深澤 修 展 水鏡考2026「虚室生白」
開催概要
開催内容
特殊技法による手漉き和紙と白砂によるインスタレーションを中心に、「漉く」と「描く」とを合体した和紙オブジェなど。
F室は一室全体がインスタレーション。
e室は、小品や和紙オブジェ、クラフトなど、約20点。
作家のコメント
私の作品創作は、絵画を描く前の基底材〈和紙〉を“漉く”ことから始まり、その和紙にドローイングなどして完成します。完成作品は“漉くこと”と、“描くこと”の合体作品です。水から誕生したばかりの和紙は、まるで純白な「水の皮膚」のようです。私の描写作業は、その「水の皮膚」から発せられる“白い光”を湧出させるためのもので、必ずしも描かれた形象(イメージ)を観せるためのドローイングではないようにも思います。それ故に私は、木漏れ日や水影などの“影”を、木炭や顔料で描く作業を繰り返してきました。あの木漏れ日の「日の班」のような“白い光”を際立たせるためにです。
禅の名僧、夢窓国師(疎石)は天龍寺『十境』で、曹源池にこんな偈頌(詩)を残しました。
曲岸回塘休著眼 岸辺の景に眼を奪われる勿れ、
夜䦨有月落波心 夜半の池心に宿る月影を見よ。
「曹源池に映る景色はとても綺麗だ。しかしその表面の美しさに眼を奪われてはいけない。夜が更けて、美しく彩られた景色は消え、映ろうともなく月が池に影を落とし、水面には月光が無心に輝いている。その水鏡に映る月影の“白い光”を見ることだよ」と、夢窓禅師は謳うのです。
河原で拾った小石があります。水の流れで削られて角の取れた小石の表面には、水の記憶が見えない痕跡となって潜んでいます。その小石を和紙(水の皮膚)の柔肌に映し、白い光の水鏡に浸してみました。今回の展示は、その和紙と白砂との組み合わせによる“白い光”の空間を創出するインスタレーションを試みました。
※因みに、夢窓国師は私の住む甲府盆地の南縁で、4〜9歳までの多感な幼年期を過ごしました。