開催時間 |
10時00分 - 18時00分
最終入場17時30分 ※2018年3月1日(木)は16時00分まで、3月3日(土)は20時30分まで(入館は閉館の30分前まで) |
---|---|
休み |
木曜※ただし2018年3月1日は開館
年末年始※2017年12月28日(木)-2018年1月4日(木) |
入場料 |
有料 一般1500円(1300円)、大学・高校生900円(700円)、中学生600円(400円)、小学生以下無料、65歳以上1400円(要証明書、美術館券売所でのみ対応) ※先行ペア券(前売2017/8/3-10/8)2000円 ※前売券発売期間2017-10/9-12/8 |
作品の販売有無 |
展示のみ
|
この情報のお問合せ |
横浜美術館
|
情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒220-0012 神奈川県
横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
---|---|
最寄り駅 | みなとみらい |
電話番号 | 045-221-0300 |
横浜の地に暗室を設けて早くも40年の歳月が過ぎた。暗室から生まれた写真はヴィンテージプリントとなり、時間と空気をたっぷり吸って粒子の粒を際だたせる。横須賀からスタートした写真の行方は、固有の気風をのせて歴史と身体と遺されたもの達が一体となり、肌理を整え、未来へ向けて発信する。
石内都
石内都(1947年生まれ)は、2014年にアジア人女性として初めてハッセルブラッド国際写真賞を受賞するなど、現在、国際的に最も高く評価される写真家のひとりです。
多摩美術大学で織りを学んだ石内は、1975年より独学で写真を始め、思春期を過ごした街・横須賀や、日本各地の旧赤線跡地の建物などを撮影した粒子の粗いモノクローム写真で一躍注目を集めました。
80年代以降は、目に見えない時間の在処としての身体に関心を寄せ、同い歳の女性の手足を接写した「1・9・4・7」や傷跡を写した「Scars」など数多くのシリーズを発表。こうした実績が評価され、2005年には下着や口紅など、母親の遺品を撮影した「Mother's」でヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選ばれました。
近年は、広島平和記念資料館に寄贈されたワンピース、制服、眼鏡など、被爆者の遺品を被写体とする「ひろしま」や、メキシコの画家フリーダ・カーロの遺品の撮影などに取り組み、その活動は多くの注目を集めています。
2017年は、石内が個展「絶唱、横須賀ストーリー」で写真家としての実質的なデビューを果たしてから40年を迎える年にあたります。本展は、この節目の年に、石内自らが「肌理(きめ)」というキーワードを掲げ、初期から未発表作にいたる約200点を展示構成するものです。住人のいなくなったアパート、身体の傷跡、日本の近代化を支えた大正・昭和の女性たちが愛用した絹織物、亡き母や被爆者らの遺品の写真をとおして、存在と不在、人間の記憶と時間の痕跡を一貫して表現し続ける石内の世界を紹介します。
本展のみどころ
1 初個展「絶唱、横須賀ストーリー」から40年。国内では8年ぶりの大規模個展
今年、デビュー40周年を迎える石内都。建物や皮膚そして遺品などに残された生の軌跡から記憶を呼び覚ます石内の作品は、「記憶の織物」とも評され、世界各地で高い評価を受けています。本展は、石内の40年にわたる活動を展覧できる、国内では8年ぶりの大規模個展。「肌理」をテーマに自選された約200点を紹介します。
2 石内都の写真と「肌理」
「肌理」は、石内の作品のエッセンスを伝える言葉です。学生時代に染織を専攻した石内は、物の肌理に対する鋭敏な感覚を備え、建物や皮膚や遺品の表層に現れる時間の痕跡を写真におさめてきました。石内の作品は、何十年もの時間と記憶を封じ込めた肌理をとらえた写真であり、また、時間をかけて現像された写真そのものは、石内が染め上げた無数の粒子からなるもう一つの表面=肌理といえます。本展は、石内の代表作を「肌理」というキーワードで捉え直します。
3 石内都と「横浜」
1975年、石内は家族の住む横浜に暗室を構え、写真家としての活動を始めました。以来、初期三部作から「Mother's」に至る石内のモノクローム写真のほぼすべてが、この暗室で制作されました。また、石内はデビュー前から、横浜の風景を折に触れて撮影してきました。本展では、石内が横浜を撮影した最初期の写真「金沢八景」をはじめ、横浜の近代建築に取材した「Yokohama 互楽荘」を展示するなど、石内と横浜の関係に焦点を当てます。
