中島 晴矢 「麻布逍揺」

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会 期
20170602日 -  20170701
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日・月・祝
*日曜イベントあり
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
SNOW CONTEMPORARY
情報提供者/投稿者
開催場所
SNOW Contemporary
住所
〒106-0031 東京都
港区西麻布2-13-12 早野ビル404
最寄り駅
六本木
電話番号
03-6427-2511

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

SNOW Contemporaryでは2017年6月2日(金)から7月1日(土)まで、中島晴矢による新作個展「麻布逍遥」を開催いたします。
中島はこれまでも生まれ育った街である多摩ニュータウンを舞台にプロレスを繰り広げる《バーリ・トゥード in ニュータウン》や、浦島太郎となって2016年の福島県小名浜を彷徨う《浦島現代徘徊潭》など、まちを歩く姿を通じてその土地の社会性と自身の叙情的な側面を思想の連鎖によって紡ぐ作品を制作してきました。そして今回の舞台となるのは東京都港区麻布。タイトルにもある「逍遥」とは散歩の意であり、近代文学をつくりあげた坪内逍遥の名でもあります。落語の高座を文学に書き換えることから始まった近代文学は自分語りの始まりであり、それはストリートを私的な言葉で歌い上げるHIPHOPへと思考は連鎖していきます。一見すると飛躍のような中島の思考は、大通りから裏路地へ、住宅街から高層ビルへと景色が移り変わる散歩のように軽やかに、そして時に新鮮な気づきを与えてくれます。手元の液晶画面では次々にタイムラインが更新され、街ではスクラップ&ビルドが繰り返される現代。移り行く事象の狭間に潜む戸惑いは決して思考の停滞や優柔不断さではなく、常に自らの志向性をも超えた存在を許容する更新可能な自己の獲得ではないでしょうか。東京が常に変わりゆく中で既得権に縛られず一人散歩を続け、そのわずかな差分を問い直す中島晴矢の新作をご覧ださい。

■「麻布逍遥」展に向けて ‒ アーティスト・ステートメント
「東京という街で 私達はいつも夢を見る」(東村アキコ『東京タラレバ娘』)

散歩はラジカルである。
日本における近代文学の先駆者・坪内雄蔵が、筆名に「逍遥遊人」を名乗ったように、芸術は、逍遥、即ち気ままにあちこちそぞろ歩くことからはじまると言って過言ではない。目的地への最短ルートを急ぐのではなく、道草しながら物見遊山で漫歩する、その無目的な彷徨のなかにこそ、詩や画が生まれる余地はある。勝手気儘にぶらぶらと、路地を折れ、坂を登って、商店、寺社、事物、樹木、碑文、落書、公園、河川等に目を遣りながら、游ぐ街路(=ストリート)は刺戟的だ。
 本展における散歩の舞台は「麻布」である。東京の山の手に位置するそこは、起伏に富んだ谷と丘、そしてそれらを繋ぐ数多の坂道からなる街だ。ゼロ年代、東京タワーと開業前後の六本木ヒルズを遠景に、私はこの近辺で中高時代を過ごしたが、2020年の東京も控えた現在、またぞろ麻布を逍遥した。その足取りは都市空間のみならず、歴史や時代を遡り、時空を跨いでゆく。いまの麻布を媒介に、近代から江戸、あるいは山の手から下町へととりとめなくうつろう聯想は、しかし、未来のあり得べき東京を逆照射し、翻って、あたらしい「風景」(柄谷行人)を創出することを試みる。
 展示のベースとなるのは落語「井戸の茶碗」だ。麻布茗荷谷(現六本木一丁目・谷町インターチェンジ)に住む正直者の屑屋の清兵衛が、屑籠を背負って白金・高輪エリアを流しながら、裏長屋の浪人・千代田卜斎と細川屋敷の勤番侍・高木佐久左衛門の二者間を、仏像や茶碗といったオブジェを伴って行き来する人情噺である。その江戸の「遊歩者」(ヴァルター・ベンヤミン)としての屑屋を現代に召還すれば、かの健脚は麻布一帯のものものを掠め運ばれよう。具体的にそれは本展において、がま池、東京タワー、おかめ団子、アークヒルズ、龍圡軒、偏奇館、そして無数の谷・丘・坂等々を浮かび上がらせる。
 たしかにこれは個人的な都市(=テクスト)の読みに過ぎないが、しかしその物語を通じて、麻布乃至東京の全体性を炙り出す「考現学(=モダノロジー)」(今和次郎)に相違ない。先述したように、麻布という街をリミックスし読み替えて、いまと異なるあり得たかもしれないオルタナティヴな東京を夢想すること(タラレバ!)が、私の企図するところである。
 現代は「感情」の時代だ。政治においてはポスト・トゥルース的な感性が跋扈し、SNS を動力源とした共感が社会システムを駆動させる。右を見ても左を見ても、市街を歩くということが、同一方向を向き同一のメッセージを叫ぶ、動員のための機能性に堕しているのだとすれば、私は時代に背を向けて手前勝手に路を徘徊する自由を確保したい。
 そもそも近代芸術(=モダン・アート)の道程とは、神の裁きを失した後の人間が自我(=アイデンティティ)を求めてさまよい歩く、散歩道そのものではなかったか。
 再び言おう、散歩はラジカルである。
 誰に断りもなく独り思考し、あてどなく漫然と逍遥する、それこそ当世もっとも革新的な営為なのだ。
中島晴矢

関連情報

□オープニングレセプション:6月2日(金) 18:00 ‒ 20:00

□「現代美術寄席」
 6 月 4 日(日)15:00~
 木戸銭:500 円
 定 員:25 名
 出演者:松蔭浩之、中島晴矢
 お申し込み:https://goo.gl/forms/dQaNJlV5oAI1GFCE2

□「麻布が映した東京」
 6 月 18 日(日)15:00~
 入場料:1,000 円
 定 員:25 名
 登壇者:宮台真司(社会学者)、中島晴矢
 お申し込み:https://goo.gl/forms/WQle2ljuJUXio3R73

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