開催時間 |
9時00分 - 17時00分
入館は16時30分まで |
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入場料 |
有料 ⼤⼈1,000円、⾼校⽣500円、⼩中学⽣300円、⼩学⽣未満 無料 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
北斎館
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒381-0201 長野県
上高井郡小布施町大字小布施485 |
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最寄り駅 | 小布施 |
電話番号 | 026-247-5206 |
2024年7月、新たに発行される千円札に「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」のデザインが採用されます。本作は、葛飾北斎の代表作として知られていますが、その背景には北斎のさまざまな画法を学ぼうとする探究心、己の絵を発展させようとする向上心がありました。
北斎の壮年期にあたる春朗期・宗理期(44歳まで)は、生涯において最も多くの画法を吸収した時代といえるでしょう。狩野派や土佐派、唐絵などを学び、二代目俵屋宗理として琳派を継承するなど、当時の北斎はさまざまな画法を習得し、自らの絵を進化させていきます。中でも西洋絵画に対する関心は高かったようで、「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」のような透視図法(遠近法)を用いた作品が春朗の時代に発表されています。北斎は、それ以降も積極的に西洋絵画の画⾵を取り入れた作品を発表し、その作画経験が天保年間初頭の「冨嶽三十六景」をはじめとする「風景版画」の揃物を生み出す土台となっています。
「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」に見られる特徴的な波の表現も、北斎の進化において欠かすことができないポイントです。波は、北斎が何十年という歳月を費やしながら、その様相を変化させてきました。『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』では船や兵を飲み込むほどの連続的な波を描き、『北斎漫画』では「寄浪」「引浪」2種類の波の様相を紹介しています。「神奈川沖浪裏」に至るって、波の表現はひとつの頂点を極めますが、北斎はさらに進化を求め、続く『富嶽百景』の「海上の不二」では大波のスケールを拡大した大胆な作品を発表します。その約10年後、信州小布施を訪れた北斎は、当地に上町祭屋台天井絵「男浪」「女浪」を遺しました。「怒濤図」とも称される本作は、それまでの風景画とは異なり波そのものが印象的に描かれています。北斎の波は進化して、本作でついにその極地へ至ったとも考えられる逸品です。
本展では、北斎70年の画業を回顧しつつ、進化を目指す絵師北斎の姿に迫ります。今回の新紙幣発行によって、より身近になった北斎作品の数々をお楽しみください。
みどころ
1. 70年の画業を辿る
19歳にして人気浮世絵師、勝川春章の弟子となり、翌年に勝川春朗の名で浮世絵界に登場した北斎。生涯3万点もの作品を残したという北斎の作品群は版画、版本、肉筆画など多岐に渡ります。
90歳で亡くなるまで旺盛に活動した北斎の画業を、館蔵品を基にご紹介します。
2. 進化を探るー北斎に影響を与えたもの
北斎は常に上達を願い、絵を描き続けました。その心境は北斎が亡くなるまで変わることはなく、死の間際に語った「天があと10年、いや5年生かせてくれたら真正の画工になれただろう」という言葉が証明しています。一方で他の絵師の存在や作品、取り巻く環境などの外的要因も北斎に影響を与えたと考えられます。本展第2展示室では、その要因についてご紹介します。
3. 最晩年の名品「富士越龍」を展示
晩年、北斎は落款に年齢を書き加えるようになります。嘉永2年(1849)、90歳の時に描いた本作品は北斎自身の生年月日や制作日が具体的に書かれており、辰年生まれの北斎が正月の辰の日に描いた作品として、並々ならぬ辰への想いが込められていることがわかります。画面から発せられる北斎の卓偉した画技とその心情をご鑑賞いただきます。
学芸員によるギャラリートーク
開催⽇:6⽉22⽇(⼟)、7⽉13⽇(⼟)、8⽉10⽇(⼟)
時間:13時30分から約1時間程度
参加料:無料(要⼊館券)
企画展関連イベントとして、レジンアートで作るワークショップの開催も予定しています。詳細は、公式HP(https://hokusai-kan.com/)のイベント情報をご覧ください。