4 「Innocence」「ひろしま」の未発表作と、ふたつの新シリーズを公開
本展では、女性の傷跡を写した「lnnocence」、撮影開始から10年目となる「ひろしま」など、既存のシリーズの未発表作を多数公開します。また、新シリーズとして、アメリカのファッションデザイナーの亡き父の遺品の着物を撮った作品や、徳島県の阿波人形浄瑠璃の衣装に取材した作品を展示します。
作家プロフィール
石内都 lshiuchi Miyako
1947年群馬県桐生市生まれ。神奈川県横須賀市で育つ。1979年に「Apartment」で女性写真家として初めて第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。 2005年、母親の遺品を撮影した「Mother's」で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される。2007年より現在まで続けられる被爆者の遺品を撮影した「ひろしま」も国際的に評価され、近年は国内各地の美術館のほか、アメリカ、オーストラリア、イタリアなど海外で作品を発表している。
2013年紫綬褒章受章。2014年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞。作品は、横浜美術館をはじめ、東京国立近代美術館、東京都写真美術館など国内主要美術館、ニューヨーク近代美術館、J・ポール・ゲティ美術館、テート・モダンなど世界各地の美術館に収蔵されている。
展示構成
横浜 Yokohama
石内が長年暗室を構えた「横浜」は、重要な被写体でもあリ続けてきました。関東大震災後に山下町に建てられた高級アパート「互楽荘」や、戦後、本牧の接収地に建設された米軍居住施設「ベイサイド・コート」を撮影したシリーズは、失われた横浜の風景と記憶を残す写真として貴重なものとなっています。本章では、石内が横浜の風景や建物を撮影したシリーズのほか、横浜を拠点に世界的な活躍をした舞踏家・大野ー雄の身体を写した作品を展示します。
主な出品シリーズ:「金沢八景」1975-76年/「Apartment」1977ー78年/「連夜の街」1978-80年/「Yokohama互楽荘」1987年/「Bayside Courts」1988-89年/「1906 to the skin」1991-93年/「Yokohama Days」2011年
絹 Silk
「絹」は、石内が現在も追い続ける被写体のひとつです。被爆した女性たちが遺した絹の衣服に触発され、石内は2011年、故郷の群馬県桐生市に残された絹織物・銘仙を撮影します。銘仙は、ヨーロッパの前衛美術から影響を受けた斬新なデザインと鮮やかな色彩が特徴で、日本の近代化を支えた生糸産業を背景に、大正・昭和の女性たちが普段着として愛用した着物です。本章は、近代の養蚕業と銘仙に取材した「絹の夢」(2011年)をはじめ、石内と横浜をつなぐ「絹」にまつわる作品を紹介します。
主な出品シリーズ:「絹の夢」2011年/「幼き衣へ」2013年 他
無垢 lnnocence
「人は無垢であリ続けたいと願望しながら、有形、無形の傷を負って生きざるをえない。」石内は、病気や事故の傷跡を題材にした写真集『Scars』にこのような言葉を残しています。個人の身体に残る傷跡の撮影は、石内にとって生きることの根源的な意味を問い直す作業でした。本章では、1990年代から2000年代にかけて取り組んだ女性の傷跡のシリーズ「Innocence」に加え、小説『苦海浄土 わが水俣病』などで知られる作家・石牟礼道子の手足を接写した作品「不知火の指」(2014年)を展示します。
主な出品シリーズ:「lnnocence」1995-2017年/「不知火の指」2014年
遺されたもの Belongings
母親の遺品を撮影した「Mother's」(2000-2005年)、被爆者の遺品を被写体とする「ひろしま」(2007年~)、メキシコの画家フリーダ・カーロの遺品をとらえた「フリーダ」(2012年)。石内と遺品との対話から生まれたこれらのシリーズは、従来の「母」「被爆地ヒロシマ」「フリーダ・カーロ」のイメージを解放し、新しい見方・捉え方をうながすものとして、世界各地で共感を呼んでいます。石内は、時間の堆積として被写体を考察し撮影する写真のあリ方を、一貫して追求してきました。本章では、ひとつの到達点が示されます。
