大竹伸朗展 網膜

開催概要

会期
2025年08月01日 〜 2025年11月24日
会場
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 (香川県丸亀市浜町80-1)
参加クリエイター
大竹伸朗
ジャンル
アート
タグ
彫刻、立体、インスタレーション

開催内容

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)では、2013年の「大竹伸朗展ニューニュー」に続いて12年ぶりに大竹伸朗(1955-)の個展を開催します。大竹は1970年代後半より作品発表を始め、ドクメンタ(ドイツ)やヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア)など重要な国際展への参加を経て、近年では東京国立近代美術館を皮切りに愛媛、富山へと巡回した大規模な個展まで、国内外での幾多の展覧会を開催してきました。その半世紀におよぶ活動を通じ、圧倒的な熱量が生み出した膨大かつ多様な作品の数々から、本展は〈網膜〉にフォーカスすることにより大竹の作品世界をさらに掘り下げようとするものです。

〈網膜〉シリーズは、1988年に制作の拠点を移した宇和島のアトリエで着想され、1990年代初頭まで集中的に制作されたあとも、他のシリーズへの展開を伴いながら制作が続けられてきました。網膜とはそもそも眼球の最奥にある、光を感受し視神経を介して脳に情報として伝える機能を担う薄い透明の膜ですが、大竹は、廃棄された露光テスト用のポラロイド・フィルムに残された光の痕跡を大きく引き伸ばし、その表面に透明の絵具としてウレタン樹脂を塗布する絵画作品のシリーズに、この名をつけました。分離している「写真像の色面」と「透明の塗膜層」の2つが私たちの網膜を介して脳内で統合され、「時間」と「記憶」を内包した新たな像として立ち現れます。現在制作中の新作の〈網膜〉でもさらなる更新が試みられる一方で、長期間放置され変質した感光剤は、そこに蓄積する時間を像として刻印し、その像を透明の塗膜層が幾重にも覆うことで、一貫して〈網膜〉が発する情景は未だ見ぬ記憶として見る者を揺さぶり続けます。

こうして新たに創り出された渾身の新作〈網膜〉12点に加えて、〈網膜〉に音と光を組み込んだ、高さ約3mのレリーフ状の新作、そして1990年代初頭に制作された未発表の大型〈網膜〉をはじめとした作品群が核となり、構想時のサイズに更新した大規模インスタレーション《網膜屋/記憶濾過小屋》(2014)、2010年代半ばから続くグワッシュの連作〈網膜景〉や油彩のシリーズ〈網膜/境〉といった、「時間」や「記憶」を介して〈網膜〉と絶えず往還し続ける作品が骨格となります。本展では、さらに「眼」「フィルム」「写真」から〈網膜〉へと接続する膨大な数の作品をも取り込みながら拡がり続ける大竹伸朗の〈網膜〉世界を展観します。

[見どころ]
大竹作品のなかでも〈網膜〉シリーズに注目した展示
本展では、大竹伸朗の半世紀に渡る幅広い活動をたどる上で重要な〈網膜〉シリーズを中心に掘り下げて紹介します。1988年にアトリエを宇和島に移した時期に構想されて以来、継続的に制作されてきた本シリーズを、宇和島と同じ四国・予讃線沿線に位置する丸亀(MIMOCA)で展観します。様々な作品群との連関から浮かび上がる〈網膜〉の変遷をたどることで、大竹作品の魅力をより深く感じられます。

〈網膜〉シリーズの最新作12点、未発表作品を一挙公開
本展にあわせて新たに創り出された新作〈網膜〉12点に加え、〈網膜〉に音と光を組み込んだ高さ約3mのレリーフ状の巨大な新作や、1990年代初頭に制作された未発表の大型作品の〈網膜〉をはじめ、これまで目にすることのなかった貴重な作品群をMIMOCAで初展示します。平面からインスタレーションまで多様な表現で展開する大竹の〈網膜〉の世界を、新たな視点から体感いただけます。

12年ぶりのMIMOCAでの個展
2013年以来、12年ぶりに丸亀で大竹伸朗の個展を開催することとなりました。本展は1階エントランスから2階・3階の展示室まで全館を使った圧巻の展示構成になっています。
MIMOCAでは1991年の開館以来150本を超える企画展を実施してきましたが、本展は当館の歴史においても最大規模と密度の高い展覧会となるだけでなく、大竹の現在地を示し、これからの展開を予感させる極めて重要な展覧会となることでしょう。

大竹伸朗展 網膜