開催時間 |
10時00分 - 18時00分
入場は閉場の30分前まで |
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入場料 |
有料 一般700円 学生・65歳以上500円 高校生以下無料 ※障がい者手帳をお持ちの方とその付き添いの方1名は無料 ※10名以上の団体は100円引き |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
神奈川県瓶ホール
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒231-0023 神奈川県
横浜市中区山下町3-1 |
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最寄り駅 | 日本大通り |
電話番号 | 045-662-5901 |
原野へ還る一匹の
鴻池朋子の最近の行為は、文明から原野へ還ろうとする一匹の動物のようです。ここ数年私たちは様々な自然の驚異にさらされてきました。
そして震災後の原発問題が明らかにした放射能という目に見えない世界との関わりには、「見る」という目に見えない世界との関わりには、「見る」ということが次の領域に入ったことを感じざるをえません。
明らかに変容する身体と地核の関係性を敏感に感じ取った鴻池は、それまでの制作を停止し、山村を歩き、中心から周縁に追いやられた物語を集め、積極的に美術の外へ外へと移動する旅をしてきました。
そして今、新たな針と糸で、「動物の衣」となる絵画を縫いはじめています。人間がものをつくり生きていくということは、自然に背く行為であり根源的な暴力です。
首都圏では6年振りの大規模個展となる本展は、その「暴力」を正面から見つめ、なぜ人はつくるのかというアートの根本的な問に観客と共に考え悩む展覧会です。
作家ステイトメント「根源的暴力」
2009年の東京オペラシティの大規模な個展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』から現在に至るまでの6年間、そして3.11の震災から私は、明らかに変容する自身の身体感覚と日本人全体の意識の変化を敏感に感じとり、積極的に美術の外に移動し、東北の山村を歩き、人類学、民俗学、考古学の方々と対話し、中心から周縁にある物語を丁寧に収集する旅をしてきました。そして現在も人間と野生の境にある秋田県森吉山避難小屋での『美術館ロッジ』や、歴史には記されない現代の民俗を記録する『物語るテーブルランナー』プロジェクト、一方、開発と地形の問題からパブリックアートの制作を続けています。まさに現代は近代以降に輸入された美術から、確実に転換期にいるといってよいでしょう。今回の展覧会ではこれまでの体験を糧とし、またかつての狭義的な美術神話を脱し、人間が地上に出現し、言葉を獲得し、山を出て文化を形成した素朴で力強い場所まで立ち戻り、なぜ人間は自然を侵犯し文明をつくるのか、その根源的暴力について、ものをつくるたった一人の手から考えます。
今回私は過去の作品を全て精算し、一から技法を習得するように新たな素材や表現に取り組みました。牛皮を縫い合わせてつくられた20数メートルに及ぶツギハギの皮画面に描かれる絵は、「絵画」という概念を一度ぜんぶ裏返し、その内蔵を外気にさらす試みです。またたくさんの原始生命のような粘土たちは、博物館から借用する旧石器時代の石器、呪具類と同列に並べ、人間の経済的活動に収集されない純粋贈与とアートとの関係を探ります。アートコンプレックスでは人間の音「声」に注目し、動物の鳴き声から言葉への変容を実験したいと思います。そして、サイエンス(科学)フィクションを読み過ぎた大人たちの影で、秘かに息づいてきた、「おとぎ話」オーラル(口伝)ワンダーテールが会場全体に通奏低音となって響き、かつて山にいた頃の人間の痕跡を赤裸々にしてゆきます。このように私の最近の行為は、美術の外へ、まるで文明から山という野生へ還ろうとする一匹の動物のようです。今回はその人間としての大きな矛盾に、全新作をもって全力で挑む所存でおります。
ここ数年間、今ほど私たちは自然の驚異を痛感させられる時はありませんでした。特に震災後の原発問題と放射能による目に見えない世界という異界と関わることは、「視る」ということが次の領域に入ったということを感じざるをえません。例え作家が変わらなくとも、確実に観客の眼は変わっています。それは日本だけではなく、地球規模で変革期を迎えていることであり、人間が野生とどのように対話してゆくのかを世界中で悩み探っています。アートは絵画や彫刻という形式でもなく、また美しさ、新しさという方向のベクトルだけでもない、重層的で矛盾する人間特有の表現であり、誰にでも存在する位相です。またアートは辺境の地の町興しという方便でもありません。人間がものをつくり生きていくということは、自然に背く行為であり、根源的な暴力です。この展覧会は、その根源的暴力を正面から見つめ、 なぜ人は“つくる”のか、というアートの根本的な問いに、考え、悩む展覧会にしたいと思います。
鴻池 朋子
■パフォーミングアーツとおとぎ話の共演 !
Art Complex 2015
「異界婚姻譚~同じものではいられない」+トーク
出演:山川冬樹(ホーメイ歌手、アーティスト)、鴻池朋子
監修:村井まや子(神奈川大学教授/おとぎ話、比較文学)
11月21日(土)19:0 0 開演 会場:第5展示室
料金:全席自由/入場整理番号つき
一般 2,500円 学生 2,000 円 発売:10/ 3(土)
詳細は webにて http://www. kanagawa-arts.or.jp/tc/
* 公演当日に限り本チケットで展覧会入場可
■鴻池朋子 アーティスト・トーク
司会:坂本里英子(本展ゲスト・キュレーター、セゾン
現代美術館学芸員) 11月 7日(土)14:0 0 –
■トークセッション
「新らしき動物たち~アート神話の解体」
石倉敏明(秋田公立美術大学講師/芸術人類学)、
吉川耕太郎(秋田県立博物館 主査兼学芸主事)、鴻池朋子
11月23日(月・祝)14:0 0 –
会場:展示室内(両日)
* 予約不要:当日入場券にて参加可 * 参加多数の場合は入場制限あり
主催:神奈川県民ホール(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)
企画協力:一般財団法人セゾン現代美術館
ゲストキュレータ:坂本里英子(セゾン現代美術館学芸員)
助成:芸術文化振興基金
協賛:資生堂
協力:秋田県立博物館、VOLCANOISE
音響デザイン:小島ケイタニーラブ 伊藤豊(イトウ音楽社)