森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代ァートの国語・算数・理科・社会

  • 印刷する
  • add calendar
会 期
20230419日 -  20230924
開催時間
10時00分 - 22時00分
火曜は17時00分まで(ただし5月2日[火]、8月15日[火]は22時00分まで)
※入館は閉館時間の30分前まで ※会期中無休
入場料
有料
一般[平日]2000円(1800円)、[土・日・休日]2200円(2000円)、学生(高校・大学生)[平日]1400円(1300円)、[土・日・休日]1500円(1400円)、子供(4歳~中学生)[平日]800円(700円)、[土・日・休日]900円(800円)、シニア(65歳以上)[平日]1700円(1500円)、[土・日・休日]1900円(1700円)
※事前予約制(日時指定券)を導入しています。専用オンラインサイトから 日時指定券」をご購入ください。 ※当日日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでご入館いただけます。 ※表示料金は消費税込 ※専用オンラインサイトでチケットを購入すると( )内の料金が適用されます。 ※東京シティビュー、スカイデッキ、森アーツセンターギャラリーへの入館は別料金になります。
作品の販売有無
展示のみ
子連れ
この情報のお問合せ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
情報提供者/投稿者
開催場所
森美術館
住所
〒106-6150 東京都
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
最寄り駅
六本木
電話番号
050-5541-8600(ハローダイヤル)

詳細

展覧会内容

現代アートは未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」
 森美術館は、2023年4月19日(水)から9月24日(日)まで、森美術館開館20周年を記念して「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」を開催します。
 1990年代以降、現代アートは欧米だけでなく世界の多様な歴史や文化的観点から考えられるようになりました。それはもはや学校の授業で考える図画工作や美術といった枠組みを遥かに越え、むしろ国語・算数・理科・社会など、あらゆる科目に通底する総合的な領域とも言えるようになってきました。それぞれの学問領域の最先端では、研究者が世界の「わからない」を探求し、歴史を掘り起こし、過去から未来に向けて新しい発見や発明を積み重ね、私たちの世界の認識をより豊かなものにしています。現代アーティストが私たちの固定観念をクリエイティブに越えていこうとする姿勢もまた、こうした「わからない」の探求に繋がっています。そして、現代美術館はまさにそうした未知の世界に出会い、学ぶ「世界の教室」とも言えるでしょう。
 本展は、学校で習う教科を現代アートの入口とし、見たことのない、知らなかった世界に多様な観点から出会う試みです。展覧会のセクションは「国語」、「社会」、「哲学」、「算数」、「理科」、「音楽」、「体育」、「総合」に分かれていますが、実際それぞれの作品は複数の科目や領域に通じています。また、当館の企画展としては初めて、出展作品の半数以上を森美術館のコレクションが占める一方、本展のための新作も披露され、50組を超えるアーティストによる学びの場、「世界の教室」が創出されます。

出展アーティスト *アーティスト名のアルファベット順
アイ・ウェイウェイ(艾末末)、青山悟、エリカ・ベックマン、ヨーゼフ・ボイス、ヨハンナ・ピリング、ルーク・チン(程展緯)、マノン・デ・プール、サム・フォールズ、ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス、藤井光、ク・ミンジャ、シルパ・グプタ、畠山直哉、アジズ・ハザラ、スーザン・ヒラー、ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト、クリスチャン・ヤンコフスキー、片山真妃、風間サチコ、菊地智子、ヤコブ・キルケゴール、ジョセフ・コスース、ディン・Q・レ、李禹煥(リ・ウファン)、クララ・リデン、パーク・マッカーサー、マリオ・メルツ、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、パンクロック・スゥラップ、ソピアップ・ピッチ、アラヤー・ラートチャムルンスック、ヴァンディー・ラッタナ、ジェームズ・リチャーズ、ハラーイル・サルキシアン、笹本晃、瀬戸桃子、杉本博司、マルティーヌ・シムズ、田島美加、高山明、田村友一郎、ロデル・タパヤ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、ツェ・スーメイ、梅津庸一、ワン・チンソン(王慶松)、ヤン・ヘギュ、イー・イラン、米田知子、ユ・チェンタ(余政達)

[みどころ]
現代アートを8つの教科で紹介
 本展では、現代アートを美術や図画工作といった教科の枠組みから解き放ち、「国語」、「社会」、「哲学」、「算数」、「理科」、「音楽」、「体育」、「総合」の8つの科目別のセクションで紹介します。作品を通して未知の世界に出会い、学ぶ、まさしく美術館がすべての人に聞かれた「世界を学ぶ教室」となる展覧会です。また、今回は小企画展の展示室も使い、1,800㎡を超える展示スペースで大規模に展開します。

