『Kiki Smith/キキ・スミス: Implosion −身体、そして星−』展

『Kiki Smith 1993』
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    会 期
    20180505日 -  20180610
    開催時間
    12時00分 - 19時00分
    最終日17時00分まで
    休み
    月・火・祝
    入場料
    無料
    作品の販売有無
    販売有
    この情報のお問合せ
    ギャラリーキドプレス/Gallery KIDO Press
    情報提供者/投稿者
    開催場所
    ギャラリー キドプレス
    住所
    〒101-0021 東京都
    千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 204号
    最寄り駅
    末広町
    電話番号
    03-5817-8988

    詳細

    参加クリエイター

    展覧会内容

     キキ・スミスは、1980年代より身体やフェミニミズムに纏わる彫刻家として名を馳せ、現代美術を語る上で欠かすことができないアメリカを代表する女性アーティストです。同時に、彼女のアーティストとしての創作活動の中で重要な位置を占めていたのが版画制作でした。2003-4年にはニューヨーク近代美術館クィーンズ(MoMA QNS)にて、革新的な版画家としてのキキ・スミスの側面を紹介する大規模な展覧会 Kiki Smith: Prints, Books, and Thingsが開催されるなど、版画家としてもその地位を確立しています。
     本展では2018年4月に仕上がったばかりの注目の新作版画『Catchers I-IV/捕えるもの1-4』(2018)を日本の皆さまに逸早くご紹介するとともに、2012年にキドプレスより出版した5枚1組の版画集「Puppetry/あやつり人形」(2012)、1990年代にULAE(Universal Limited Art Editions)で制作した記念碑的な大作「Kiki Smith 1993/キキ・スミス1993」(1993)と「Worm/虫」(1992)を展示いたします。
    『Catchers /捕えるもの』の作品は、もう片方を握ろうとする手による小さな動きとして作られました。それぞれの関節には星が刻まれており、両手が交わるところで偶発的に星座を作り出します。「Puppetry/あやつり人形」もまた小さな動きの瞬間を捉えた作品です。

    —キキ・スミス 2018 *
     新作版画4点の『Catchers /捕えるもの』(2018)は、手描きで描かれた両手のドローイングをフォトグラビュールにより光を利用して版にイメージを刻んでいます。キキ・スミスは、元々、サイアノタイプ(青写真)やコンタクトプリント(密着印画)を制作するためにアクリル板に両手を描いていました。その後、それらをフォトポリマーで作ることを思いついたという過程を踏み今回の版画制作に至っています。また、精密で緊張感のあるシャープで強い描線が現れるエングレービングの特徴を活かし彫られた星の線は、煌めきのごとく美しいです。このように、熟知された版画と写真製版の技法を厳選、駆使した新作『Catchers /捕えるもの』は、洗練された現代版画の一品と言うことができるでしょう。

    一方、版画集「Puppetry/あやつり人形」(2012)は、フォトポリマー・プレートが用いられ、刷りの工程で生じる偶然性を伴った視覚的なノイズが面白く、作家自身もその点を気に入っていると語る作品です。「Automation(機械仕掛けの人形)の動きが、魔術や自然界を超えた何がしかの力によって導かれ生まれる動き、あるいは動かされている様子のようで、それを意図的に暗示して、版画集を『Puppetry/あやつり人形』と名付けました」とキキ・スミスは制作当時に語っています。モノクロームの新作版画『Catchers /捕えるもの』とは対照的に、作家の視点で切り取られた身体の部分とそれに呼応するモチーフが、コラージュや写真をもとに色鮮やかに表現された版画集「Puppetry/あやつり人形」も併せてお楽しみください。

