to be 様々なる意匠 or not to be 様々なる意匠
会期: 2016-06-18 - 2016-07-10
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
漫画・アニメーション
デッサン・ドローイング
トークイベント
オブジェ
立体
彫刻
ペインティング
ミクストメディア
油彩画
アクリル画
日本画
平面
近代アート
現代アート
開催内容
■趣旨
このたび創治朗では、開廊一周年記念グループ展「to be 様々なる意匠 or not to be 様々なる意匠」を開催いたします。
今展では昨年夏の開廊以来、個展を開催した作家、そして以前から交流の深い作家も加わり、計15名の作家の小作品によるグループ展となります。
この長く奇異な展覧会名は、シェイクスピア「ハムレット」のあまりにも有名な台詞「to be or not to be」と、
近代化以降の日本の批評を基礎づけた小林秀雄「様々なる意匠」から合わせて引用したものです。
「様々なる意匠(=単なるさまざまなデザインが見かけの多様性としてあるだけ)」であってよいのか。またはそうでなくあるべきか。
ここには切実な問いがあります。
ここに集合する各人の作風を一望する限りでは、互いに明確な共有基盤を持たず、散逸していて直接には交わらないであろう、ある種ランダムな群れとして15人の出展作家群が存在していることがうかがわれます。
各々がうつろな空間に浮遊する孤独な原子という状態しかとりえず、互いに確固とした共通認識や連帯を築きうる基盤は保証されていない。
それぞればらばらに拡散した作風たち。
このような存在の様式は、あらためて強調するまでもなく、近代以降、消費社会化・情報社会化の進路を進み続けるわたしたちの現実の生の様式そのものとシンクロしています。
今やわたしたちは他者との対話や連帯を奇跡のように望むしかなく、わたしたちにとって最も濃密に感じることができるものこそは他ならぬ何も掴めない「空虚」であるということ。このような困難を経ない限り、作品は生まれえないということ。
そうした状況に展望をもたらす術はあるのかという視点からこの題名が着想されました。
この初期条件から展望を探っていくには、全体への統率という旧時代的指針ではなく、まず個が重んじられなければなりません。
個が個別なままにあること。
かつ、個々の存在が、各作家の目指す制作が、どこからやってきたのかということ、どのような文脈的来歴が見出せるかということ。
互いに向こうから来てあちらへ通過していくもののように様々に存在している、呼びかけ合えるのか定かでない存在同士が行き交う場。
そこでは互いが秘めている、それぞれの背後に広がる個別な世界を相互に提示できることが、対話と探求への数少ない手掛かりとなります。
われわれはどのような意図、どのような足下のレールの上で各々の道を歩んでいるのか?
今展の試みが見ようとするのは、そのような様々に行き交っていく個体たちが、様々な解散としてフェイドアウトするのではなく、
各々の様々な姿を発見し語りかけ合えるのかという問いです。
ぜひご高覧いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
(text:二見正大/創治朗ディレクター)