開催時間 |
12時00分 - 19時00分
日曜日12時00分~17時00分 |
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休み |
月曜日,火曜日,祝日
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
販売有
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この情報のお問合せ |
WAITINGROOM
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒112-0005 東京都
文京区水道2-14-2 長島ビル 1F |
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最寄り駅 | 江戸川橋 |
電話番号 | 03-6304-1877 |
WAITINGROOM(東京)では、2023年7月6日(木)から8月6日(日)まで、エキソニモの個展『On Memory』を開催いたします。
当ギャラリーでは2年ぶり3回目の個展となる本展は、「記録/記憶」をテーマとした新シリーズを中心に構成されます。本展で発表される新シリーズは、リロードすると消えてしまい、どこにも記録してはいけない=人間の記憶の中にだけ残る文章という、非常に一時的な条件をもって成立します。あらゆる情報をデジタルデータとして記録することができ、ブロックチェーン技術の登場によりさらにその永続性が高まったとされている現代で、人間の記憶を必須の条件として成立する作品は、デジタルデータや美術作品の永続性、その儚さを、エキソニモ独自のユーモアをもって浮き彫りにするような試みとなります。
本展の開催序盤、エキソニモは3箇所同時に作品を展示いたします。パシフィコ横浜にて7月7日(金)から7月9日(日)まで開催されるアートフェア『Tokyo Gendai』にNowHere(ニューヨーク)から参加するほか、7月8日(土)から7月10日(月)まで、WHAT CAFE & T-LOTUS M(天王洲)にて開催されるアートフェア『CADAN:現代美術』でも作品を展示いたします。この機会にぜひ、3会場をあわせてご高覧いただけましたら幸いです。
作家・エキソニモ(exonemo)について
千房けん輔と赤岩やえによるアートユニット。1996年にインターネット上で活動を開始。2000年から実空間でのインスタレーションやパフォーマンス、イベントオーガナイズ等へ活動を広げ、2015年からはニューヨークを拠点に活動中。2006年、世界的なメディアアート・フェスティバルであるアルス・エレクトロニカのネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞(大賞)を受賞。2012年には10数名のメンバーと共にIDPW(アイパス)を組織し、「インターネットヤミ市」をはじめとするイベントを国内外で開催。近年の展覧会として、2022年グループ展『GEMINI Laboratory Exhibition』(ANB Tokyo/東京)、『楳図かずお大美術展』(東京シティビュー/東京・あべのハルカス美術館/大阪)、2021年個展『CONNECT THE RANDOM DOTS』(WAITINGROOM/東京)、2019年グループ展『あいちトリエンナーレ2019 情の時代』(愛知県美術館/愛知)などが挙げられます。2020年に開催された個展『エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク[インターネットアートへの再接続]』(東京都写真美術館/東京)にて令和2年度(第71回)芸術選奨 美術部門 文部科学大臣新人賞を受賞。2021年には大林財団の助成制度「都市のヴィジョン – Obayashi Foundation Research Program」第3回のアーティストに選出され、本年春にその活動をまとめた記録冊子『Infected Cities』が刊行されました。
アーティスト・ステートメント
もう15年くらい前になるだろうか
嵐の日、隣の家の猫達が風雨にさらされながら重なるようになって寒さを凌いでいた。
お互いの温もりを感じながら、仲間といる安心を感じている、その小さな生き物たちを見ながら、誰も記録などとらない彼らのその時の感情が、宇宙のどこかに保存されているのでは無いかと、ふと想像した。
今回の展示のテーマは「記憶/記録」である。エキソニモが常に作品で扱う”デジタルデータ”は、ブロックチェーンの登場で「永続性」を手に入れたと信じられるようになった。今まで儚い存在だと思われていたデジタルデータが、永遠に消えないものになる(しかし、その真偽はまだ、誰もわからないが…。)
今回発表される、展覧会と同じタイトルの作品「On Memory」は、物質としてのマテリアル、支持体としての電子機器、ブロックチェーンに刻まれるデジタルデータ、そして人間の記憶という、それぞれ存続可能性の違う素材を組み合わされた新作シリーズだ。この、不確かさの上の奇跡的なバランスで成立する作品は、いつまで存在できるのだろうか。もしくはあっという間に記憶から消え去ってしまうのだろうか。あなたの記憶力も作品の一部となる、この新しい試みを体験しにきてください。
エキソニモ
記録媒体としての「人間のメモリー」
ネットワーク世界と現実世界を柔軟に行き来するような活動を行なってきたエキソニモが今回着目したのは、人間の記憶です。
パスワードから思い出の写真に至るまで、身の回りのほとんど全ての情報をデジタルデータとして記録し保存することは、言わずもがな当たり前の営みになりました。インターネットで検索すれば、世界中の誰かが記した記録物を情報として見つけることも容易です。さらに、中央集権的なデータベースではなく、分散型のシステムをもつブロックチェーンの登場により、デジタルデータの保存性はさらに高まったと言えます。そんな現代でも、人間の記憶の中にしか残らないものは存在し続けています。
本展で発表される新シリーズでは、額装されたモニターの中に、インターネットブラウザの検索バーのような形状が表示され、さらにその中に短い文章が入力されます。この文章は、その日のギャラリーオープン直前にスタッフが入力した文字で、営業時間が終わり、電源を切ると消えてしまいます。この文字列を写真やメモで記録することは禁じられており、スタッフ間の共有は、記憶に基づき口頭伝承のような形で行われます。
このように、エキソニモの新シリーズ『On Memory』は、額縁などのマテリアル、モニターなどの電子機器といった構成要素に加え、永続性をもつと信じられ始めたデジタルデータ、そして人間の記憶が揃うことが、作品の成立条件になっています。人間はいつか確実に死を迎えますが、人間の記憶の中にだけ残された要素を持つ作品は、いつまで「作品」であり続けられるのでしょうか。「記憶/記録」とその永続性をテーマとした本展は、美術作品の最期、ひいては永続性を手に入れたとされているデジタルデータの最期を予感させ、「人間のメモリー」を使わないと残らないものの存在を思い出させるでしょう。
オープニングレセプション:7月8日(土)17:00-19:00