日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光

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会 期
20180224日 -  20180527
開催時間
9時30分 - 17時30分
※金・土は20時00分まで ※入館は閉館の30分前まで
休み
月(ただし3月26日(月)と4月30日(月)は開館
入場料
有料
一般1600円(1400円)、大学生1200円(1000円)、高校生800円(600円)、中学生以下無料
※()内は前売り、20名以上の団体料金
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
国立西洋美術館
住所
〒110-0007 東京都
台東区上野公園7-7
最寄り駅
上野
電話番号
03-5777-8600(ハローダイヤル)

詳細

展覧会内容

 マドリードにあるプラド美術館は、スペイン王室の収集品を核に1819年に開設された、世界屈指の美の殿堂です。本展は、同美術館の誇りであり、西洋美術史上最大の画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス(1599-1660年)の作品7点を軸に、17世紀絵画の傑作など油彩画61点と資料9点の計70点をご紹介します。17世紀のスペインは、ベラスケスをはじめリベーラ、スルバランやムリーリョなどの大画家を輩出しました。彼らの芸術をはぐくんだ重要な一因に、歴代スペイン国王がみな絵画を愛好し収集したことが挙げられます。国王フェリペ4世の庇護を受け、王室コレクションのティツィアーノやルーベンスの傑作群から触発を受けて大成した宮廷画家ベラスケスは、スペインにおいて絵画芸術が到達し得た究極の栄光を具現した存在でした。本展はそのフェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現し、幅広いプラド美術館のコレクションの魅力をたっぷりとご覧いただきます。

見どころ

1.プラド美術館のコレクションの真髄を紹介
2002年「プラド美術館展 スペイン王室コレクションの美と栄光」を始めとし、2006年「プラド美術館展 スペインの誇り 巨匠たちの殿堂」、2011年「プラド美術館所蔵 ゴヤ -光と影展」、2015年「プラド美術館展一スペイン宮廷 美への情熱」と趣向を凝らした4回のプラド美術館展がこれまで開催されています。来場者数は合計180万入超に上ります。
5回目となる本展は、プラド美術館の核であるベラスケスと17世紀絵画のコレクションを網羅的に紹介する構成となっています。関西では12年ぶり、兵庫県立美術館では初めてのプラド美術館展の開催となります。

2.本邦初、巨匠ベラスケスの傑作「7点」が出品
17世紀スペインを代表するのみならず、西洋美術史上最も傑出した画家のひとりであり、マネやピカソなど後世の芸術家たちにも大きな影響を与えたディエゴ・ベラスケス。プラド美術館では、彼が残した作品の半数近くを所蔵していますが、国民的画家としての重要性から、まとまった数で貸し出される機会は極めて限られています。本展には重要作ばかり7点が出品されますが、これは日本で開催される展覧会では過去最多の作品数です。ここに、「ベラスケス展」と言っても過言ではない画期的な展覧会が実現します。

3.国王らが築いた絵画の「黄金時代」
ベラスケスが宮廷両家として活躍した17世紀のスペインは、他にも多くの重要な芸術家を輩出するとともに、国王らにより未曾有の規模で芸術の擁護と収集が進められ、名実ともに絵画の「黄金時代」を迎えました。日本とスペインの外交関係樹立150周年を記念して開催される本展は、スペインだけではなくイタリアやフランドル絵画の作例も加えて、61点の油彩画と9点の資料によって17世紀マドリード及びスペインの国際的なアートシーンを再現します。

※東京会場では、プラド美術館所蔵作品に加え、本展の内容と密接に関連する国立西洋美術館の所蔵作品2点も出品されます。

展示章構成

1章 芸術
17世紀スベイン絵画の際立った特徴の一つに、芸術(家、作品)を表す作品が数多く制作された点を挙げることができるでしょう。それらは自画像などの芸術家の肖像と、絵画や彫刻が超自然的な力を発揮して起こす奇跡の場面とに大別することができます。芸術家という存在や芸術作品が持つ力に対するこうした自意識の背後には、ものや人のかたちを再現し記録する実用性と、知的で自由な表現手段の創造性のはざまで揺れ動いていた、当時のスペイン社会における芸術の在り方をうかがうことができます。本章では、芸術とは何か、という根源的問題に対する当時の芸術家たちの取り組みの一端を紹介します。

