小倉正志展「タワー」

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会 期
20110827日 -  20110918
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
最終日の展示は18:00までとさせて頂きます。
月曜定休
クリエイター在廊

8/27
この情報のお問合せ
neutron tokyo
TEL&FAX 03-3402-3021
イベントURL
情報提供者/投稿者
poster
開催場所
neutron tokyo
住所
〒107-0062 東京都
港区南青山2丁目17-14
最寄り駅
外苑前
電話番号
03-3402-3021

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

15年に渡り、現代都市の姿を描き続ける画家、小倉正志。
2001年の9月11日から十年を経た今、未だなお世界を覆う混沌のヴェールの中にそびえたつ「塔」。
果たしてそれは人類の救済のための象徴なのか、それとも限りなく繰り返される災厄の前兆なのか。
移り変わる都市の表情とともに変遷する絵画の流れの中に、うっすらと見える人類の祈り。

[主催者コメント]
2009年に私のセレクションで、京都と東京の二会場での作品展(画業を網羅する代表作による構成だった)を開催した小倉正志が、2010年初頭の京都での新作展以来久しぶりに大規模な新作展を開催する。その間の制作は当然ながらリーマンショック以後の世界の動向を見やりながらのものであったが、なぜこのタイミングにまで待たすことになったかと言えば、もちろん「9.11」からちょうど10年が経過する頃を見定めてのものである。

 小倉の掲げるテーマは一貫して変わらない。私達が生きる「都市」の印象をその時代時代において正確に・そして大胆に掴み取り、キャンバスにその表情を描き切る。延べ15 年にもわたるその作業は、作家としての制作の変遷を知ると同時に、時代における都市の移り変わりを感じられるドキュメンタリー性も孕んでおり、彼が新作に投影する風景は今この時代の空気を如実に反映したものである。インターネットの普及によって一年一昔と感じられる現在において、15年という月日は決して短期間の出来事として見過ごす事はできないだろう。むしろこの間にこそ、人類の築き上げる文明の象徴である「都市」の姿は刻々と猛スピードで変化し、衰退と隆盛を各地で見せながら、地球という限られた星に必死でしがみつきながら懸命に生きる人間の姿そのものを現してきた言えよう。

 作家の言葉を借りるまでもなく、「9.11」はそれまでの世界の在り方を一変させた。超大国アメリカの権威と国力を失墜させる契機となっただけでなく、現代都市の神話性を打ち砕き、かつ人類の永遠の課題とも言える宗教と文化の違いの問題を世界中の人の心に深く刻むこととなった。それまでどちらかと言えば情熱的で狂騒的な都市の姿を描くことの多かった小倉の作品にも多大な影響を与え、以後の作品では都市の多様な側面を描くようになってゆく。晴れやかなパレードのような状景は影を潜め、寡黙に林立する高層ビルの存在が際立つようになり、次第に人間の存在はうっすらとしたものになってゆく。色彩においても強烈なコントラストと筆圧が、次第に穏やかで内省的なものへと変化する。歴史の上では2001年の9月11日に記される出来事は、今なお私達の世界の上に重々しい見えないカーテンをかけているようである。

 だが人類は未だ自然に対する挑戦(威信をかけた戦い)を止めようとはしない。特に西洋の神話の時代から継承されてきた「高みを目指す」行為、即ち高層建築は中東やアジアに舞台を移しながら本質的な競争(狂騒)の原理を変えてはいない。そして見守る私達もまた、懲りずに打ち立てられるそれらの現代彫刻を眺めることに飽きず、天空に近づくことが幸福への近道だと信じるかのようである。

 今回の発表作品は2009 年から今年にかけて制作されたものだが、その主題となっているのは「塔」である。身近なところでは東京の新旧シンボルタワーを想起させるが、日本に限らず世界各地で「塔」は愛され続ける。本来の目的は主に電波を飛ばすためのものであるのだから味気なくも感じられるが、その存在は電波より遥かに遠くまで影響を及ぼし、都市の主役となる。だが、小倉の新作にもはや都市そのものの猥雑さや混沌が見られない様に、現代の塔は地上から遥か上へと進出することにより、周囲に対し崇高なまでの突出感を与えている。その突端を描こうとすればこのように、私達の住む下界は描かれないことになるのだ。

 「3.11」による新たな天変地異に瀕してもなお私達は、東京タワーやスカイツリーに対し富士山さながらの畏敬と愛着の念を持ち、高さへの信仰を捨て去っていない。旧約聖書のバベルの塔は、人間が空に届かんとする様を見て神が天罰を与えたとされる。その際に神は(人間は原初、同じ言語を持っていたとされ)言語をバラバラにすることにより人間達を散り散りに住まわせた。だとしたら、私達が天を目指す行為は災厄を招く愚かな行為なのか、それとも異文化を再び集約して理想の高みを実現せんとする、永遠の戦いなのか。

                                                  gallery neutron 代表 石橋圭吾

[アーティストステートメント]
都市を描くということは、現代を描くということだと思っている。
この15年間、都市をテーマに制作を続けてきた。その中で、飽きるどころか都市に対する魅力は高まっている。
都市は感情を持つ生命体として、我々の時空に存在する。20世紀以後、天に向かって発展してきた都市は、人間の欲望の象徴として、高層ビルを地上に構築し、21世紀には、上海、ドバイという新興の経済エリアにも、他を圧倒する塔が天に向かって聳え立つ。
そんな都市の繁栄を打ち砕く出来事がニューヨークのマンハッタンで起きた。
2001 年9 月11 日に世界貿易センタービルに2機の航空機が激突した同時多発テロである。
この日を境に、世界の価値観は変わり、その後の世界は混沌と模索の中にいる。
生命体としての都市は増殖し、拡張と変貌を繰り返す。人間の身体性をはるかに超越した都市の生命力は都市空間の中で複雑に絡み合い、デジタルネットワークを“ 神経”とするなら、電力は動脈であり“ 血流”といえるだろう。
これとは対照的な光景として、自然の光やイルミネーションを背景とした都市の姿には、優しさや、希望を感じさせ、人間の心を揺さぶる。
こうした相反する姿が都市の魅力であり、都市に生きる者にしか体験できない特権といえるのではないか。
私が都市を描き続けてきた今、9.11 のニューヨークの同時多発テロ以後、都市の持つ普遍的な2つの貌(かお)をテーマに制作することを考えた。パワーとエネルギーに満ちた都市の貌、
もう一つは、優しさと癒しをテーマにした都市の貌である。
前回2009 年のニュートロン東京での展示では、10 年以上の制作期間の中からセレクトした作品が中心であったが、今回の展示では、2009 ~ 2011 年8 月までの期間の作品を中心に構成されている。
今回の展示は、15 年間の節目の発表でもあり、また新しい展開の始まりでもある。20 世紀以前の作家が見ることすら出来なかった増殖する都市の繁栄を描くことは、今世紀に生きる作家に与えられたテーマといえるのではないだろうか。

小倉 正志

関連情報

初日(8/27・土)の18:00~20:30に、会場で作家を交えてのオープニングパーティー開催(無料)

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