コレクション展3 反映の宇宙 特集:上田 薫
開催概要
- 会期
- 2017年01月28日 〜 2017年03月26日
- 会場
- 神奈川県立近代美術館 葉山 (神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1)
- ジャンル
- アート
- タグ
- 平面、版画
開催内容
水面やガラス、シャボン玉……透明な「鏡」に映ろう像は、かすかに歪み、たえず揺らぎながら、時々刻々と変化しています。鏡の中のわたしは、いつも左右逆向きで、似てはいても同じではない、もう一人のわたしのようにも見えます。あたかも二枚貝のごとく、微妙にズレながら重なり合う実像と虚像。これら反映し合う像をイメージと呼ぶならば、イメージの根源とはまさしく「鏡の中」=「反映の宇宙」に潜んでいるのかもしれません。
本展では、上田薫(1928-)を特集します。1958年、南画廊での初個展以後、デザイナーとして活躍した上田は1968年頃から画家として活動を再開。なま玉子やスプーン、水の入ったガラスのコップといった日常的な「事物」を対象に、写真を用いた独自のリアリズムを確立させます。その創作世界は、いわゆる「スーパーリアリズム」で括られるものではなく、むしろ一見、写実的な描写の中に、するりとさりげなく射し込まれた「反映」にこそ作家の視線は向けられていました。
1990年代になると、対象は身近な「事物」から、自らを包み込む自然――水の流れや大気、雲など変幻自在な「現象」へと広がっていきます。川や空に無数の光が反射し、乱舞する一瞬、一瞬を鮮明に描いた画面は、きらめく壮大な鏡とも言えるでしょう。本展では、1970年代の作品からシリーズ〈流れ〉や〈Sky〉への展開、さらに最新作を含む約15点を通して、上田が追求してきた「反映の宇宙」を再考したいと思います。
また、当館の版画コレクションから約50点の作品を通して、反映のイメージをさぐります。版画は、その成り立ちにおいて原版と画像が反転することから鏡の反映と合い通じます。長谷川潔(1891-1980)、浜口陽三(1909-2000)、丹阿弥丹波子(1927―)、草間彌生(1929―)、秀島由己男(1934—)、柄澤齊(1950—)らがモチーフとする鏡やガラス、水、貝殻、蝶などには、反映をめぐる版画ならではの眼差しがうかがえるでしょう。
上田薫 略歴
1928年 東京都生まれ。
1954年 東京藝術大学油画科卒業。
1956年 アメリカのMGM社ポスター国際コンクールでグランプリ受賞。
1958年 南画廊(東京)で初個展。以後、グラフィックデザイナーとして活躍。
1968年頃から再び絵画制作を始める。
1970年 《貝殻》を制作。以後、シリーズ〈なま玉子〉〈シャボン玉〉などを発表。
1972-75年 ジャパン・アート・フェスティバル展出品。75年、優秀賞受賞。
1975年 第11回現代日本美術展出品。東京国立近代美術館賞受賞。
1975-81年 フマ・ギャラリー(東京)で個展。
1993年 UCPギャラリー上田(東京)で個展。シリーズ〈流れ〉を発表。
2000年 光と緑の美術館(神奈川)で個展。シリーズ〈Sky〉を発表。
現在、鎌倉市在住。