彫金家 清水南山 広島が生んだ近代金工の巨匠

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会 期
20170106日 -  20170212
開催時間
9時00分 - 17時00分
金曜19時00分まで 
※1月6日は10:00開場
入館は閉館の30分前まで
入場料
有料
一般1,100(900)円、高・大学生700(500)円、小・中学生400(200)円
※( )内は前売り・20名以上の団体料金 
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
広島県立美術館
情報提供者/投稿者
開催場所
広島県立美術館
住所
〒730-0014 広島県
広島市中区上幟町2-22
最寄り駅
広島
電話番号
082-221-6246

詳細

展覧会内容

 広島県三原市出身の彫金家・清水南山(本名・亀蔵、明治8年~昭和23年)は、日本伝統金工の真髄を継承し、後世へと伝える上で大きく貢献しました。その技術は抜群であり、当時美術家の最高名誉とされた帝室技芸員や東京美術学校教授などを歴任しました。本展では、清水南山の格調高い彫金作品を中心に、その源泉となる装剣金工、南山の師である加納夏雄や海野勝珉、教え子の増田三男などの彫金作品を交え、日本画家・平山郁夫の大叔父にあたり自身優れた画家でもあった南山の絵画作品をあわせた約160点を展覧することにより、その業績を包括的に紹介します。

Ⅰ 日本伝統の彫金を受け継ぐ
清水南山は明治24年に広島県の特選生として東京美術学校(明治22年開校、現東京藝術大学)に入学し、近代的教育制度のもとで伝統的な彫金技術を学びました。日本の彫金は刀剣を装飾する装剣金具により特徴的に発達し、維新後は国際的に高く評価されました。南山の師である加納夏雄や海野勝珉は装剣金工の出身で維新後は新たな需要に応え、新境地を開拓した名工で、南山はその技術と精神を直接受け継いだ最後の世代に当ります。本章では装剣金具や明治金工の優品、東京美術学校での教材や課題制作などを御紹介します。

Ⅱ 模索の時代
彫金と塑像を履修して優秀な成績を修め、明治35年に東京美術学校研究科を卒業しますが、先行するモデルなき時代、いかに生きるべきか模作を余儀なくされます。明治42年に香川県工芸学校に奉職しますが、大正4年に辞職して後1年半にわたり四国霊場巡礼及び奈良での古美術研究に身を投じます。厳しい修行のような古美術研究を経て、不屈の精神を得、伝統尊崇の念と伝統継承の使命感を新たにして進路を見極め、南山は再び上京して彫金の道を本格的に歩み始めます。この努力の足跡は1巻17mに及ぶ《四国八十八ヶ所巡礼写生巻》(上・下)や《大和古寺仏像建築写生帖》13冊で辿ることができます。

Ⅲ 彫金界の頂点への歩み
大正7年に大正天皇御即位奉祝のための《金装螺鈿御飾太刀拵》(司法省所管員一同献上)の金具制作に抜擢され、翌8年には東京美術学校教授に迎えられました。きっかけは奈良での古美術研究時代にその姿を注視していた法隆寺佐伯定胤管主から東京美術学校正木直彦校長への推薦でした。その後、昭和3年には昭和天皇御即位式用太刀拵の金具制作で再び腕をふるい、同9年には彫金家として最後の帝室技芸員(勅任官待遇の栄誉職)に任命され、翌10年には日本彫金会会長及び帝国美術院会員に推されるなど次々と道が開かれて、美術家として最高の栄誉に輝きました。本章では南山による法隆寺ゆかりの制作品や皇室依嘱の制作品を御紹介します。

