開催時間 |
11時00分 - 20時00分
最終日17:00まで |
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この情報のお問合せ |
Room_412 担当:伊東
Tel: 050-5319-8428 E-mail: t.ito@room412.jp |
イベントURL | |
情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒150-0031 東京都
渋谷区桜丘町15-8 高木ビル412号室 |
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最寄り駅 | 渋谷 |
電話番号 | 050-5319-8428 |
「鏡の前に立つ」とは、青い芝の会という脳性マヒの自助団体の方々の言葉だ。
社会運動をする前に、鏡の前に立つ。この言葉は本来、鏡の前に立って自分の姿を直視して辛さを感じた場合に、自分に内面化されている「正しい健全者幻想」の存在を自覚するという意味を持つ。鏡の前に立つ行為は社会から属性を与えられたことを自覚的に捉え、引き受けた上で社会運動に参加するための儀式となる。
見た目に差が現れない精神的な障害において、この「鏡の前に立つ」行為は自分の症状に自覚的になることを指す。
統合失調症の症状では自分に起こっていることを経験として捉えることはできるが、自分で症状をコントロールすることは難しい。例えば代表的な症状の幻聴は、経験として感じることは事実だけれど、自分の体が起こしていると自覚し、操ることが困難なこととなる。幻聴では悪口や、本人を責めるようなことを言われることが多いという。
原因の一つとしてダブルバインドのような、選択肢が得られない中で自分の志向性(意図)を失っている状態があげられる。
「べてるの家」で行われている当事者研究で、症状を自覚して自分が取り扱いやすくするための方法として、幻聴を「幻聴さん」と呼ぶ方法がある。
同じ病名を持つ人が集まり症状を語っていく中で、人とともに整理し、「統合失調症〇〇型」など、自分自身に病名とは別に自分のための型として自己病名を作る。
これは自分の症状を認め、付き合っていくための方法である。
今回の展示では上記のような当事者研究の構造を用いて作品を製作する。
植物と白い立体が対面し、お互い鑑賞し合っているような状態を観客は鑑賞する。
1つの絵であったそれらが鏡の前に立つような関係性において、支持体に別の意味が発生する状況を鑑賞者は見ることとなり、鑑賞者と作品の見る/見られる関係性は発生しない。
自分自身と対面することで生まれる意味によって、支持体の役割をずらすことを試みる。
他人と一緒に失われた自分の志向性(意図)を取り戻した際、それは症状であると同時に対応していくための問いとなる。