「カタチを説明する色」と「色を説明するカタチ」が対等に主張しあうような表現を目指しています。
私は、緩やかな色の変化とリズミカルな色面の変化の組み合わせから、楽しさや、怖さ、憂鬱さなど、さまざまな感覚を感じ取ってもらいたいと思っています。
グラデーションの緩やかに徐々に変化する色と、大小のハードエッジの効いた色面の小気味よい配置が、人々の感性を刺激する本質であると思っています。
これらのグラデーションや色面変化の組み合わせに加え、都会の無機質な人工の構築物や大地や山や木々などの自然、人々の日常の生活を連想させる必要最小限のカタチを作品に与えることにより、人々の感性への刺激はより増幅され、より鮮明に伝わるものと思っています。
作品に与えるカタチは、私たちが共通に持つカタチの印象と矛盾することなく、人々の納得感を満たす説明でありたいと思っています。
都会のビル群は無機質な人工の構築物ですが、その無機質な人工物の器には多くの人々が働き、住んでいます。
そして、その人工的な構築物には人々の喜びや悲しみ、希望や後悔、情熱や興奮が満ち溢れています。
都会を往来する人々もまた多種多様な思いや企てを抱いて行き交っています。
私はこれらの、見た目には無機質な風景ではあるが、実は多種多様な思いが詰まった都会の風景に魅力を感じています。
私が勤務先を退職するまで繰り返し接してきた日常の都市景観です。
季節や地域よって異なる風景には、人が文明を築く以前からの、延々と続く進化の歴史と、人の営みによって破壊されながらも、想像を絶する長い時間をかけて再生する圧倒的な自然の力を感じます。
人よって支配された自然、人に協調を求められた自然、時には人を脅かす贖うことの出来ない力を持つ自然の風景に魅力を感じています。
私が生まれ育った北摂地方の里山、棚田のレンゲ畑の匂い、木漏れ日の射す田舎道、豪雨の後の川がうねる音。
私が子供の頃全身で感じた日常の自然が原点にあるのかもしれません。
水彩画では、コットン紙を染めるようにたっぷりの水を使った、水彩画らしい表現に取り組みたいと思っています。
一方、油彩画では、絵の具をたっぷり使った、抵抗感のある力強い表現を目指したいと思います。
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