開催時間 |
10時00分 - 19時00分
入場は終了10分前まで |
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入場料 |
無料 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
FUJIFILM SQUARE
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒107-0052 東京都
港区赤坂9丁目7番地3号 東京ミッドタウン・ウェスト1F |
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最寄り駅 | 六本木 |
電話番号 | 03-6271-3350 |
FUJIFILM SQUARE(フジフイルムスクエア)では2018年11月9日(金)から11月28日(水)まで「アメリカ近代写真の至宝ギルバート・コレクション展」を開催いたします。本展は昨年のアンセル・アダムス展に続き、京都国立近代美術館所蔵の貴重なオリジナル・プリントを展示するものです。
現代の写真表現は、1900年代にアルフレッド・スティーグリッツが提唱した「ストレート・フォトグラフィー」を出発点の一つとしています。絵画的表現から分離し、レンズの直截な描写を生かす写真独自の芸術を求めようとしたこの潮流は、フォト・セセッション(写真分離派)を中心として始まり、現在も世界中で発展しつづけるすべての写真表現の源流の一つを成したと捉えることができるでしょう。アメリカではその後、1932年にエドワード・ウェストンやイモジェン・カニンガム、アンセル・アダムスらによって「グループf.64」が結成され、ストレート・フォトグラフィーの美学がプリント作品として極められていきました。そして、1940年代、50年代に入ると、彼らと後進の写真家たちによって、アメリカの写真は自然や宇宙、人間の営みをも示唆する精神性に満ちた独自の写真表現へと進化していきました。
本展は、京都国立近代美術館の協力を得て、同館所蔵の写真コレクション「ギルバート・コレクション」より、「近代写真の父」と称されるアルフレッド・スティーグリッツをはじめ、イモジェン・カニンガム、エドワード・ウェストン、アンセル・アダムス、ハリー・キャラハンら、アメリカ近代写真を代表する10人の写真家たちによる珠玉の写真作品、約70点を一堂に展示いたします。
ギルバート・コレクションは、米国シカゴ在住のアーノルド&テミー・ギルバート夫妻が約20年間にわたり収集した世界屈指の写真コレクションです。1986年、その膨大な写真コレクションの中から精選された1050点が京セラ株式会社によって購入され、日本初の大規模な写真コレクションとして京都国立近代美術館に寄贈されました。同コレクションの最大の特徴は、1930年代から50年代のいわゆる近代写真の巨匠たちによる充実した作品群にあります。また、ニュー・バウハウス(シカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン)の写真家たちによる作品を豊富に有している点においても特に優れており、内容、質ともに大変価値の高い写真コレクションとなっています。
ギルバート・コレクションのまさに至宝というべき傑作の数々は、アメリカの近代写真の表現と歴史を、直に現代に伝えるものです。巨匠たちが追求し、その頂点を極めたオリジナル・プリントを通じて、現代の写真表現の源流を再認識し、写真表現の本質とは何か、これからの時代における写真の可能性がどこにあるのかを見つめ直すきっかけになれば幸いです。
●出品写真家プロフィール
アンセル・アダムス(Ansel Adams)1902-1984
サンフランシスコに生まれる。ピアニストを目指していたが、ポール・ストランドに出会い、写真家を志す。1932年、イモジェン・カニンガムやエドワード・ウェストンらとグループf.64を結成。 1941年、露出と現像をコントロールする写真の技術理論「ゾーン・システム」を発表。自然の中にある美や崇高を表現した作品を制作し、銀塩写真の極致を究めた。世界的に最も著名な写真家の一人として知られる。
ウィン・バロック(Wynn Bullock)1902-1975
シカゴに生まれる。声楽を学び、テノール歌手として活躍していたが、ラースロー・モホリ=ナジやマン・レイの作品に影響を受け、写真を撮り始める。初期には実験的な作品を制作していたが、1948年、エドワード・ウェストンに会ったことでストレート・フォトグラフィーに転じ、自然の風景やヌードなどを被写体に、時空性、精神性に富んだ作品を制作した。
ハリー・キャラハン(Harry Callahan)1912-1999
