加藤 富也 “ La strada - たゆたう道すがら ”
開催概要
開催内容
s+arts(スプラスアーツ)より、加藤富也 個展「La strada - たゆたう道すがら」の開催をご案内申し上げます。
30年以上点描画を描き続けている加藤富也の作品は、事物の描写による再現ではなく、空間に浮遊する素粒子のような「存在の気配」を抽出して再構成されています。全ての色彩を混合すると無彩色のグレーとなる中で、様々な色を感じさせるグレーを描くという、自身の基本表現から生まれる作品はどれも、一見落ち着いた色味で統一されているように見えます。しかしながら、目の前に広がる無数の点は、近くで見ればみるほどその鮮やかさが増し、気配を醸し出すための様々な色彩で溢れています。近年では、モチーフや色彩の幅を広げることにより、点描の可能性と色彩の可能性、そして絵画作品としての豊かさを更に追求しています。
本展「- La strada - たゆたう道」では、過去に加藤が実際に歩いた道の風景や記憶、サブスタジオのある北東北の道と風景、そして道に関わる様々なジャンルのモチーフをもとに、道に関わる様々な想いを作品にしています。
「道と地表の記録は自分の作家としての原点でもありますが、当時は記録性や自己理論を重視した、いささか窮屈な作品でもありました。
今回は感覚を解放して、膨らむイメージを重視して行きます。それが点描表現と重なると自分でも予想がつかない部分があり、正に戸惑いながら揺蕩いながら作画を進めています。
作画の過程で一つのことに気がつきました。
数年前から人形をモチーフとして取り入れて来ましたが、人をそのまま描くより、人形の形にした方が自分には扱いやすいということです。
生身ではあり得ないポーズもできるし、表情や感情表現も自分には、より自由に扱えるように思えます。
その結果、美歩乃さんも人形にしてみました。また初めて男性の人形も登場します。こちらは先ず男性一般としての登場で、特に名前も無いのですが、実は自画像の要素を含んでいます。」--- 加藤富也
独自の制作理論に従って自身の個性や感受性を長年制限してきた加藤が、数年前、それらを開放するという方法で、作品の印象を大胆に変化させたシリーズを発表いたしました。クールな印象が強かったこれまでの作品に、柔らかさや可愛らしさのような印象が加わり、鑑賞者を驚かせました。また、人形というモチーフを取り入れ、好ましくないことの多い現実の世界で、たゆたいながらも世界に希望を求める加藤自身の心を投影しながら制作を進めた作品を発表してきました。今回は、これまで加藤が作品制作のために考えた物語に登場してきた人物の一人、美歩乃さんも人形にして作品を展開しています。人形というモチーフは、加藤に取って自身の表現したい人物の表情や動
作をより自由に描くことが出来るようです。
点描画は、拡大すると点の集合体となり、何をモチーフに選んだとしても描かれたものは抽象画と解釈することが可能だと加藤は考えます。そこに確かに存在することで感じられるエネルギーのような気配を捉えることに重きを置き、制作を続けています。今回は、道の写真や、加藤の中で年々重要になりつつある北東北の風景をモチーフに取り入れた作品も含めて発表いたします。これを機に、加藤富也の新作展を是非ご高覧ください。