2章 知識
ベラスケスは、犬儒学派の古代哲学者《メニッポス》をルーベンスの《泣く哲学者ヘラクレイトス》との関連のもとに制作しました。偉大な古代の哲人には似つかわしくなく、当時の市井の貧しい一老人であるかのようなベラスケスの哲学者像は、同時代にナポリで活躍したジュゼペ・デ・リベーラによる「乞食哲学者」と称される一連の作品と関連付けられ、そのリアリズム、そして知識と貧困が分かちがたく結び付けられて表象されている点で共通します。本章は、こうした作品群を通じて、17世紀の美術における知識、とりわけ古典古代の哲学や思想の表象について探ります。

3章 神話
古典古代の神話に基づく絵画や彫刻は、教会の影響力が強かった17世紀のスペインにおいては、限定されたかたちで制作され受容されました。それは、神話主題に不可欠であった裸体人物像が不道徳であるとされたからです。しかし、王宮や貴族の邸宅には裸体画ばかりを集めた秘密の部屋が作られ、特定の人々はそれらを享受することが許されていました。ベラスケスは当時のスペイン人画家としては珍しく《マルス》などの裸体画を描いていますが、それは彼が宮廷画家であり、王室コレクションに蓄積されたティツィアーノやルーベンスらの神話画を熟知していたからこそ可能だったのです。本章ではそうした裸体表現を中心として17世紀スペインの宮廷で制作され、また受容された様々な神話画を紹介します。

4章 宮廷
宮廷において芸術は、国王及び国家を称揚する為政のためのプロパガンダとして制作され、また国王の品格や富、権力を誇示するために収集されました。ベラスケスが宮廷画家として仕えた国王フェリペ4世は、稀代のメガ・コレクターで、40余年の治世で3000点を優に超える数の絵画を収集したとされます。彼はマドリードのアルカサル(王宮)に加えて、ブエン・レティーロ離宮とトーレ・デ・ラ・パラーダ(狩猟休憩塔)という二つの宮殿を造営させ、内部をスペイン、イタリア、フランドルなどヨーロッパ各地から集めた絵画で飾り、17世紀絵画の縮図をマドリードに残したのです。本章ではスペイン・ハプスブルク家の宮廷美術を特微づける、肖像画と宮殿装飾という二つの観点から、フェリペ4世の代に描かれ、収集された作品を中心に紹介します。

5章 風景
17世紀のスペインにおいて風景画は他のジャンルほどの隆盛は見ませんでしたが、フランドル、次いでイタリアの作例が多数流通し、そうした影響下からこの分野を手掛ける画家たちが現れました。ベラスケスの肖像画の傑作《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》は、その背景にマドリード北郊グアダラマの写実的な山並みを近代絵画を思わせるような素早さで描き込んでおり、スペイン風景画の歴史においても傑出した重要性を有する作品です。これによって19世紀末、ベラスケスは理想化されないスペインの現実の風景に美を見出した先駆者としても高く評価されたのです。本章では、17世紀のスペインで受容された風景画の諸相を、フランドルやイタリア、フランスの作例も交えて紹介します。

6章 静物
風景画と並んで、静物画も17世紀の幕開けとともに誕生した新たな絵画ジャンルです。スペインの静物画は「ボデゴン」と通称され、トレドでまず制作されました。そこで確立された、宗数的神秘すら感じさせる厳格で荘厳な構図は、世紀を通じて基本的な特徴として引き継がれました。宮廷においても、静物画はフランドルやイタリアの作例とともにさかんに収集されています。ベラスケスが独立した静物画を手掛けたかどうかはわかりませんが、彼は初期セビーリャ時代、迫真的な静物描写を大きく取り込んだ厨房画一酒場で飲食する人々を描く風俗画一により名声を博しています。本章では、17世紀スペインにおける静物表現のパノラマを、国際的な文脈のなかで振り返ります。

