開催時間 |
11時30分 - 19時00分
最終日18時00分まで |
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
藍画廊
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒104-0061 東京都
中央区銀座1-9-8 奥野ビル502号室 |
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最寄り駅 | 京橋 |
電話番号 | 03-3567-8777 |
上海帰りのローラ
ー松井ローラ「鼓動のリズム」をめぐって
稲村ケ崎の汀に生いたとある樹が作家の心を捉えたのは、彼が絵画を学び始めて間もない今から10年程前のこと。それから数年後、上海のナイトクラブ「lola」で人々がクネクネと躍る様子がその樹のように見えた瞬間に「ひらめき」を得たという彼は、やがてそのクラブの名前をアーティスト・ネームとして自称しながら独自の様式を力強く構築しはじめる。そしてそれは2017年の初個展に結実。作家のなかで撚り合わされた樹と人々のイメージは、そこでは精子に姿を変えて画面の上に放出されていた。
それに続く本展のタイトル「鼓動のリズム」が示すように、これまで作家は身体機能ひいては生命そのものに対し、一貫して強い関心を寄せ続けてきた。新作《Roman Holiday - Break Shot》は映画「ローマの休日」の名場面に着想を得た絵画。その男女の表情は映画のコミカルなムードとはうらはらに死人の如く硬直しているが、その足もとからしたたる何かは彼らが間違いなく生命活動を維持していることを教えてくれる。作家のステートメントによればその液体の正体は寝覚めの床を濡らす涙だという。
とはいえ、上海のナイトクラブをルーツとする作家の軌跡を振り返れば、その説は少しばかり疑わしい。(文・山内舞子)
「Roman Holiday - Break Shot]
休日の昼下がり、バイクを路上に駐車して、マツ兵衛とオマツはカフェに入って一服入れる。
コーヒーを飲み終えると、再び二人乗りで走り出す。シルバーグリーン色のベスパに積まれた2ストロークエンジンが、吸入・圧縮、燃焼・膨張・排気を繰り返す。乾いたエンジン音が心地よいリズムを刻む。
目的地まではあと少し、別れのときは近い。カフェで飲んだコーヒーは、マツ兵衛とオマツの体内でろ過されて涙へと変わり、ローマの街に放出される。
突然、目覚まし時計の音が鳴り、オマツは夢から覚めた。シーツには、ほのかにハートの模様ができていた。(文・松井ローラ)
初日17:00よりオープニングバーティーをいたします