出展作品の半数以上が森美術館のコレクション作品
 パンデミックによる移動・輸送制限等により、世界の美術館で自館のコレクションやローカルなアーティストの活動に改めて注目する動きが見られました。また、SDGsの観点からも、作品輸送をはじめ美術館活動に要するエネルギーに関して、あらためて考える好機となりました。本展は、出展作品のうち半数以上を森美術館のコレクション作品で構成します。現在約460点を有する「森美術館コレクション」は、展覧会を機に収蔵した作品も多く、森美術館のこれまでの活動の軌跡でもあります。

現代美術史で参照すべき重要な作品を展示
 現代アートをさまざまな視点から振り返る際に参照すべき重要な作品を展示します。ジョセフ・コスースは作品の見た目ではなく、アイディアやコンセプトこそが肝要であるとした1960年代のコンセプチュアル・アートの主要作家です。この考え方は今日の現代アートの底流をなすもので、コスースの《1つと3つのシャベル》(1965年)はその象徴的な作品です。また、20世紀の美術史のなかで最も影響力のあるアーティストのひとりヨーゼフ・ボイスは、誰もが芸術家として柔軟な社会を作ることに参加する、拡張された芸術の概念「社会彫刻」を提唱しました。本展では、彼が1984年に初来日した際、東京蒜術大学の講義で使用し、その筆跡が残された黒板を展示します。ボイス本人との対話は、その後アーティストやキュレーターになった多くの日本の若者に、並々ならぬ影響を与えました。

世界的に活躍するアーティストたちの新作にも注目
 いま最も注目を集めるヤン・ヘギュは、日系ブラジル人アーティスト大竹富江の彫刻作品や、エネルギー問題、気候変動など、世界のさまざまな事象を引用した新作インスタレーションを発表します。他に、ヤコブ・キルケゴール、パーク・マッカーサー、宮永愛子による本展のための新作も展示します。

数字とインフォグラフィックで見る森美術館の20年
 森美術館が開館して20年。これまで59の企画展、72の小企画展、そしてラーニングをはじめ数々の関連プログラムを行ってきました。展覧会の入口には、これまで森美術館で展示を行ったアーティストおよびユニット名を出身地域毎に示した世界地図が登場。総勢約1,600組の名前を総覧することができます。また展覧会の出口では、20年の活動を振り返リ、これまでの総入館者数やラーニング・プログラム数などを、数字とインフォグラフィックで紹介していきます。

[展覧会の構成:8つのセクション]
1.国語
「国語」のセクションでは、言葉や言語をテーマにした作品、文学や詩の要素を含む作品を紹介します。「言語」は、文学や詩といった表現に加え、現代アートでも、コンセプチュアル・アートの流れのなかで頻繁に使われてきました。
コンセプチュアル・アートの提唱者のひとりであるジョセフ・コスース、また言語を取り巻く政治性や社会性を題材としたスーザン・ヒラー、国籍や人種、ジェンダーというアイデンティティをテーマとするミヤギフトシや、米田知子、ワン・チンソン(王慶松)、イー・イランの作品を展示します。

2.社会
本展で最も大きなボリュームを占める「社会」セクションでは、「社会彫刻」という概念を提唱したヨーゼフ・ボイスが来日した際に残した黒板から始まり、世界各地の歴史、政治、地理、経済、アイデンティティに関わる課題を取リあげます。1990年代以降、グローバル化する世界の各地域からアートが発信されるようになり、アーティストたちは正史とされる歴史や国家レベルの大きな物語からこぼれ落ちる個々の物語、あるいはマイノリティの視点を拾い上げ、世界の見方を増やし、多様化させていく役割を担っていると言えるでしょう。美術史を主題としたアイ・ウェイウェイ(艾末末)や森村泰昌、戦争や暴力、災害が残したものに向き合うディン・Q・レや藤井光、畠山直哉、そして日本では初展示となるパーク・マッカーサーは都市のアクセシビリティをテーマとした新作を発表します。また、田村友一郎やク・ミンジャは、私たちの生活を取り巻く経済についての作品を展示します。

3.哲学
生きることや世界の真理、普遍性を探究する哲学の分野は、古くから美術と非常に深い関係にありました。人間が生まれ、生き、そして死ぬということの全てに哲学は関係し、それは美術も同様です。また、どちらも人生や世界の根本原理を解き明かそうとし、定まった答えのない問いに取り組み続けるという点も共通しています。本セクションでは、明滅するLEDのカウンターによって仏教的な死生観をあらわす宮島達男、ものの存在や周囲との関係性を追求してきた李禹煥(リ・ウファン)、そして奈良美智の祈リをささげているかのような少女を描いた絵画などを展示します。時間、自然、死後の世界、そこに「在る」ということ、そして信仰や救済といったテーマをもつ作品は、それぞれのアーティストが世界をどのように観察し、捉え、そして表現するのかを見せてくれるでしょう。