Ⅳ 時代の流れの中で~伝統と創造~
南山が生きた明治・大正・昭和前期は近代化や国際化が進展する激動の時代でした。工芸界においても日本古来の主題や技巧を重視する伝統派と西洋思想に影響された伝統よりも個性や現代性を重んじる革新派が対立し、革新派が力を増していきました。伝統派に属した南山は美術評論では厳しい批判にさらされる一方で、伝統に根差した確固たる信念と近代的な時代認識を併せ持つ公正さが信頼されて審査員や教師として重きをなしました。激動の時代に、日本伝統彫金の真髄を伝えることができた所以でしょう。南山は伝統とは「形式の模倣ではない」「内に潜むものの外へ向かっての現はれである」と述べました。このメッセージは本章で御紹介する南山及び教え子たちの作品から伝わってくることでしょう。

関連イベント

■記念講演会「日本の彫金-技術とその魅力」(広島県立美術館友の会共催)
 日時:1月22日(日)13:30 ~ 15:00(開場13:00) 講師:飯野一朗(東京藝術大学教授工芸科彫金)
 場所:地階講堂※聴講無料、申込不要、定員200 名、当日先着順

■ワークショップ「ヘラ押しレリーフで清水南山の猫を作ろう」
 清水南山が孫のために制作した《猫金具付小児用手提》の猫の金具を参考にしながら、金属の薄板を使ってレリーフを作成します。
 日時:1月8 日(日)10:00~12:00 講師:南昌伸(広島市立大学芸術学部教授、金工家)
 場所:3 階ロビー対象:小学校高学年以上参加料:500 円(材料費)
 定員:20 名(要事前申込、申込については下記参照)

■美術講座「清水南山の生涯 天才は努力によって作られる-巨匠への道を辿る」
 日時:1月14 日(土)、29 日(日) 各回13:30~14:30(開場13:00)
 講師:宮本真希子(当館主任学芸員)
 場所:地階講堂※聴講無料、申込不要、定員200 名、当日先着順

■ギャラリートーク
 日時:1月6 日・13 日・20 日・27 日・2 月3 日・10 日(金) 各回11:00 ~
 講師:担当学芸員
 会場:3階企画展示室 ※要入館券。申込不要。会場入口にお越しください。

■アートと私の美味しい時間「三原のおいしい産物とイタリアン」
 日時:1月20日(金) 17:00~20:45 頃(受付開始30 分前、1 階ロビーにて)
 会場:3階企画展示室&1 階レストランZona ITALIA in Centro
 参加料:4,800 円(税込) (特別展鑑賞券・ディナー・日本酒3 杯、トーク含む)
 酒蔵:株式会社醉心山根本店(三原市) 定員:50 名(要事前申込、申込については下記参照)

■ウェブレポーター大募集
 日時:1月6日(金)17:00~18:30
 受付:3 階ロビー場所:3 階企画展示室
 対象:インターネットで情報発信をされている一般の方(参加者は本展にご招待)

■ロビーコンサート
 1月7日(土) 12:00 ~ 出演:広島文化学園大学学生
 1月8 日(日) 12:00 ~ 出演:平井千香子(サックス)、上田尾茉耶(ピアノ)
 2月5日(日) 12:00 ~ 出演:福原一閒(篠笛)、岩村尚子(謡)
 ※いずれも申込不要。鑑賞無料。1 階ロビーで行います。

申込方法(ワークショップ、アートと私の美味しい時間)
お電話により、参加を希望するイベント名と月日、お名前、電話番号などをお知らせください。先着順で受け付
け、定員になり次第締め切ります。(申込電話番号:広島県立美術館082-221-6246)

主催・協賛・後援

主催:広島県立美術館、中国新聞社、イズミテクノ
後援:中国放送、広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、FMちゅーピー76.6MHz、エフエムふくやま、尾道エフエム放送、FMはつかいち76.1MHz、FM東広島89.7MHz
協賛:広島県信用組合、日本通運広島支店
特別協力:法隆寺、東京国立近代美術館、三原市教育委員会、郷土と南山先生を語る会
協力:住吉大社、東京藝術大学大学美術館、宮内庁三の丸尚蔵館、清水三年坂美術館、造幣博物館、広島市立大学芸術資料館、広島城、ギャラリー竹柳堂、平安アート

作品画像:《波に龍文水瓶》 昭和12年 広島県立美術館蔵

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