Mounir Fatmi(ムニール・ファトゥミ)Peripheral Vision

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会 期
20171116日 -  20171224
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
月曜
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
ARTFRONT GALLERY
情報提供者/投稿者
開催場所
ART FRONT GALLERY
住所
〒150-0033 東京都
渋谷区猿楽町29-18 ヒルサイドテラス A 棟
最寄り駅
代官山
電話番号
03-3476-4869

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

この度アートフロントギャラリーでは、Mounir Fatmi(ムニール・ファトゥミ)の個展を開催致します。

モロッコ出身でパリ在住のムニール・ファトゥミは現在最も注目されているアーティストのひとりです。今年のヴェニス・ビエンナーレでは60年ぶりに参加したチュニジアの代表として、「亡命館」を作って移民問題や人々の移動の自由を問いかける作品を提示しました。日本では森美術館のアフリカ・リミックス(2006)に続いて昨年の瀬戸内国際芸術祭(2016)などが記憶に新しいですが、ギャラリーでの個展は初となります。

今回のテーマは「飛ぶ時間」。昨年瀬戸内の粟島で滞在制作し、廃校に遺された品々を通じてかつてそこにあった時間、こどもたちの喧騒などを紡ぎだしました。教室に置かれた時計は揃って4時を指したままですが、モロッコの港町に生まれ、行商する母親に連れられて多くの時間を蚤の市で過ごしていたというファトゥミにとって、過去とは何か、或いは教育とは、自国文化を継承する制度はどうあるべきか、など様々な問いをつきつける道具でもあったようです。今回の展覧会では実際に瀬戸内から運ばれてきた「忘れられたモノ」をもとに時を再構築する試みを展開します。
同時に世界的に評価の高いファトゥミの作品群の中から、ノコギリの刃にアラビア文字でコーランの一節を彫り抜いたシリーズを展示します。子供は触ってはいけないと神聖視されていたコーランを空洞化し、削ぎ落とされた断片によってさらに新しい作品も再生します。2012年に南仏トゥールーズの芸術祭で発表した、コーランを地面に投影した作品が「不敬」とみなされ(踏まないようにというサインが未設置だった)アーティスト自ら作品を撤去する事態に追い込まれましたが、ファトゥミは宗教を含め消費・イデオロギーなど様々なテーマに鋭く介入していきます。真摯に問題に向き合い、温厚な人柄で自らのアイデンティティを普遍化させていく制作姿勢が高く評価され、近年は欧米だけでなく中東圏やアジアにおいても展覧会を数多く開催しています。
日本で作品が見られる貴重な機会にぜひお出かけください。

ムニール・ファトゥミの錬金術-語り部としてのムニール
 
 ムニールの大型の作品を初めて見たのは、森美術館に巡回してきたアフリカ・リミックス展においてだった。彼の作品は、乗馬で使われる障害物のバーを構成主義的に構築し、全体をひとつのインスタレーションにしていた。それは常に早く、高く飛ぶことを運命づけられた乗馬の障害競走の危うさを、触れたら崩れそうな情景に昇華させたものだった。カラフルな原色に塗られたバーは一見ポップな趣だが、しかしどこかで解釈を拒絶するような乾いた感性を抱えている。
 
 彼はモロッコのタンジールで生まれ、子供の頃その町の蚤の市で物を見る視点を確立した。以後ローマの美術学院で美術制作を学ぶ。その結果二つの異なった文化の境界を往来し、両者の相対化を通して文化に橋をかけることを試みてきた。1993年にマスコミに自らの「象徴的な死」を宣言。それによってモロッコの文化的伝統からの決別を経て自由な制作に入る。それは文化をどちらからか一方的に見るのでなく、どれも同等のものとして理解し、どちらにも与しないというある種の超越性の獲得につながったのではないだろうか。
 
 日本でも瀬戸内国際芸術祭に招聘され、栗島の廃校の庭に子供の銅像を棒状の素材で取り囲むインスタレーションを展示、また教室の中には地図と時計が空間と時間の相対性を表すかのように展示された。インスタレーションは、音楽室や校長室にも及び、あたかも一つの物語のように人々に語りかけた。
 ファトゥミはインスタレーションの素材に音を用いることも多く、また多数のヴィデオ作品も手がけており、その意味で彼はあらゆる素材を自由に扱う「語り部」だといえるのではなかろうか。
彼の今回の個展は、多様な彼の表現を限られた空間の中で象徴的に垣間見せてくれることになるだろう。
 
森美術館館長  南條史生

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