特別展 京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ
会期: 2018-09-29 - 2018-11-25
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
クラフト
展覧会タグ:
刀剣
伝統工芸
開催内容
王城の地・京都では、平安時代から現代にいたるまで、多くの刀工が工房を構え、あまたの名刀を生み出してきました。これら京都で製作された刀剣は、常に日本刀最上位の格式を誇り、公家、武家を問わず珍重され、とりわけ江戸時代以降は武家の表道具として、大名間の贈答品の代表として取り扱われました。
本展では、現存する京都=山城系鍛冶の作品のうち、国宝指定作品17件と、著名刀工の代表作を中心に展示し、平安時代から平成にいたる山城鍛冶の技術系譜と、刀剣文化に与えた影響を探ります。
また、武家文化だけでなく、公家・町衆を含めた京文化の中で、刀工たちが果たした役割に迫ります。
京のかたなの誕生(平安時代後期)
日本刀様式の刀剣がいつ発生したのか厳密には特定できませんが、武士の台頭と密接な関係を持っているのは間違いありません。 この章では、絵巻に描かれた戦乱の様子や武者の姿をご覧いただくとともに、山城鍛冶の祖たる三条宗近とその一派の作品をご紹介します。 以後800年の永きに渡る、山城鍛冶の物語の始まりです。
後鳥羽天皇と御番鍛冶(鎌倉時代前期)
皇位継承の象徴である神器を欠いたまま在位した後鳥羽天皇。 その存在は、失われた宝剣を求めて自らが作刀する天皇とその御召鍛冶という伝説を生み、「君御手づから焼せ給けり」とされる刀身に菊の御紋を刻んだ菊御作が造られるきっかけになりました。
粟田口派と吉光(鎌倉時代前期~中期)
13世紀初頭頃から京都・粟田口周辺に居住した刀工群を粟田口派と呼び、中でも後鳥羽上皇の御番鍛冶と伝える国友・国安を含む久国・国清・有国・国綱の六人がつとに知られています。 この章では粟田口派の代表工全員の作品と吉光の傑作を紹介し、その抜きん出た技量と作品の放つ品格を堪能していただきます。
京のかたなの隆盛(鎌倉時代中期~後期)
粟田口派以外にこの時代を代表するみやこの鍛冶集団である来派は、作品の完成度の高さのみならず、京文化や技術の伝達・派生といった面で地方へ影響を与えました。 この章では山城鍛冶の隆盛と彼らが地方に与えた影響を紹介します。
京のかたなの苦難(南北朝~室町時代中期)
応仁の乱、続く天文法華の乱で壊滅的な打撃を受けた洛中でも、山城鍛冶は火を絶やすことなく作刀を続け、伝統を守り抜きました。備前や美濃といった他国の刀剣に押されて衰退を余儀なくされつつも苦境の時代を生き抜いた山城鍛冶の作品を紹介します。
京のかたなの復興(室町時代後期~桃山時代)
群雄割拠の時代を迎え、戦国大名らがこぞって上洛を目指しだすと、種々の職人たちもみやこへ移住しはじめます。この章では、堀川派、三品派などの新たな山城鍛冶と、慶長期の不世出の名人・埋忠明寿を紹介します。
京のかたなと人びと(江戸時代中期~現代)
この章では、京都の古社寺に奉納された名刀を展示し、京の人々が抱いていた刀剣への畏敬の念を紹介します。 また、展覧会の締めくくりとして、最後の山城鍛冶にして人間国宝・隅谷正峯の作品をご覧いただきます。