開催時間 |
12時00分 - 20時00分
木曜日〜日曜日の開廊となります。 |
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休み |
月曜日〜水曜日
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クリエイター在廊 |
有
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入場料 |
無料 |
この情報のお問合せ |
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〒161-0033 東京都新宿区下落合2-6-3-102 TEL:03-5996-8350 E-mail:inquiry@altmedium.jp |
イベントURL | |
情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒161-0033 東京都
新宿区下落合2-6-3 堀内会館102 |
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最寄り駅 | 高田馬場 |
電話番号 | 03-5996-8350 |
嶋田は房総半島を中心に撮影し、東京で発表を続ける写真家です。
作者は一見して房総半島と鑑賞者に悟られない被写体を選び撮影します。
その写真行為は一枚の写真にその土地を集約しようと試みるものとは異なり、むしろとても断片的なものであるかのように見えます。
しかしその断片を丁寧に結びつけることでその土地性にアプローチをかけるのが作品の特徴とも言えるでしょう。
また嶋田による撮影、現像、プリント作業の一貫した正確さから織りなす、モノクロームプリントの豊かな階調もあわせて、どうぞご高覧ください。
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「思わぬ壺」
房総半島で写真を撮る。
私はここで写真を撮るのが好きだ。
ここは私の故郷である。
実家には倉がある。
倉の裏には大きな壺がある。
ここに壺が無い記憶は無い。
だから昔からここにある。
雨粒がひんやりと表面を濡らす。
刻一刻とトーンが蓄積され、黒く輝く。
黒い光は何処かへの入口のように私を誘う。
半島を行く。
終わりのある道、雲より低い山、歩いては行けない海。
爪を噛み、車を走らせる。
考える。
この土地で私の写真を問う。
それらはただそこにあり続け、だからこそ自由である。
嶋田篤人
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嶋田篤人は房総半島を撮る。
この一文の簡潔さは嶋田の写真と似ている。嶋田が撮影する事物は水面に反射する光、並んだ木材、技術の巧拙もよくわからない木彫りの像、そして黒々とした壺など様々だ。そしてそのどれもが房総半島で撮られているが、“房総半島”という言葉(地名)と結びつき、その象徴となるにはどこか物足りなさを感じる。そういった存在を嶋田は撮り続けてきた。
嶋田篤人は幾度も同じ場所に通い写真を撮る。
ある意味、そこは自身によって既に撮られた場所なのだが、定点観測のように連続性をもって一つの場所を描写するわけでもなく、その場所の本質を一枚の写真に収め、一枚の写真によって語らせる、などといったことも考えてはいないようにみえる。嶋田はその場所に立つからこそ出会う存在や現象、それらを(何かの象徴とするためではなく)ただ写真によって捉えようとしているのではないだろうか。被写体が地名のみによって括られるならば既に撮られた場所であっても“いまここ”のファインダーを通じてあらわれるものは、未だ撮られてなどいない。
嶋田篤人は今日も房総半島を撮る。
ある土地、ある場所を撮るということが(それが唯一の方法ではないとしても)そこに存在するものをひたすら積み上げるように撮影し続けることであるならば、そうした写真行為は一枚の写真にその土地を集約しようと試みるものとは異なり、むしろとても断片的なものとなる。しかし、その断片たちを結びつけ、私たちの内にあらわれてくるものもまた、土地や場所と呼ぶことができるのではないだろうか。そうであるならば嶋田が新たな断片に出会い続けることは、そこから紡ぎだされる土地や場所が終わりなく広がり続けるということをも意味し得るはずだ。
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嶋田 篤人
1989年 千葉県生まれ。
2011年 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。
東京都在住。
【個展】
2016 「堰を切らぬ厩」(PondGallery / 東京)
2011 「午後の辺り」
【グループ展】
2015 The 8th Gelatin Silver Session「BOSO」(アクシスギャラリー / 東京)
2014 アクシスフォトマルシェvol.1「瞬膜」(アクシスギャラリー / 東京)
2013 「viewing -写真家とポートフォリオ-+鋭漂」(塩竈フォトフェスティバル / 宮城)
2010 フォックス・タルボット賞入賞写真展「風の終わり」(写大ギャラリー / 東京)
【受賞歴】
2015 「東川国際写真フェスティバル赤レンガ公開ポートフォリオオーディション」準グランプリ
2013 「ゼラチンシルバーセッションGSSフォトアワード」グランプリ
2011 「塩竈フォトフェスティバルポートフォリオレビュー」特別賞
2010 「フォックス・タルボット賞」モノクロ賞 受賞
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