣な世界をご覧いただきます。
[展覧会の構成]
第1章 銅版画との出会い
駒井哲郎は1934年、14歳の時に、父親に送られてきた月刊誌『エッチング』を偶然目にし、はじめて銅版画を知リました。自身が後に回想するように、「他のジャンルの絵も描かないで、銅版画を始めることによって美術の世界に入った」駒井は、西田武雄が設立した日本エッチング研究所に通い、技術の手ほどきを受けます。また研究所に隣接する画廊において西洋のオリジナルの銅版画を間近に見る機会にも恵まれ、彼はたちまち銅版画の奥深い世界に魅了されました。
本章では、最初期の駒井作品とともに、彼が感化されたレンブラントやホイッスラーらの作品、西田のもとで学んだ日本人作家の作品を展示します。
第2章 戦後美術の幕開けとともに
駒井は1947年に、日本の抽象表現を先導した木版画家・恩地孝四郎が主宰した版画研究会「一木会」の同人となりました。木版を中心とした一木会においても、駒井は銅版画に取り組み、線を基調とするエッチングとは異なる、面の表現に適した新たな技法に挑戦します。また文学に親しむことで、作品の主題も、写実的な風景から、内的な心象風景へと一転します。技法研究の成果が、新たな主題と結びつくことで花開いた駒井の作品は、50年に春陽会展で受賞、翌年には第1回サンパウロ・ビエンナーレで受賞するなど、一躍脚光を浴びました。
本章では駒井による初期の代表作とともに、師である恩地や岡鹿之助、また同世代の版画家、清宮質文(せいみやなおぶみ)や浜田知明(はまだちめい)らの作品を紹介します。
第3章 前衛芸術との交差
駒井は、1950年に詩人であリ美術評論家の瀧口修造と出会います。以来、瀧口は駒井のよき理解者となり、現代美術としての銅版画の可能性に期待を寄せました。 1951年に活動を始めた「実験工房」の名付け親であった瀧口は、翌年にそのメンバーとして駒井を推薦します。駒井は、1953年の「実験工房第5回発表会」にて作曲家の湯浅譲二との共作でオートスライド「レスピューグ」を上映、また『アサヒグラフ』のコラム「APN」のために、立体オブジエを制作しました。
この章では、「実験工房」における駒井の活動とともに、北代省三(きただいしょうぞう)や山口勝弘など他の造形メンバーの同時代作品を紹介し、インターメディアな運動における駒井の立ち位置を確認します。
第4章 フランス滞在と「廃墟」からの再生
1954年、横浜港よリフランスヘ出発した駒井は、パリに到着するとまもなく、憧れの銅版画家・長谷川潔を訪問します。長谷川の勧めを受けて、駒井はフランス国立美術学校に入学し、フランスでは銅版画の最も基本的な技法とされるエングレーヴィングの習得を目指します。滞仏中に駒井は、フランスにおける文化芸術の豊かさや伝統の重みに圧倒され、自信喪失に陥ります。しかし約一年半の滞在を終えて帰国後しばらくし、小山正孝による詩集のフロントピースとして《樹木 ルドンの素描による》を創作したことが転機となり、再生への一歩を踏み出してゆきます。
本章では、駒井の滞欧作とともに、立ち直りの契機をもたらした一連の樹木のシリーズを展示します。
5章 詩とイメージの競演
1958年、駒井は「書肆ユリイカ10周年記念詩画展」に、詩人・大岡信の詩に寄せた版画を出品しました。これを機に大岡と親交を深めた駒井は、その2か月後には詩人・安東次男に出会いました。安東と駒井は、詩画集『からんどりえ』、『人それを呼んで反歌という』を続けて制作し、お互いに刺激し合いながら充実した創作を行います。以降晩年まで、詩集に寄せた挿画や装幀など詩人との共作は、駒井にとって重要な制作の場となりました。
この章では、駒井が手掛けた詩画集や詩集を中心とし、詩人たちが愛蔵した駒井作品や、詩画集から展開した作品を展示し、言葉とイメージの競演をご覧いただきます。
第6章 色彩への憧憬
生前の展覧会や自選版画集では主にモノクロ版画を発表し、白と黒の造形をストイックに追求した駒井ですが、一方で1950年代より色刷りの版画も手掛けています。特に1970年代になると多色刷りのモノタイプを多数制作し、優れた色彩感覚を遺憾なく発揮しました。そこには、駒井の言葉を借リれば「晩年になって燦爛とした色彩の世界を油彩やパステルで実現した」ルドンヘの深い敬愛が感じられますが、モノタイプという版を介した表現には、版画に対する駒井の強いこだわりも表れています。
この章では、ルドン、クレー、ミロ、エルンストといった駒井が愛した西洋画家たちと、駒井による色彩作品の響き合いをお楽しみいただきます。
■講演会「師・駒井哲郎の人と作品一銅版とpas de deux(パ・ド・ドゥ)」
日時:2018年10月13日(土)14:00~15:30(13:30開場)
講師:中林忠良(銅版画家)
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:220名(事前申込、先着順)
参加費:無料
申込方法:ウェブサイト申込フォームよリ
※2018年9月1日(土)より申込受付開始
■トークと詩の朗読「画(え)から言葉が生まれるとき」
日時:2018年11月10日(土)14:00~15:30(13:30開場)
ゲスト:文月悠光(詩人)
会場:横浜美術館円形フォーラム
定員:100名(当日有効の本展観覧券と整理券が必要)
参加費:無料
参加方法:当日12時より総合案内にて整理券を配布
■学芸員によるギャラリートーク
日時:2018年10月26日(金)、11月17日(土)、12月1日(土)いずれも14:00~14:30
11月23日(金・祝)18:30~19:00
会場:企画展展示室
参加費:無料(事前申込不要、当日有効の本展観覧券が必要)
■デモンストレーション&トーク「駒井哲郎 版に刻まれた世界」
多摩美術大学で駒井哲郎の薫陶を受けた渡辺達正氏による、駒井哲郎の銅原版を用いた刷りの実演。
日時:2018年12月2日(日)13:30~16:00
講師:渡辺達正(銅版画家、多摩美術大学名誉教授)
会場:市民のアトリエ
対象:12歳以上
定員:30名(事前申込、抽選)
参加費:2,000円
申込方法:ウェブサイト申込フォーム、または往復はがき
申込締切:2018年11月2日(金)必着
※2018年9月1日(土)より申込受付開始
■親子講座「小さな銅版画―モノタイプ版画に挑戦!」
本展でさまざまな作品を鑑賞したあとは、親子で小さな銅版画制作に挑戦しよう!
最後に「市民のアトリエ・版画室」で駒井さんが使っていたような大きなプレス機を動かしてみます。
日時:2018年11月23日(金・祝)
1回目10:15~12:30
2回目14:15~16:30 ※1回目と2回目は同じ内容です
会場:グランドギャラリー
対象:小学校1~6年生と保護者
定員:各回10組 ※1組3名まで(事前申込、抽選)
参加費:親子2名で2,000円(お一人追加で十500円)
申込方法:ウェブサイト申込フォームより
申込締切:2018年10月30日(火)
主催:横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)、日本経済新聞社
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人 花王 芸術・科学財団
協賛:資生堂
特別協力:世田谷美術館
協力:みなとみらい線、横浜ケーブルテレビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社