デトロイトに生まれる。アンセル・アダムスのワークショップに参加し、その作品に感銘を受ける。家族や街など身近な題材を被写体に、多重露光やカラー撮影で実験的な作品を試み、簡潔な画面構成と繊細な表現で独自のスタイルを確立した。シカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン、ロード・アイランド・デザイン学校で写真教師としても活躍し、多くの写真家を育てた。
イモジェン・カニンガム(lmogen Cunningham)1883-1976
オレゴン州ポートランドに生まれる。 1900年頃から写真を始め、ドイツ・ドレスデン高等工芸学校で写真化学を学ぶ。1910年、シアトルに写真スタジオを開設。1932年、エドワード・ウェストン、アンセル・アダムスらとグループf.64を結成。人間の身体や植物の造形の美しさを表現した作品や、リアリティのある表現で対象を描写した作品など、手法にとらわれす多彩な作品を制作した。
アーロン・シスキン(Aaron Siskind)1903-1991
ニューヨークに生まれる。1930年代、写真団体フォト・リーグの一員となり、ドキュメンタリー作品を撮っていたが、1940年代半ばから、クローズアップの手法で壁の落書きやポスターなどを題材に、斬新かつ大胆な画面構成で、抽象的な写真表現の世界を確立した。トレント短期大学やシカゴ・インスティテュート・オブ・デザインで写真教師としても活躍し、多くの写真家を育てた。
アルフレッド・スティーグリッツ(Alfred Stieglitz)1864-1946
ニュージャージー州ホボケンに生まれる。画家を目指しドイツ・ベルリンに遊学する。1882年、ベルリン工科大学およびベルリン大学で機械工学を専攻、H.W.フォーゲルに写真化学を学ぶ。ピクトリアリズムと呼ばれる絵画的写真に強く影響を受け、自身も作品を制作していたが、その後、写真独自の芸術として「ストレート・フォトグラフィー」を提唱。1902年、フォト・セセッション(写真分離派)の運動を始め、写真芸術の確立を目指す。1903年に『カメラ・ワーク』誌を創刊、1905年にはニューヨークにギャラリーを開設し、先進的な写真家や画家を紹介するなど、20世紀の新しい写真の方向性を示し、写真芸術の地位確立に尽力した。
ポール・ストランド(Paul Strand)1890-1976
ニューヨークに生まれる。ルイス・ハインやスティーグリッツのギャラリーに影響を受け、写真家を志す。1916年、スティーグリッツの創刊した『カメラ・ワーク』の最終号で、新しい時代の写真家として特集され、一躍脚光を浴びる。アンセル・アダムスにも大きな影響を与えた。1930年から1932年にかけメキシコを撮影旅行し、作品集を発表。映画の制作にも精力的に取り組んだ。
ブレット・ウェストン(Brett Weston)1911-1993
エドワード・ウェストンの次男としてロサンゼルスに生まれる。幼い頃から芸術家たちと接する環境で育ち、1925年に父エドワードから本格的に写真の手ほどきを受ける。弟のコールとともに、父のポートフォリオ制作を担当する一方で、自身の作品制作にも励み、グループf.64のストレートな写真表現をさらに発展させた、グラフィカルで個性的な明暗の階調を持つ特有の写真を創り上げた。
エドワード・ウェストン(Edward Weston)1886-1958
イリノイ州ハイランド・パークに生まれる。独学で写真を学び、1910年代には絵画的な写真で名声を得たが、1920年代初頭からスティーグリッツやストランドに影響を受け、ストレートな写真表現に転じた。1932年、カニンガムやアダムスらとグループf.64を結成。独自の方法論を見出し、野菜や貝殻、岩石など、自然物をモチーフに精緻な描写で被写体の本質に迫る写真表現を追求した。
マイナー・ホワイト(Minor White)1908-1976
ミネソタ州ミネアポリスに生まれる。独学で写真を始め、大学在学中は詩作に没頭していたが、1946年、スティーグリッツに会い、写真家を志す。1952年、アダムスや写真史家のニューホール夫妻と新しい写真の季刊誌『アパーチャー』を創刊。アダムスの指導のもと写真技術をマスターし、精神と写真とを一つに統合する特異な写真表現を追求し、禅や神秘主義の思想にも影響を受けた独創的な写真世界を築き上げた。ロチェスター工科大学やマサチューセッツ工科大学で写真教育に携わり、多くの学生を育てた。
■ギャラリートーク
会場:写真展会場内
※座席はございません。 ※参加無料、申込不要
●牧口千夏氏(京都国立近代美術館主任研究員)によるギャラリートーク
ギルバート・コレクションの歴史とその魅力についてお話を伺います。
日時:2018年11月17日(土)14:00- /16:00- 各回ともに約30分の予定です。
●高橋則英氏(日本大学芸術学部写真学科教授)によるギャラリートーク
アメリカ近代写真の歴史とオリジナル・プリントについてお話を伺います。
日時:2018年11月24日(土)14:00- /16:00- 各回ともに約30分の予定です。
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