7章 宗教
カトリック教会が対抗宗教改革を推し進めた17世紀は、宗教美術にとって史上最も実り豊かな時代のひとつでした。教会は信仰の道具として美術を最大限活用し、美術には神の教えを正しく伝えるだけでなく、民衆の心と感情に直接訴えかけることを求めました。そのため、明晰な様式で、主題を現実的に解釈して描く写実的な宗教画が作り出されたのです。図像面においても、とりわけ熱い信仰を集めた聖母や聖家族にまつわる解釈が刷新され、様々な聖人の殉教や幻視といった場面が新たに造形化されました。本章では、スペインを中心に、同様にカトリック圈であったイタリアとフランドルの作品も織り交ぜ、17世紀カトリック美術の特色と各地域による差異を浮き彫りにします。

8章 芸術理論
イタリアに遅れること1世紀以上、スベインでは17世紀になって、美術をただの職人芸ではなく知的な学問、高貴な芸術として位置づけ、画家の地位向上を目指す運動が隆盛しました。並行して美術理論に対する興味が高まり、美術に関する様々な文字による記録も飛躍的に増加しました。それらを通じ、スペイン美術を歴史として記述する1ページがこの時代に初めて記されたのです。本章では、他の章の絵画作品を理解する一助として、プラド美術館図書室に所蔵される17世紀の重要な美術理論書のオリジナル初版本を展示し、理論と実践の関係について探ります。会場ではこれらの書籍には独立した章を設けず、1-7章内の随所で関連する絵画作品とともに展示します。

画家ベラスケスのここがすごい
ベラスケスは、決して多くない作品(現存数で120点程度)の多くが長らくスペインの王宮に秘蔵されたため、19世紀後半までスペイン国外で広く知られた存在ではありませんでした。しかし、エドゥアール・マネらによって「発見」されて以降は、西洋美術史における最大の画家のひとりとして不動の地位を与えられています。ベラスケス芸術の革新性は、主に以下の3つの点に要約することができるでしょう。
 ひとつは、ベラスケスが描く対象に向けたまなざしの「無差別」さです。彼は宮廷画家として《狩猟服姿のフェリペ4世》のような国王やその一家の似姿を描くかたわら、《バリェーカスの少年》のような宮廷のエンターテイナーであった矮人や道化をも肖像に残しました。しかしベラスケスは、相手がどのような社会的身分の人であっても「個」として受け入れ、対峙しています。モデルの身分や境遇の違いを消し去るのではなく、それを受け入れつつ一人の人間として差別なく向き合い、内面に秘められた人間性を描き出したのです。
 もうひとつは、雰囲気のリアリズムです。それは、あらゆるディテールを緻密に積み上げていくミクロな写実ではなく、場面全体のリアリズムを作り上げるために、重要性や遠近に応じて取捨選択した、マクロな写実ということもできます。例えば、《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》の衣服や《マルス》の兜など、近くから見るとかたちを成さない色の染みの集積にすぎないものが、距離を置くにしたがって焦点を合わせるように一つの形や模様を作り出していきます。また、マネが「背景のない」と驚嘆した、ニュートラルなグラデーションによる肖像画の背景も、もう一つの手段でした。それは人間の視覚の特性を逆手に取った、描き手主体のいわば主観的なリアリズムであり、ベラスケスが印象派の技法の先駆たる理由でもあります。
 3点目は、作品に表された空間と現実空間をつなぐ関係の複雑さです。それは、作品に介在する視線の複数性、と言い換えることもできます。《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》を例に見てみると、モンタニェースは画面の前に立つ我々を見つめていますが、同時に、彼は自分を描いている画家ベラスケスを見つめているとも想定できます。さらに、彼がフェリペ4世の彫像を制作中であることに着目すれば、彼は絵のこちら側にいるはずのモデルたるフェリペ4世を見ているとも考えられるわけです。究極の大作《ラス・メニーナス》でその頂点を迎えるこうした視線の構造によって、絵画が単なる自然の模倣のように見えながらもそれに留まらないこと、そしてむしろそれが芸術家によって作り出された虚構であることが巧妙に仄めかされているわけです。

主催・協賛・後援

主催:国立西洋美術館、プラド美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ
後援:スペイン大使館
特別協賛:キヤノン
協賛:花王、大日本印刷、大和証券グループ、大和ハウス工業、東レ、三井物産
協力:西洋美術振興財団、イベリア航空、日本貨物航空、ヤマトロジスティクス

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