栗原市所蔵作品による「狭間二郎 回顧展」 「絵はポエジー」と語った画家の遺作

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会 期
20160531日 -  20160724
開催時間
10時00分 - 17時00分
入館は16時30分まで
休み
月(祝日は開館)
入場料
有料
一般300円(20名以上の団体は240円)/65歳以上・高校生以下は無料
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
カメイ美術館
情報提供者/投稿者
開催場所
カメイ美術館
住所
〒980-0022 宮城県
仙台市青葉区五橋1-1-23
最寄り駅
五橋
電話番号
022-264-6543

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

栗原市出身の狭間二郎は、古里・栗原や仙台近郊の風景、牛馬などを大胆にデフォルメし力強い色彩で描いた作品が独立展で高く評価され、東北を代表する独立美術協会の作家として活躍しました。
戦後は独立展、河北美術展に作品を出品しながら、展覧会の開催や洋画研究所を開設し後進の指導にあたるなど仙台画壇の中心作家として、東北の美術発展や女性絵画グループの結成にも尽力しました。60歳で病に倒れ、利き手が不自由になった後も左手で最晩年まで意欲的に制作を続けました。
本展は、長男で俳優の菅原文太氏と長女の佐藤合子氏が栗原市に寄贈した油彩画、木版画、デッサン、スケッチ779点より、1930年代から第51回独立展に追悼展示された絶筆の《遊》まで、油彩画約50点を展示して狭間二郎の画業を辿ります。
制作と後進の指導に尽力した画家としての活動の中心地・仙台では初の本格的な回顧展になります。詩人でもあり「絵はポエジー」と語り、「詩的冥想の画家」と評された詩情豊かな狭間二郎の世界をどうぞご高覧ください。

「里帰りした七七九点-デッサン・スケッチも貴重な宝-」
                             菊地義彦
 狭間二郎先生が、ご子息の菅原文太さんと生活を共にするため、仙台から東京へ転居されたのは、昭和46年10月16日。その時、私は先生から二つの事を託された。
 その一つが、「『やま源』に送った絵はよろしく頼む」
 もう一つは、「仙台から独立の灯を消さないでほしい」という言葉であった。
『やま源』とは、先生の長女、合子さんの嫁ぎ先で、当時、一迫では有数の商店であった。
 先生ご夫妻が東京に転居することになった時、一番困ったのは、油彩画をはじめとするかなりの数の作品をどうするかという事であった。文太さん宅には倉庫がないため、持っていくことが出来なかったのである。
 困り果てて『やま源』に相談すると、店主の佐藤輝男さんの「商業用倉庫の一角に保管してやるから、一迫に送ってよい」という返事で話しは決まり、作品は古里に送られることになった。俗に言う里帰りであるが、この事が一迫に作品が残る要因になったのである。
 狭間先生が逝去されたのは、昭和58年2月21日であるが、私が『やま源』にある遺作を確認したのは、先生の没後5年を経た昭和62年5月初旬のことであった。残された作品は油彩画だけで156点。私を入門させる時「一生、絵を描くか」と詰問した先生ではあったが、本人自身、本当に一生絵を描き通して、生涯を閉じたのだと思うと、なんとも胸が熱くなるのを覚えた。
 約17年間、ダンボール箱に詰められていたので、画面にはカビや汚れが目立ち、このまま放置して置くと、作品は傷むばかりだと思ったので、私は町内の絵画愛好者の協力を得て、全作品をクリーニングし、文太さんと一迫町には作品保存のための額装の必要性を訴えた。
 平成8年、先生の愛妻順子さんが逝去すると、『やま源』の合子さんの元へ、かなりの遺品が送られて来た。荷を解いてみると、その中には病後左手で描いた静物画や熱海時代の小品が含まれていたが、その数もまたかなりのものであった。
 すでに保管している作品と合わせると、『やま源』で預かる全作品数は、油彩画594点の外、デッサン145点、本版画40点で、総数は779点となった。文太さんら関係者が協議の結果、全作品を一迫町に寄附することを決め、町当局も貴重な現代の文化財として受理することを決定したのである。そして文太さんと一迫町が額総代を負担し、全作品を額装して保存することになった。
 これに伴い一迫文化協会を中心に「狭間二郎等絵画保存活用委員会」が結成され、傷んだ作品の修復やクリーニングを行い、全作品を額装し、平成の町村合併で誕生した栗原市に引き継ぎ、平成20年10月、文太さんご夫妻をお招きし、「狭間二郎小品の詩情」というタイトルで、新築された一迫ふれあいホールを会場に記念展が開催された。そして展覧会終了後、栗原市一迫埋蔵文化センター(山王ろまん館)に収納された。
 本展への出品作は、その中から約50点を選んで展示したが、来発表のデッサン、スケッチにも見応えのある秀作が多い。
 なお、先生から託された二つ目については、別の機会に記すことにする。
 
 きくちよしひこ1951年より狭間二郎に師事。「創盛館」館長
       独立美術協会会友河北美術展参与 宮城県芸術協会絵両部運営委員

関連イベント

■ギャラリートーク
 7月9日(土)13:30~ ※予約不要・参加費は入館料のみ
 菊地義彦先生に師・狭間二郎、菅原文太親子との思い出などを語っていただきます。
 ※菊池義彦先生の在館日は5月31日(AM)・6月18日(AM)・7月9日です。

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