日伊国交樹立150周年記念 ティツィアーノとヴェネツィア派展

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会 期
20170121日 -  20170402
開催時間
9時30分 - 17時30分
金曜は20時00分まで
※入室は閉室の30分前まで
休み
月(ただし3月20日(月・祝)、27日(月)は開室)、3月21日(火)
入場料
有料
一般1600円(1300円)、大学生・専門学校生1300円(1100円)、高校生800円(600円)、65歳以上1000円(800円)、中学生以下無料
※( )内は前売り、20名以上の団体料金 ※2月15日(水)、3月15日(水)シルバーデーによりは65歳以上の方は無料
この情報のお問合せ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
東京都美術館
住所
〒110-0007 東京都
台東区上野公園8-36
最寄り駅
上野
電話番号
03-3823-6921

詳細

展覧会内容

アドリア海に面する水の都ヴェネツィアは、15世紀から16世紀にかけて、海洋貿易によって飛躍的に繁栄するとともに、フィレンツェ、ローマと並ぶルネサンス美術の中心地として輝かしい発展を遂げました。絵画の分野を中心に美術の進展をみたヴェネツィアでは、ベッリーニ工房、ヴィヴァリーニ工房から、多くの優れた画家たちが輩出されました。なかでもティツィアーノ(1488/90-1576)は、自由は筆づかいと豊かな色彩を特徴とする独自の様式を確立し、その絵画はヴェネツィアのみならず、ヨーロッパに広く影響を与えました。80年以上に及ぶ長い生涯のなかで、ヴェネツィアの主要な聖堂や貴族たちからの絶え間ない注文に応えただけでなく、ヨーロッパ諸国の君主や教皇のための絵画も制作しました。その斬新な油彩画法は、近代絵画の先駆とも評されます。
 本展覧会では、ベッリーニ工房を中心に展開するヴェネツィア・ルネサンス初期、ティツィアーノの円熟期とヴェネツィア派の画家たちの時代、ティツィアーノ以後の巨匠たちの時代という流れに沿って、70点近い絵画、版画を紹介します。ティツィアーノの《フローラ》や《ダナエ》といった傑作や、イタリア屈指の美術館が所蔵する数々の素晴らしい絵画を通して、ヴェネツィア派の魅力を存分に堪能していただける機会となるでしょう。

ヴェネツィア派とは
ヴェネツィアは総督(ドージェ)を頂点とする共和制国家として強大な力をもち、経済的には海洋貿易によって繁栄したことで知られます。富と国際的な政治力、そして東西文化が交わる特異な立地条件とがあいまって、水の都は芸術の中心地へと変貌し、15世紀から16世紀にかけて美術の黄金時代を迎えます。
ルネサンス時代のヴェネツィアを活動の拠点とした芸術家たちは、「ヴェネツィア派」と総称されます。ヴェネツィア派に分類される画家たちは、おもにベッリーニ1族の工房を中核に形成されました。彼らの工房で育った多くの優れた画家たちのなかでも、ティツィアーノはもっとも才能ある画家の一人といえるでしょう。ティツィアーノは溌剌とした官能性を備えた人物と、輝くような色彩で名をはせ、同時代や後世の画家たちに多大な影響を与えました。

ヴェネツィア派の特徴

色彩の絵画
フィレンツェやローマでは素描を基礎とし、明確な線描と明暗による立体感の表現、合理的な空間構成が重視されたのに対し、ヴェネツィアでは、明るく大胆な色彩と自由でのびやかな筆触が好まれ、近代油彩画にもつながる「絵画的(ペインタリー)」な絵画が生み出されました。この豊かな色彩感覚と柔らかな造形が、ヴェネツィア派絵画の最大の魅力です。

油彩画の技法
海に囲まれたヴェネツィアは湿気が多いため、壁に直接描くフレスコ画よりも、持ち運び可能なカンヴァス画が適していました。聖堂や邸宅の室内装飾のほとんどは、カンヴァスに油彩で描かれています。ヴェネツィア派の画家たちが新たな油彩画の表現を切り開いた背景には、ヴェネツィアという土地ならではの気候風土も関係していたのです。

第1章 ヴェネツィア・ルネサンス
 ルネサンス期のヴェネツィア美術の礎を築いたのは、ベッリーニ工房とヴィヴァリーニ工房であった。とりわけヤコポ・ベッリーニに始まるベッリーニ工房は、息子ジェンティーレとジョヴァンニによって引き継がれ、その工房からはティツィアーノをはじめ数々の優れた画家たちが輩出された。彼らはヴェネツィアという異文化に開かれた土地において、ビザンティン美術の装飾性やフランドル絵画の精緻さに触れ、あるいは近郊の町パドヴァでジョットやドナテッロらフィレンツェの芸術家による壁画や彫刻を柔軟に学び、新たな様式を生み出していった。繊細な光の効果や澄み渡る風景を描き出すヴェネツィア派の高度な油彩画の技法は、1470年代半ばにヴェネツィアに滞在した画家アントネッロ・ダ・メッシーナによってもたらされたとされる。

第2章 ティツィアーノの時代
 1510年にジョルジョーネが没した後、ヴェネツィア絵画の覇者となったのはティツィアーノであった。ティツィアーノは、ベッリーニやジョルジョーネに学んだ繊細な色彩の諧調と光の表現に、力強さと抑揚を加え、新しい絵画の可能性を切り開いた。1530年代以降、ティツィアーノのパトロンはヴェネツィアのみならず、ヨーロッパ各地の王侯貴族へと広がり、より美しく、官能的な絵画を求める彼らの要望から、独創性に富む数々の神話画が生み出された。《ダナエ》(カポディモンテ美術館)をはじめとする、魅惑的なポーズをとる横たわる裸婦の表現は、ティントレットら次世代のヴェネツィア派の芸術家たちに引き継がれていった。

第3章 ティツィアーノ・ティントレット、ヴェロネーゼ -巨匠たちに競合
 ティツィアーノは長い画歴のなかで、次々と様式を変化させていった。後年には、筆致の荒々しさが増し、光と影の対比を強調した表現へと移行してゆく。その一方で、ヴェネツィアではティントレットとヴェロネーゼという新たな絵画の担い手が誕生する。ヴェネツィア出身のティントレットは、当初はティツィアーノに学ぶも、色彩と素描の調和を目指し、ダイナミックな構図と極端な短縮法を取り入れたきわめて個性的な様式へと到達する。一方、ヴェローナからヴェネツィアに移住し、ティツィアーノの評価を得たヴェロネーゼは、ヴェネツィア派らしい華麗な色彩と古典的な造形をもって、物語場面を明快かつ祝祭的に描き出した。こうしてティツィアーノの遺産はさまざまに引き継がれ、それぞれの画家の個人様式が際立つ時代を迎えることとなる。

主催・協賛・後援

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
後援:イタリア大使館
協賛:大日本印刷
協力:アリタリア-イタリア航空、日本貨物航空

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