開館90周年記念展 木々との対話 ― 再生をめぐる5つの風景

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会 期
20160726日 -  20161002
開催時間
9時30分 - 17時30分
金曜は20時まで。9月23日(金)、30日(金)は 17時 30分まで。
※入室は閉室の30分前まで
休み

※ただし9月19日(月・祝)、9月20日(火)は開室)
入場料
有料
一般 800 円、団体(20 名以上)600 円、65 歳以上 500 円、大学生・専門学校生 400 円、高校生以下無料(要証明)
※9月17日(土)、18日(日)は「家族ふれあいの日」により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は一般当日料金の半額(要証明) ※9月21日(水)は「シルバーデー」により、65歳以上の方は無料(要証明) ※10月1日(土)は「都民の日」により、どなたも無料 ※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添の方(1名)は無料(要証明)
この情報のお問合せ
03-3823-6921
情報提供者/投稿者
開催場所
東京都美術館
住所
〒110-0007 東京都
台東区上野公園8-36
最寄り駅
上野
電話番号
03-3823-6921

詳細

展覧会内容

 1926(大正15)年 5月、新緑の季節に上野公園に開館した東京都美術館は、今年、2016(平成28)年に開館 90周年の節目を迎えました。
 「上野の杜」は都会のオアシスとして、長い間人々に親しまれ、愛されてきました。同時に、木は家屋などの建築物、仏像や家具、工芸品の材料としても身近な存在であり、長い美術の歴史の中で伝統的な素材として大切に使われてきました。

 当館では、この「木」に改めて着目し、開館 90周年記念展として、木に向き合う 5人の作家-國安孝昌、須田悦弘、田窪恭治、土屋仁応、そして舟越桂-による企画展「木々との対話―再生をめぐる 5 つの風景」を開催しています。

 命ある存在として、そして循環し再生する有機体である木に、私たちは心を寄せ、希望を見出してきました。3.11から 5年を経た今年、本展では「木と再生」をキーワードに、各世代の現代日本を代表する美術家5 名による木彫とインスタレーション、「5つの風景」を紹介いたします。
 硬質で柔軟かつ堅牢そして繊細な木という素材、そして再生あるいは希望の象徴としての木。本展では、そうした木に対する希望のイメージを重ねながら、それぞれ独自の表現を追究する5人の作家の現在の表現世界を、存分に体感していただくことができるでしょう。

國安孝昌(くにやす・たかまさ)

國安孝昌は、1980年代から空間を編むように木と陶ブロックを積み上げる、ダイナミックなインスタレーションに一貫して取り組んでいる作家です。近年では各地において、「竜神」や「水神」というタイトルの、私たちが忘れかけている精神性や伝承を象徴するような作品づくりを行っており、仮設の構築物は屋外でも屋内でも強い存在感を持ち、周囲の空間を一変させてしまいます。
本展でも、天井高10メートルを超える当館独特な巨大空間を生かしたスケール感と、密度の高いインスタレーションに挑みます。丸太と陶ブロックを編みこむように積み上げる、シンプルな組み合わせの作品は、古代のモニュメントを彷彿とさせます。どのような空間にでも調和し、場所の力を生かすことができる、と語る國安による、生命力溢れる芸術にご期待ください。

須田悦弘(すだ・よしひろ)

須田悦弘は、本物と見まがうほど精緻に、雑草や花を彫刻し、その彫刻を置くインスタレーションにより知られる気鋭の美術家です。
須田の巧みなインスタレーションは、普段、着目しないような、なにげない場所に、存在するはずのない植物を出現させます。それは、私たちが日常を過ごす中で当たり前ととらえ、見過ごしがちなものに対するまなざしを取り戻すきっかけを与えてくれるものです。また、彫刻本体のみならず、作品が置かれる空間や環境にも細心の注意を払い、完成度の高い、緊張した空間を作り出します。
本展では、通路や隙間に不意に登場する、繊細な新作のインスタレーションをご覧いただけます。さらに、展示室以外(美術情報室ほかを予定)にも展示するなど、前川國男が設計した当館の建築との競演も見所です。

田窪恭治(たくぼ・きょうじ)

田窪恭治は、フランス・ノルマンディの「林檎の礼拝堂」や「こんぴらさん」の再生プロジェクトで知られるベテランのアーティストで、多くの国際展に出品し、その実績は数々の受賞と高い評価を得ています。
本展では、田窪が再生プロジェクトを手がける以前の 1980年代に精力的に取り組んだ、廃材の上に金箔を貼るアッサンブラージュのシリーズの作品を展示します。このシリーズで田窪は、命を終えかけた廃材というものの価値を転換させて、尊く、高貴なオブジェへと再生させています。そして、田窪が美術館やギャラリーという室内での活動から、屋外の風景、そして再生へと、表現の手法やフィールドを越境してゆく軌跡をたどります。
さらに、本展のための新作として、当館の東京大空襲で被災したイチョウと、コルク(CORQ)というコルテン鋼のブロックを敷き詰めるインスタレーションにより、被災から復活を遂げた大きなイチョウとのコラボレーションによる風景芸術に挑戦します。

土屋仁応 (つちや・よしまさ)

土屋仁応は、実在の動物や、神話や伝説の生き物を、仏像彫刻の技法を取り入れて彫刻し、独自の技法による着色を施す、若い世代を代表する気鋭の木彫作家です。
生まれたばかりの動物たちや、竜や麒麟などの幻獣の世界へと誘います。一見かわいげな動物彫刻は、形態も質感も彩色も独特であり、現実とも幻想ともつかない不思議な気品とオーラに包まれています。か弱く、あどけないすがたの生き物の彫刻は、移ろいやすい生命の、変化する瞬間を永遠にとどめるものです。無垢の魂を繊細に取り出したかのような彫刻は、見るものに生まれ出ずる喜びや、はかなく、傷つきやすい命の尊さを感じさせてくれます。本展では、旧作とともに新作の大型彫刻を発表します。

舟越 桂(ふなこし・かつら)

舟越桂は、気品と格調の高い木彫による肖像彫刻と「スフィンクス・シリーズ」など異形の人物像で人気の高い、今日の日本を代表する彫刻家です。大理石よる目の表現と美しい彩色も魅力となり、人物像でありながら風景や物語を感じさせる奥行きのある作風は、多くの人々に愛され続けています。半身の肖像彫刻というスタイルを確立し、国内外で高い評価を得る一方、1990 年代半ばには胴体と山が一体化した人物像など、異形の姿が登場しはじめます。2000 年以降は裸体像に表現領域を拡げ、さらに近年では両性具有のスフィンクスのシリーズにも取り組んでいます。
舟越の彫刻は、悲しみや怒り、憎しみという負の感情も含めた、人間の存在そのものを肯定する、強いメッセージを放つものです。
本展では、これまで東京ではあまり展示することがなかった過去の作品の中から、スフィンクスのシリーズなどをご紹介するとともに、最新作の彫刻とドローイングを発表いたします。

関連イベント

■学芸員によるギャラリートーク
 日時:9月17日(土)14:00~15:00
 場所:ギャラリー(本展会場内)ほか

主催・協賛・後援

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
協力:ギャラリー小柳、西村画廊、メグミオギタギャラリー、上野「文化の杜」新構想実行委員会
特別協力:新日鐵住金株式会社

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