釘町彰個展:From the Land of Men

釘町彰 《Air (Gabi)》2022 雲肌麻紙に墨、胡粉、天然岩絵具 1970 x 2910 x 40mm

釘町彰 《Air (Gabi)》2022 雲肌麻紙に墨、胡粉、天然岩絵具 1970 x 2910 x 40mm

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会 期
20240202日 -  20240225
開催時間
12時00分 - 19時00分
土日、2月23日(金・祝):11時00分 - 17時00分
休み
月曜日,火曜日
入場料
無料
展覧会の撮影
作品の販売有無
販売有
子連れ
この情報のお問合せ
アートフロントギャラリー
03-3476-4869
情報提供者/投稿者
開催場所
ART FRONT GALLERY
住所
〒150-0033 東京都
渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラス A 棟
最寄り駅
代官山
電話番号
03-3476-4869

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

アートフロントギャラリーでは、パリ在住の釘町彰の初個展を開催いたします。本展は恵比寿映像祭と連動し、映像と絵画で構成されるインスタレーションを中心とした展示となります。

これまで一貫してランドスケープに対峙し、作品化してきた釘町。10 年程前の冬、作家はスイスとイタリア国境周辺である風景と出会いました。それはいわゆる単なる雪山の風景ではなく、人類以前あるいは人類以後ともいうべき混沌の世界であり、また世界に光が現れて闇が出現し天と地といった二元論が生まれる以前の原初的混沌風景として作家の魂を揺さぶりました。釘町にとって、風景は人間の立ち位置を再認識する「場」であり、「世界と人間の関係を問う装置」だといいます。確かに近作のAir シリーズは、それまでのように一瞬の光と影を画面に定着させるというよりも、何千年何万年という人間的尺度を超えた太古の時代を経てきた岩肌や氷河、そしてそこに浸透する大気に封じ込められたこの惑星の記憶をあぶりだす、という作家の意欲が感じられます。彼の絵画に使われているのは、まさに作家が「地球の素材」と呼ぶ精製され尽くしていないブリュットな天然の岩絵具であり貝殻や松から採取られる墨であり、また意図的に不純物の混ざる膠や和紙なのです。自身が媒介者となり、描く手段、そして描くプロセス、そして素材とが同一であるというコンセプチュアルな絵画手法は、写真や映像という現代の機器を駆使しながらも、まさに本居宣長の言う「表現と技法の一致」にも通じ、あるいは古くは藤原定家や世阿弥の幽玄論にもその源泉を見出すことができます。

制作プロセスにおいて、作家は下地づくりに90%の時間をかけると言います。揉んだ和紙にまず墨で、その上に胡粉で何層もの薄い光の層を塗り重ねる。その結果、地の白は単なる白でなく、不透明感を呈しながらも背景としての不思議な奥行を備え、永遠と一瞬の狭間ともいうべき空気感を呈します。そこに岩絵具によってモティーフを上から描きこめば描きこむほど、かえってリアリティが無くなっていくといいます。それを逆手に取り、絵具をシルエットとして捉え、物体が無いこと、不在の絵画を作りたいと考えるようになり、この空虚さが実は映像と親和性のあることに気づきました。そして流れる映像と、いわゆる「引きの美学」である岩絵具による絵画作品とを繋げる試みに着手し、それが今回の映像と平面とのインスタレーションへと繋がっているのです。

釘町はパリ第8大学でメディアアートを修めており、学生時代はビル・ヴィオラのビデオアートやインタラクティブアートを研究し、またフランスの思想家レヴィ=ストロースやジル・ドゥルーズ、そして鈴木大拙の禅の思想などに影響を受けたと言います。映像であっても絵画であっても、「作品は常にプロセスであり、作る人も観る人も、常にプロセスの状況に居続ける」という点で一貫した作品を作り続けています。今回の展示においては、複数のスクリーンに投影される映像と、大型の最新作絵画とが様々な時間軸に沿って交錯し、その背後にある何か、或いはその「何か」の不在を発信していきます。

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レセプション 2 月2 日(金)18h30-20h30

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