生誕150年記念 藤島武二展

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会 期
20170723日 -  20170918
開催時間
10時00分 - 18時00分
入館は17時30分まで
休み
入場料
有料
観覧料  一般1000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料、その他割引制度あり 
※一般以外の方(無料・割引対象者)は、年齢等が確認できるものが必要です。
展覧会の撮影
不可
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
練馬区立美術館
情報提供者/投稿者
開催場所
練馬区立美術館
住所
〒176-0021 東京都
練馬区貫井1-36-16
最寄り駅
中村橋
電話番号
03-3577-1821

詳細

展覧会内容

日本近代洋画の巨匠 藤島武二 ―15年ぶりの大回顧展―

 藤島武二(1867—1943)は薩摩藩士の三男として鹿児島県に生まれました。17歳で上京、川端玉章、山本芳翠らの画塾に学び、三重県津市で中学校教員を3年間務めたのち、1896(明治29)年、黒田清輝の推薦で東京美術学校西洋画科の助教授に就任します。フランス、イタリア留学後は白馬会や文展、帝展を舞台に話題作を発表し続けると同時に、アカデミズムの柱石として多くの後進を育てました。一方で、1913(大正2)年に初めて韓国を訪れて以後、東アジアの事物を意図的に取り上げるようになり、こうした新たな視点が画壇に大きな影響を与えました。皇室からの揮毫依頼、第1回文化勲章受章など、まさにわが国を代表する洋画家として活躍しました。
 また、藤島は日本近代洋画の牽引者として近年とみに高い評価を受けています。これは、青年期まで日本画や禅の思想を修養して東洋美術を血肉化し、土台としたこと。ヨーロッパ留学が黒田清輝より20年余りも遅れたため、ポスト印象派やフォーヴィスムの洗礼を受けて帰国しえたこと。また、その雄渾な作風、魅力的な人柄から多くの弟子たちに慕われ、有島生馬、佐伯祐三、小磯良平、猪熊弦一郎など、次世代の画家たちに多大な影響を与えたことなどが挙げられます。
 本年は、藤島武二の生誕150年という記念の年に当たります。この展示では、藤島芸術をその優品によって辿るほか、鹿児島時代に学んだ日本画の師の作品をはじめ、洋画を学んだ山本芳翠、黒田清輝、留学先で師と仰いだフェルナン・コルモン、カロリュス・デュランの作品を通じて、藤島作品の形成にもスポットを当てます。
 初公開となる作品や資料を含む約160点を紹介し、藤島芸術の裾野の広さを再検証する展覧会です。

第I部 鹿児島から東京へ -日本画からのスタート

■I-1 修行
昨年、東京国立博物館で大々的に開催された「生誕150年黒田清輝展」。実は、藤島は黒田より1歳年下に過ぎません。しかし、下積み生活が長かったせいか、黒田には何歩もリードを許してしまいます。ただし、その修行時代が後の藤島の血となり肉となっているようです。鹿児島時代の藤島は四条派や狩野派などの日本画や禅を学んでいます。東京に出てきてからは洋画への思いがつのり、山本芳翠やもちろん黒田にも油彩画を学んでいます。
この章では藤島の学んだ師匠の作品と共に最初期の貴重な作品を紹介します。

■I-2 飛躍
三重県津の中学校教諭として務めていた藤島に黒田は東京美術学校(今の東京藝術大学)西洋画科の助教授のポストを推薦します。その理由は自分が知っている中で一番絵が上手かったからというから、よほど高い技量を持っていたのでしょう。そうした中、藤島は新しい境地を切り拓いていきます。その当時欧米でもてはやされていたミュシャに代表されるアールヌーヴォーの様式をいち早く取り入れた、本の装丁や雑誌の挿絵などのデザインの仕事です。与謝野晶子『みだれ髪』の装丁は藤島の代表的な仕事です。グラフィックデザインの先駆者としての藤島の作品をご覧下さい。

第Ⅱ部 ルネサンスからフォービスムまで -藤島が目指したもの

■Ⅱ-1 留学
いよいよ、藤島がフランス、イタリアの海外留学に旅立ちます。しかしその時38歳。仲間たちが20代で留学する中、たいへん遅い出発となりました。しかし、それは藤島にとって功を奏したようです。黒田らが体験できなかった、ポスト印象派、ナビ派、フォーヴィスムなど新しい絵画様式を見聞、肌で感じることができたからです。この章では藤島がヨーロッパ時代に描いた作品と、彼の2人の重要な師匠の作品を展示し、留学時代の学習の成果を明らかとします。