     また、今回展示する1990年代の大作2点、自身の消化器官をモチーフに皮膚をも彷彿とされる手漉き和紙を用いた185×93cmに及ぶ作品「Kiki Smith 1993/キキ・スミス1993」(1993)、セルフポートレート写真と紙の手芸的な面を構成要素とした画期的な版画作品「Worm/虫」(1992)は、「現代アメリカ版画の40年−巨匠たちと版画工房ULAE」展(セゾン美術館,1998)に出品以来、日本では約20年ぶりの一般公開となり、貴重な機会にもなります。
    版画の制作は複数性と唯一性の対峙である。版画制作は、版画が私たちは人間であるという事象を象徴するかのように、私たち全員が全て同じであり同時に全員が異なるということを表し、そこに私は興味を抱く。
    —キキ・スミス 1998 *2

    本展のキキ・スミスの版画作品を通して、現代版画における可能性を是非ご堪能頂けましたら幸いです。

    *1
    The Catchers pieces were made as small performances of hands grasping one another. There is a star engraved on each joint, creating a constellation made by chance, where they intersect. Puppetry also are moments of small performances.
    —Kiki Smith,2018
    *2
    It’s about repetition versus uniqueness. My interest in printmaking is that prints mimic what we are as humans: we are all the same and yet everyone is different.
    —Kiki Smith,1998

    <キキ・スミス プロフィール>
    1954年ドイツ、ニュルンベルグ生まれ。現在は、ニューヨークに在住し、制作を行っています。
    1979年から1982年にかけてはColab(Collaborative Project,Inc)に参加しながら様々な芸術家と関わり、1990年にはニューヨークMOMAのproject24で個展を行うなど精力的に制作と発表を続け、ドローイングや彫刻、版画などによる独創的な造形表現で、アメリカ、ヨーロッパ各国で圧倒的なパフォーマンスを繰り広げてきました。
    1979年のはじめ頃から作品のテーマとして、今日にも繋がる身体の部位に関する興味が現れはじめ、1985年にはより専門的な知識を得るため救急医療技師の資格を取得しています。
    そして身体を内外の双方向から同時に洞察し、やがてその興味は身体から、その器官(細胞、神経)や機能(分泌や代謝)へと向かって行きました。
    こうした観点から作家が見つめる「生命の循環」「死と復活」というテーマは、作品を作る上で最も重要なものとなります。また、古典的な神話や民話からストーリーが引用されることもあり、そこでは動物と人間との関係性について見つめ直し、私たちに問題を投げかけています。

    <近年の主な個展>
    2012 “Visionary Sugar: Works by Kiki Smith,” ノイベルガー美術館、ニューヨーク
    2012 “I Myself Have Seen It: Photography in the Work of Kiki Smith” スコッツデール現代美術館、アリゾナ
    2011 “I Myself Have Seen It: Photography in the Work of Kiki Smith”メアリー&レイブロック美術館、エバンストン、イリノイ
    2010 “I Myself Have Seen It: Photography in the Work of Kiki Smith”ヘンリーアートギャラリー、シアトル
    2010 “Kiki Smith: Sojourn” ブルックリン美術館、ニューヨーク
    2010 “Color Still” Under Museum of Contemporary Art, コッレ・ディ・ヴァル・デルサ、トスカーナ
    2009 “Her Memory, ミロ美術館” バルセロナ
    2008 “The Touch of The Eye / The Look of the Hand”ウェザースプーン美術館、グリーンスボロ、ノースカロライナ
    2008 “Her Home”クンストハレ・ニュルンベルグ、ニュルンベルグ/クレーフェルト美術館、クレーフェルト
    2007 “Constellation” ネルソン・アトキンス美術館、カンザス、ミズーリ
    2007 “A Gathering” ホイットニー美術館、ニューヨーク など

    <主なパブリックコレクション>
    ニューヨーク近代美術館、ニューヨーク
    メトロポリタン美術館、ニューヨーク
    ホイットニー美術館、ニューヨーク
    アイルランド近代美術館、ダブリン
    ビクトリア&アルバート美術館、ロンドン
    テートギャラリー、ロンドン
    イスラエル美術館、エルサレム など他多数

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