特集展示 富士山 花と雲と湖と

特集展示 富士山 花と雲と湖と

開催概要

会期
2026年01月17日 〜 2026年05月10日
会場
半蔵門ミュージアム (東京都千代田区一番町25)
参加クリエイター
横山大観 / 田崎廣助 / 片岡球子 / 川﨑春代 / 平松礼二 / 櫻井孝美 / 笹島喜平 / 野田好子 / 木村圭吾 / 岡信孝
ジャンル
アート

開催内容

日本を象徴する山、富士山。それは日本人だけではなく、世界の人々をも魅了してやみません。春夏秋冬、朝昼夕、さまざまな姿を私たちに見せてくれます。

山といえば富士山、多くの人がそう答えるでしょう。日本一の標高を誇りますが、それにとどまらない美麗な魅力があります。冠雪に覆われた白富士、太陽の光に染まった赤(朱)富士、湖に映る逆さ富士、山頂と太陽が重なるダイヤモンド富士。仰ぎ見る名所として、三保の松原、田子の浦、芦ノ湖畔、富士五湖畔、忍野八海などが挙げられます。

さらに、富士山から遠く離れた地域にも、富士見という地名が数多く存在します。また、津軽富士(岩木山)、近江富士(三上山)、薩摩富士(開聞岳)など、全国に「富士」の別称がついた山も枚挙にいとまがないほどです。それほど富士山は象徴的な山であり、二つとない「不二」の当て字が相応しいといえましょう。

古来、富士山は絵に描かれ続けてきました。例えば、『伊勢物語』に登場する在原業平(825~880)とおぼしき主人公は、都から東国へ下る際に富士山を眺めて歌を詠みましたが、その場面を多くの絵師が表現しています。『聖徳太子絵伝』や『一遍聖絵』にも富士山が表されました。江戸時代の葛飾北斎は、『冨嶽三十六景』に代表されるように、富士山を多く描いた絵師として著名です。近現代の画家では、文化勲章受章者の横山大観・田崎廣助・片岡球子などを挙げることができます。彼らに限らず、同じ富士山が主題でも、描く画家により構図や色彩は異なり、それぞれの個性が輝いています。

今期の特集展示では、横山大観から現役の画家まで、花や雲や湖を合わせて描いた富士山の絵画を集めました。
展示順に、各画家の略歴と作品を簡単に紹介します。

横山大観(1868~1958)は1937(昭和12)年に初めて制定された文化勲章の第1回受章者で、1951年には文化功労者に選ばれました。2000点を越える富士山を描きましたが、《霊峰不二》はその一つで、近景に三保の松原を配しています。

田崎廣助(1898~1984)は、1975年に文化勲章受章、文化功労者に選ばれた洋画家です。故郷九州の阿蘇山や桜島、《箱根の朱富士》のような朱富士を好んで描き、「山岳画家」と称せられました。

片岡球子(1905~2008)は1986年に文化功労者、1989(平成元)年に文化勲章を受章しました。500点以上を描いた「富士山」シリーズが著名ですが、《花に囲まれし富士》は既存のカタログなどに掲載されていない作品です。

川﨑春彦(1929~2018)は父川﨑小虎、兄川﨑鈴彦、義兄東山魁夷と、日本画一家に育まれ、父と義兄に師事しました。《春曙》は藍色の富士山と多彩な雲の階調表現が美しい作品です。

岡信孝(1932~)も芸術一家の出身で、川端龍子が祖父、濱田庄司が義父、棟方志功が縁戚にあたります。《紅梅富士》について、祖父の影響を受けている旨、画家本人のコメントをいただきました。

木村圭吾(1944~)は富士山の麓にアトリエを構える画家で、《春望》は富士山と桜を得意とする木村ならではの作品です。

平松礼二(1941~)の作品は海外でも高く評価され、フランスとドイツで巡回展を行い、2021(令和3)年にはフランス政府芸術文化勲章シュヴァリエを受章しました。《路・花嶽》と《路・爽秋路》は自然の美しさを表した「路」シリーズの作品です。

櫻井孝美(1944~)は富士吉田市にアトリエを構える洋画家です。《錦秋》は櫻井孝美油絵展「煌きの刻」に出品された作品で、紅葉に囲まれた冠雪の富士山と、河口湖に映る逆さ富士を描いています。

笹島喜平(1906~93)は平塚運一や棟方志功に師事した版画家で、不動明王などの仏像を得意としました。《飛雲富士B》《清秋富士》《精進湖の富士》など、富士山を主題とした作品も多く残しています。

片岡球子《めでたき富士》2点はパリ・エトワール三越美術館での出品作としてつくられました。

野田好子(1925~2016)は富士山麓で生まれ育った洋画家で、日頃から目にしていた富士山はライフワークの主題でした。《飛翔》は2008年の静岡県立美術館「野田好子回顧展」で展示されました。

花に囲まれ、雲がたなびき、畔に湖のある、美麗で独創的な富士山の絵画をご堪能ください。