[Artist Statement]
リアルとは何なのか。
仮に自らが体験したり、実際に目にしたりすることを最たるリアルとすると、わたしたちの周りにはリアルならざるものが数多く溢れている。
文字や絵、写真、映像や音といった情報は前述したようなリアルならざるものと仮に言おう。
そしてこれらを伝える手段は時代と共に進化し拡大を続けている。
しかしそれは問題とするべきところではない。
それら非リアルなものの集積こそが少ないリアルな経験を補完し、あるいは非リアルをリアルなものが補うことで、初めて私たちが共通に認識する現実として機能するようになるのだろう。
リアルをから生まれたであろう非リアルはいわば核を覆う地殻のようなものである。
地殻がマントルで形成され地表に現れ、地球の外観を形作るようにそれらはお互いになくてはならない存在と言えるだろう。
しかし昨今、非リアルなるものが飛躍的にその情報量を増やし、私たちの現実の大部分を占めるようになりつつある。
今後リアルと非リアルなものの境界はますます融解していくことだろう。
力無い核はどのような地殻を形成し、どのような外観をもたらすのだろうか。
そのような状況は、私たちにどのようなリアリティーをもたらすのか興味がつきることはない。
これらのリアルと非リアルがもたらすリアリティーへの強い関心は、近作における制作テーマの主幹をなしている。
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