4.算数
算数あるいは数学は、極めてクリエイティブな領域でもあります。数字は多くのアーティストが扱ってきた普遍的なテーマである「時間」にも深く関係します。美術の歴史を振り返ってみると、ルネサンス期には芸術だけでなく、数学、科学、解剖学、天文学などの領域を横断したレオナルド・ダ・ヴィンチや、数学者としても知られたアルブレヒト・デューラーのような存在もあり、数学者のルカ・パチョーりが『神聖比例論』(1509年)で述べた黄金比は芸術とも深く関わっています。本セクションは、フィボナッチ級数をネオン管で表したマリオ・メルツの大型作品で幕を開け、片山高妃、杉本博司、そして数学的な概念をパフォーマンスに投影した笹本晃の映像作品へと続きます。

5.理科
物理、生物、化学など、自然科学の領域とも、現代アートは無関係ではありません。世界各地の生態系は、自ずとアーティストが作品に採用する素材に投影され、科学的な視点から見えてくる世界の法則や自然のすがたは、アーティストの創造性を刺激してきました。また、今日のグローバルな最重要課題のひとつである気候危機や環境問題も、アーティストたちが長らく警鐘を鳴ら
してきたものです。さまざまな日用品が次々に連鎖反応を起こし、エネルギーを伝達してゆく様子を捉えたペーター・フィッシュリ&ダヴイッド・ヴァイスの映像作品、梅津庸-、サム・フォールズ、そしてナフタリンを用いた宮永愛子の新作や、ブラックライトを使用した田島美加の作品を展示します。

6.音楽
音楽は、空気の振動という意味では理科や算数と並び、科学的な領域でもあります。現代アートでは、音や音楽に関連する視覚的な要素を主題にする作品や、音や音響の意味や仕組みを考えさせるコンセプチュアル・アートがあり、実際に音を体験するもの、または音の不在を体感するものもあります。ジョン・ケージの《4分33秒》を流用するマノン・デ・プールの映像作品は、ピアニストと観客の両方に焦点を当て、沈黙の時間を演出します。また、音楽は宗教的儀式にも使われるなどアイデンティティとも深い関係があります。アフガニスタンの夜景にイスラム教の詠唱が流れるアジズ・ハザラの詩的映像、旧ユーゴスラビアで内戦後に生まれた子供たちが「マジカル・ワールド」を歌うヨハンナ・ビリングの作品、黒人女性を想起させる手の動きやサウンドに焦点をあてたマルティーヌ・シムズの作品などを紹介します。

7.体育
現代アートにおける身体的な運動や行動に着目した表現、身体そのものの作品化は、1960年代から「パフォーマンス」としてその位置づけを確立し、今日では映像作品の主題となることもしばしばです。クララ・リデンがバレエを通じて表現する規範と模倣など、アーティストは自身の身体を用いて多様なテーマを表現しています。映像の中の身体は、クリスチャン・ヤンコフスキーの作品に見られるように歴史とそこからの解放といった「身体の政治性」を表象する役割を果たすこともあります。また、本展では、競技が行われるスタジアムの建築的な特徴に注目したり、マスメディアで映し出されるスポーツにも焦点を当て、この科目がもつ社会への広がりも考察します。

8.総合
本展の作品はどれも、単一の科目や言葉、セクションといった枠組みに、すっかり収まってしまうようなものではありません。国語セクションの作品のなかにも数学的なテーマがあり、理科のなかにも社会的な課題が含まれています。最後のセクションである「総合」では、そうしたひとつの科目に収まらず、より幅広い領域を横断するような作品やプロジェクトを紹介します。現在、世界で最も注目を集めるアーティストのひとりであるヤン・ヘギュと、デンマークを中心に世界的に活躍するヤコブ・キルケゴールは、本展のための新作を発表します。また、演劇に基づいた方法論をもとに、東京という大都市の、日常的な景色を、私たち自身の意識によって変容させてゆく、高山明のプロジェクトを紹介します。

主催・協賛・後援

主催:森美術館
企画:片岡真実(森美術館館長)、熊倉晴子(森美術館アシスタント・キュレーター)、近藤健一(森美術館シニア・キュレーター)、椿玲子(森美術館キュレーター)、徳山拓-(森美術館アソシェィト・キュレーター)、矢作学(森美術館アシスタント・キュレーター)、マーティン・ゲルマン(森美術館アジャンクト・キュレーター)

平均:0.0 
レビューした人:0 人

近くの展覧会

人気の展覧会