Levi Pata 個展 「 LION 」
会期: 2016-11-02 - 2016-11-13
開催場所: AL
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
ライブペインティング
平面
開催内容
まだ生まれていない赤ん坊のように、暗闇に浮かぶライオンを見た。使うあてのない威厳をもった、その空間には異質な動物。
僕はそのライオンを何度も見た——周りに何もなく、静止しているライオンを。
アメリカ人は大きな火を炊き、遠く離れて座る。
インディアンは小さな火を炊き、その近くに座る。僕は、僕たちの大地を眺める時に、この言葉を思い出す。
僕の部族は昔から周期的に野焼きをしていた。月の周期や草木の水分量を確かめながら、意図的に野焼きをすることで、周囲の土地に植物の抑制と再生のバランスをもたらし、生きとし生けるものへ様々な恩恵を与えていた。しかしながら、その伝統的な野焼きは今では違法となり、僕たちの土地は外来種の草が生い茂り、毎年夏になると手に負えないほどの山火事の絶好の火種となってしまっている。それまでこの土地で保たれてきた調和がなくなって久しい。
それでも、この大切な自然のプロセスが僕たちの土地で禁止されたとしても、この伝統の炎を僕の心から消し去る事は誰もできない。僕にも、自然が持つ能力と同じ様に、精神のバランスを妨げるものを意図的に壊す、というプロセスを取り入れる能力がある。物理的な「火」には、その反面、精神的な「火」が存在する。そして、僕の内側にも、そのバランスが存在する前に、燃やして消し去らなければいけないものが沢山ある。
僕は地球にライオンが生まれてくるのを想像する。彼は乾いた草の中を最速で走り抜け、獲物を殺し、食べる——血で赤くなった顔と、風の中で揺れる炎のようなたてがみ。己の力を使い、その役割は果たされる。
火は贈り物である。
そしてすべては燃えるもの。
Levi Pata
リーバイ・パタ
1985年ホリスター(カリフォルニア)生まれ。2009年から2年間東京で活動、その後サンフランシスコへ戻る。2016年3月、京都へ移住。現在京都を拠点に制作活動をおこなっている。
http://levipata.wixsite.com/lion