開催時間 |
13時00分 - 19時00分
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休み |
月曜日,火曜日,水曜日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
Yu Harada
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒162-0065 東京都
新宿区住吉町10-10 |
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最寄り駅 | 曙橋 |
電話番号 | 03-6555-2483 |
現代社会において私たちは巧みに⾃然物を制御し、⼈⼯物で作りあげられた快適で違和感のない⽣活空間に⽣きている。舗装された道路で⾃然を訪ね、植樹された⼈⼯林で深呼吸をし、消毒された温泉につかる。私たちは今⽇も制御された⾃然の中で⽣きていて、それは私たちの求めた美しさや⼼地よさの結果である。
下地材としての構造⽤合板という住宅建築には⽋かすことのできない建材を⽤い作品を制作してきた都築は、2022 年 SYP Gallery で⾏われた個展〈合板都市 Plywood City〉で、⼯業製品である合板を作る過程で桂剥きによって⽣まれる「リピートする⽊⽬」に注⽬し、雲霞する都市の⾵景を描いた。本展ではカットされた⽊材をつなぎ合わせる⼯業過程で⽣成される⼈⼯的な直線に着⽬する。
⽊⽬の中の⽔平線集成材は複数の部材を切り貼りした⽊材で、無垢材に⽐べ廉価で強度や板幅が確保され、私たちの居住環境を形作っている。直線にカットされ接着された⼆つの⽊材の間に⽣まれる⽔平線、それは⾃然と⼈⼯の間を⽣きる私たちの⽇常の⾵景でもある。地平線は別の⾵景への暗⽰でもある。遠くから⾒えるこの平らな線は、海では⽔平線、陸では地平線と呼ばれる世界の直線であり、私たちが踏みしめている地⾯が実は巨⼤な円であるという証拠を⽰し、その先に隠された世界があることを暗⽰する。海は常に平らであるため、⽔平線を⾒ることができるのに対し、陸は⼭や丘、⾼層ビルなどで平らでないことが多く、なかなか⾒ることができない。しかし、都築は本作の中で、陸と海の直線の向こうの世界を空⽩として処理し、現実世界と仮想空間をつなぎ合わせ、更に⽂章を通して詩的な想像⼒を付与している。
今回の新作の⽬⽴った特徴のひとつは、⽔平線を断ち切る垂直に置かれた⽂章である。これは⾃然と⼈⼯物を巧みに横断し、つなぎ合わせる「⼈間」の存在を露わにし、その⼈間さえも⾵景の⼀部となりえるという彼の視線を凝縮している。
世界は⾃然と⼈⼯物に挟まれ、⼈間よって再構成されており、⼈⼯の⽔平線もその⼀つである。その作為性の上に書き込む⼈間の作業が、芸術的な視線に変容する瞬間を都築は冷静さとユーモラスさのバランスを取りながら展開している。