主な出品シリーズ:「Mother's」2000-2005年/「Frida by lshiuchi」2012年/「Frida Love and Pain」2012年/「ひろしま」2007年~
■対談
桐野夏生(小説家)×石内都
日時:2017年12月9日(土)14:00~15:30(13:30開場)
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:220名(事前申込、先着順)
参加費:無料
申込方法:展覧会特設サイト「イベント」ページより
※11月4日(土)より申込受付開始
■アーティストトーク
石内都 聞き手:逢坂恵理子(横浜美術館館長)
日時:2018年1月13日(土)14:00~15:30(13:30開場)
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:220名(事前申込、先着順)
参加費:無料
申込方法:展覧会特設サイト「イベント」ページより
※12月9日(土)より申込受付開始
※終了後、作家による展覧会カタログのサイン会を実施します。
■上映&トーク
石内部の創作を追った映画『ひろしま 石内都・遺されたものたち Things Left Behind』(2012年、80分、リンダ・ホーグランド監督)を上映し、石内とゲストによるポストトークを開催します。
出演:リンダ・ホーグランド(映画監督)、椹木野衣(美術批評家)、石内都
日時:2018年2月18日(日)13:30~16:00(13:00開場)
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:220名(事前申込、先着順)
参加費:無料
申込方法:展覧会特設サイト「イベント」ページより
※12月9日(土)より申込受付開始
■学芸員によるギャラリートーク
日時:2018年1月6日(土)、1月19日(金)、2月3日(土)、2月16日(金)いずれも14:00~14:30
会場:企画展展示室
参加費:無料(事前申込不要、当日有効の観覧券が必要)
■夜の美術館でアートクルーズ
閉館後の美術館で、学芸員の解説を聞きながらゆったりと作品をめぐる、特別な鑑賞会。
日時:2018年2月10日(土)19:00~21:00
会場:企画展展示室
定員:60名(事前申込、先着順)
参加費:3,000円
申込方法:展覧会特設サイト「イベント」ページより
※12月9日(土)より申込受付開始
石内部デビュー作「絶唱、横須賀ストーリー」を横浜美術館コレクション展にて全点展示!
本展と同時開催の横浜美術館コレクション展では、写真展示室にて、当館が所蔵する石内都のデビュー作「絶唱、横須賀ストーリー」のヴィンテージプリント55点を展示します。
横須賀は、石内が少女時代を過ごした街であり、いつまでも馴染むことのできなかった場所として、その身に深く刻まれています。荒々しい肌合いのプリント一枚一枚から、戦後日本の影を背負った土地、横須賀に対する複雑な思いが伝わってきます。
石内都の原点である本作を、ぜひご覧ください。
http://yokohama.art.museum/exhibition/index/20171209-494.html
「フォト・ヨコハマ2018』とも連携!
「写真のチカラ、あふれるヨコハマ」をキャッチフレーズに、毎年1~3月に行われる“撮る・みる・楽しむ。写真の祭典”「フォト・ヨコハマ」
では、カメラと写真映像の総合イベント「CP+(シーピープラス)2018」(3月1日[木]~4日[日])など市内各所で数多くの写真関連
イベントが行われます。「フォト・ヨコハマ2018」で、コアイベントのひとつとなるのが、この「石内都 肌理と写真」。
横浜美術館をはじめとする市内を巡るスタンプラリーの開催が予定され、横浜が写真の街としてますます盛り上がります。
<フォト・ヨコハマ2018> http://www.photoyokohama.com/
<CP+(シーピープラス)2018> http://www.cpplus.jp/
主催:横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
助成:芸術文化振興基金
制作助成:公益財団法人テルモ生命科学芸術財団
協賛:株式会社 ニコン、株式会社 ニコンイメージングジャパン、株式会社 資生堂
協力:The Third Gallery Aya、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社、チョコレートデザイン株式会社