小林耕平個展  『蓋が開かない、屋根の上の足音』

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会 期
20151003日 -  20151031
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日・月・祝
入場料
無料
作品の販売有無
販売有
この情報のお問合せ
YAMAMOTO GENDAI
情報提供者/投稿者
開催場所
山本現代
住所
〒140-0002 東京都
品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 3F
最寄り駅
天王洲アイル
電話番号
03-6433-2988

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

主に映像作品で知られた小林ですが、今回の展覧会では立体作品やドローイングとテキストだけで展覧会を構成し、発表します。ここ数年は数人の協力者を得て、彼らとのやり取りやデモンストレーションから起こる「対話」を素材に制作を続けてきましたが、今展では小林が単独でテキストや問いと向かい合い、作品を制作し、それらの展示物全体を通して「対話としてのオブジェクトは可能なのか」という問いに取り組みます。

小林の作品では、中心となる主題から漏れて行くもの、また勘違いや「突発的な作り話」が次々に生まれ話しが飛躍していくことなどへ意識が向けられてきました。

例えばつい「知ったかぶり」をしてしまい、それを必死に続けなければ行けないというような状況で、スピードを持って生まれてくるイメージを小林は“想像することの異常な跳躍力”と考えています。その跳躍の中から“意味”が派生する瞬間、リアリティを感じる瞬間は私たちを魅了します。

今展の為に描かれた『蓋が開かない、屋根の上の足音』というドローイングは、タイトルから想起されるイメージを元に制作されたもので、むくつけき男が無骨な室内で壜の蓋に手をかけながら、屋根の音に気付き耳を澄ましている情景が描かれています。このあまりに日常的な情景の一コマと、タイトルの緊迫感との乖離に、つい私たちはまた別の想像を膨らませてしまいます。そこで引き起こされる密やかな笑い、ユーモアなども、小林作品の重要な要素であると言えるでしょう。

今展『蓋が開かない、屋根の上の足音』は、作家の生々しい思考の痕跡に触れることのできる非常に興味深い展示になると考えております。現在国立新美術館で開催中の『アーティスト・ファイル2015 隣の部屋-日本と韓国の作家たち』展でも益々注目を集めている小林の新たな挑戦として、皆様にご高覧頂きたく存じます。

個展《蓋が開かない、屋根の上の足音》ステイトメント

ここ近年の制作においての主題は「対話」である。
同じ日本語という言語を使っていても、人それぞれ価値観や立場、思惑が異なることで、理解に苦しむことが多い。そのことが喜劇も悲劇も引き起こす。個人から政治家まで、何を背負っているかは異なるが、対話における言葉は、ひとりの人間から発せられるものであり、直に触れることのできる素材である。また対話には、相手がいるゆえに、形式に当て嵌めることのできない困難さがある。故に常に方法を編み出す必要がある。

落語の演目で「転失気」(てんしき)という噺がある。和尚さんが体調を崩し医者に診てもらうのだが、「てんしきはございますか」と尋ねられた和尚さん、もの知りで通っていたものだから言葉の意味がわからなくても「このところありません」とお茶を濁す。その後どうしても気になり小僧さんに「てんしき」を借りてくるように頼む。小僧さんは街中の店をまわって「てんしき」を借りようとするのだが、どこの主人も小僧さんに侮られるのも悔しいので「棚から落として割ってしまった」などとぼける。最後に医者のところで直接訪ねると放屁(ほうひ)のことだと知らされる。大人の見栄によっておならが棚から落ちたり、おつけの実にして食べられてしまったりと、様々な嘘をつかれたことに呆れた小僧さん。いやむしろ楽しんでいたのでしょう。寺に帰って和尚さんに「てんしき」とは盃(さかずき)のことですと嘘をつき、それを信じた和尚さんが後に恥をかくという噺。

このような短い噺の中でも、会話における「ことば」の扱いが、どんどん複雑になっていくのがわかる。最初は疑問なり命令なりと、ごく一般的な会話だったものが、それぞれの登場人物の立場が見えてくることで、相手との駆け引きが生まれ、最後には、おとなに騙されたことに怒るどころか自分もそのルールにのっかり嘘で真実(恥をかかせる)を示すところまで展開する。対話においての言葉の扱いには、褒めること、相手を傷つけること、同調すること、騙すこと、など関係の数だけ言いまわしがあり、人の数だけ分類できそうである。言葉を受ける側に立ってみると、予想もつかないことを聞かれることで、自分の能力を引き出すきっかけにもなりうる。日頃嘘などつかない店主が、小僧さんに聞かれたことによって、作り話をしてしまうように。

今回の個展では、上記のような言葉の扱いの種類に対応すべく、対話としてのオブジェクトは可能なのか試みる。もちろん言葉を使う訳ではない。また特定の相手がいるわけではない。作るということ、また鑑賞するというプロセスの中に、作者と作品との駆け引きが折り込まれ、これからこの作品と遭遇する人との対話に備えた作りになっている。 作者、作品、鑑賞者、の遭遇をきっかけにし、それぞれの能力を引き出されることで関係が組み換わることを期待する。

2015/08/03
小林耕平

関連情報

オープニングレセプション: 10月3日(土)18:00 - 20:00

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