■Ⅱ-2 模索
4年間の留学から戻った藤島には東京美術学校教授のポストが用意されるなど、期待が大きい一方で、留学時に学んだ新しい絵画様式の作品が画壇では理解を得られず手探りの時期が続きます。そんな時、藤島は朝鮮への学術研究出張を命ぜられます。日本とは異なる風土と景色、女性たちの原色の衣服に魅了され、ヨーロッパとはまた違った異国に惹かれて行きます。これをきっかけにアジアへの眼が開かれていきます。

■Ⅱ-3 転換
ヨーロッパで体験した美しきルネッサンスの女性像、東アジアの魅惑的な装束と風土、これに日本の女性美を融合させた、一連の横向きの女性像が完成します。それは藤島にとって転機となったということばかりではなく、近代日本洋画が成しえた女性像の金字塔と言っても過言ではありません。

第Ⅲ部 “日の出”と“浪” -油彩画で魅せた、日本風景の到達点

■Ⅲ-1 追究
藤島は昭和天皇即位を祝う宮中学問所の油彩画制作の依頼を受けます。そこで、藤島は日の出の光景を描こうと決め、そこから、日の出の風景を求めて日本各地を旅行します。そうした写生旅行から日の出ばかりではなく、海浜風景画も数多く描かれました。また、台湾美術展の審査員を引き受けたことによって、台湾の日の出はもとより、台湾の町や人をとらえた作品も制作されました。

■Ⅲ-2 到達
1937(昭和12)年に藤島は横山大観、竹内栖鳳、岡田三郎助と共に、第1回文化勲章を受章します。またその年、展覧会審査のため中国を訪れ、モンゴルまで足を伸ばしています。そこで、砂漠の壮大さ、そこに現れる日の出の壮麗さに打たれ、10年の歳月をかけて行脚、構想した宮中に納める作品を完成させます。
油彩画という西洋絵画の技法を用いつつ日本人独自の自然観を表現することに自らの画家人生をかけたと言えるでしょう。加えて、佐伯祐三、小磯良平、猪熊弦一郎ら次世代を担う、沢山の弟子たちを育てたのも、藤島の大業績といえましょう。

関連イベント

■《特別講演会》 高階秀爾「藤島武二とイタリアの魅力」
 日時:7 月30 日[ 日] 15:00 ~ 16:30
 会場:サンライフ練馬3 階(美術館横)
 講師:高階秀爾(大原美術館館長・東京大学名誉教授)
 定員:中学生以上70 名( 事前申込・抽選)
 申込締切:7 月14 日[ 金] 必着

■《特別講演会》 島田紀夫「藤島芸術の装飾性」
 日時:8 月20 日[ 日] 15:00 ~ 16:30
 会場:サンライフ練馬3 階(美術館横)
 講師:島田紀夫(実践女子大学名誉教授・ブリヂストン美術館前館長)
 定員:中学生以上70 名( 事前申込・抽選)
 申込締切:8 月4 日[ 金] 必着 
 ※参加には観覧券(当日以外の半券でも可)が必要。

■学芸員によるギャラリートーク
 日時:8 月31 日[ 木] 15:00 ~
 ※事前申込不要。参加には当日の観覧券が必要。

《巡回展情報》
鹿児島市立美術館 2017 年9 月29 日[ 金] ~ 11 月5 日[ 日]
神戸市立小磯記念美術館 2017 年11 月18 日[ 土] ~ 2018 年1 月28 日[ 日]

主催・協賛・後援

練馬区立美術館(公益財団法人 練馬区文化振興協会)、東京新聞

平均:2.0 
レビューした人:1 人

評価サマリ

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    • 展覧会の但し書きに「藤島芸術の裾野の広さを再検証」とある通り、1人の作家の作品としてはとてもバリエーションに富んだ作品達だった気がする。 個人的には藤島と言えば美しい女性の横顔モチーフの絵画が連想されるが、それ系の作品の出品は少なかった。 画壇の先達の一人として、ヨーロッパから持ち帰った西洋画の技法を後進に指導するかのように様々なモチーフ、作風を展開しているように感じた。 そのせいか、私としては「つかみどころが無い」ように感じた。 雑誌の表紙絵とかが思いのほか素敵だった。個人的にはもっと女性を描いた作品を多く観たかったな。

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