日本初公開!シカゴ ウェストンコレクション 「肉筆浮世絵-美の競艶~浮世絵師が描いた江戸美人100選~」

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会 期
20151120日 -  20160117
開催時間
10時00分 - 17時00分
(金曜日は20時00分まで) ※入館は閉館30分前まで
休み
月曜日、1月1日(金)ただし、11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館
入場料
有料
一般1,500 円(1,300 円/1,200 円)、高校・大学生1,200 円(1,000 円/900 円)、小・中学生500 円(400 円/300 円)
※( )内は前売り/20 名以上の団体料金 ※障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
上野の森美術館
住所
〒110-0007 東京都
台東区上野公園1-2
最寄り駅
上野
電話番号
03-3833-4191

詳細

展覧会内容

 アメリカ・シカゴの日本美術収集家、ロジャー・ウェストン氏所蔵の肉筆浮世絵は、個人コレクションとしては世界有数の規模と質を誇っています。本展では1,000点を超える同氏のコレクションの中から、厳選された約130点の作品をご紹介します。菱川師宣、勝川春章、喜多川歌麿、歌川豊国、葛飾北斎、河鍋暁斎など、50人を超える絵師たちによる多彩な作品を通して、江戸初期から明治にいたるまでの肉筆浮世絵の流れを知ることができるまたとない機会です。
 肉筆浮世絵とは、絵師が絹や紙に筆で直接描いたものです。浮世絵といえば、写楽の役者絵、歌麿の美人画、北斎や広重の風景画など、鮮やかな色彩で摺られた「版画」を思い浮かべる人が多いでしょう。そのような浮世絵版画と区別するため、あえて肉筆浮世絵と呼んでいます。
 量産される浮世絵版画に対して、一点物の肉筆浮世絵は大変貴重であり、大名や豪商たちからの注文を受けて描かれることもありました。絵師たちが腕をふるった肉筆浮世絵には、女性の髪の生え際や、華麗な衣裳の文様まで、精緻に描かれている作品が多く見られます。ウェストンコレクションの優品が日本に里帰りし初公開される本展は、東京会場が最後となります。華やかな美人たちの競艶をぜひお楽しみください。

※会期中、一部展示替えがあります。

喜多川歌麿の新種の肉筆浮世絵が本展に出品!! 異色の傑作「西王母図」

 美人画で知られる江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿が中国の伝説上の仙女を描いた珍しい新種の肉筆浮世絵が本展覧会に出品されます。
 西王母は中国の霊山(崑崙山)に住んでいる仙女で、長寿を願う漢の武帝に不老長寿の桃(仙桃)を与えたという伝説から、広く中国で信仰されました。遊女や町娘など江戸の流行の美人風俗を描くことで知られる歌麿にしてはきわめて珍しい画題で、今後の歌麿研究にとって貴重な発見といえます。
 歌麿の肉筆画は50点余り確認されていますが、他の肉筆画とは異なった描写を指摘することができます。例えば一気に描いたかと思わせる肥痩の強い輪郭線からは、若い頃に狩野派の鳥山石燕に入門していた歌麿が、十分に漢画の描写をマスターしていたことが窺えます。
 ロジャー・ウェストン氏が昨春にニューヨークの画商から購入し、初めての里帰り展となる本展に出品。本展覧会の準備の過程で、作品を調査した本展監修者で美術評論家・美術史家の永田生慈氏が、署名や印章、流れるような描線から歌麿の真筆と鑑定しました。

第1章.上方で展開した浮世の絵
 我が国において、本格的に浮世―つまり、現実社会の営みを絵画化しはじめるのは、16世紀前半の、いわゆる近世初期に入ってからです。その展開は京都を中心とした上方で、およそ17世紀中頃までこの地域で新たな画題が絵画化されていきました。
 当初は大名などの権力者の依頼によって、大画面の障屏画が制作されましたが、寛永年間(1624~44)から寛文年間(1661~73)頃に入ると、富裕な民間の注文に移り、歌舞伎や遊里も描かれるようになり、作品も小型化して掛軸装の一人立美人図を生み出すにいたりました。初期にはまだ、やまと絵の土佐派の関与もありましたが、後に漢画の狩野派の絵師たちによって描き続けられ、寛永年間頃には町絵師の手に委ねられて、上方の社会に広く愛好されたものとみられます。
 初めて展示される「京・奈良名所図屏風」や、寛文美人と呼ばれる一人立美人図により、この時代をみてみましょう。

第2章.浮世絵の確立、江戸での開花
 17世紀中葉頃、上方での風俗画の展開は終盤に入りました。ちょうどその頃、江戸では菱川師宣が登場し、肉筆画とともに一枚絵や版本などを精力的に発表して、浮世絵を専業とする浮世絵師という職業が確立しました。また師宣は菱川派と呼べる浮世絵の流派をはじめて形成し、さらにここから古山派という分派があり、江戸の地における浮世絵界の方向を決定づけたのでした。師宣をして、浮世絵師の祖とする理由はこの点にあるのです。
 ここでは師宣の大作「江戸風俗図巻」を中心に置き、構成上で寛文美人の流れをひく「立姿遊女図」とともに、菱川派から分派した古山派の師政の筆になる「遊女と禿の羽根突き図」の3点を紹介します。

第3章.浮世絵諸画派の確立と京都・西川祐信の活動
 菱川派と、そこから分派した古山派の活動は長く続くことはありませんでした。しかし師宣らによって開花した江戸の浮世絵は、これまで以上に華やかで多彩な浮世絵画派を出現させました。
 寛文美人以来の、背景を省略した一人立美人図は、安度を頭とする懐月堂派に受け継がれ、肥痩の強い、流れるような着物の輪郭線による美人画が描かれました。類似作品が多数遺されていることから相当な人気を呼んでいたものと考えられ、本展においては、東川堂里風、梅翁軒永春、松野親信など追随する絵師の作品もあわせて展示します。
 この懐月堂や菱川師宣などに影響を受け、肉筆画を専門とした宮川長春と、門人の長亀、一笑の11点にも及ぶ作品も本展の見どころといえるでしょう。
 このセクションでは、他に該期の絵師として川又常正、奥村政信、石川豊信、礒田湖龍斎など、まさに多彩な絵師による作品を展示しています。なお、江戸の浮世絵に多大な影響を与えた京都の西川祐信の作品も2点紹介します。

第4章.錦絵の完成から黄金時代
 明和2年(1765)に鈴木春信らが多色摺木版の錦絵を完成させると、江戸の浮世絵界は“春信様式の時代”とでも呼べる、春信風一色の時代を迎えます。しかし、年代が下って十余年を経た、天明年間(1781~89)から寛政年間(1789~1801)になると、これまでの反動からか、個性的な絵師を多く輩出するようになりました。
 本展に出陳される絵師では、艶冶(えんや)な遊里の美人画を描いて一世を風靡した喜多川歌麿や、それとは逆に清楚な女性美を追究した、鳥文斎栄之と門人の礫川亭永理などが挙げられます。また、歌川派の祖、豊春の作品は5点が出陳されます。
 なお、百川子興(栄松斎長喜)の「七福神酒宴図」は、若き葛飾北斎が宗理を号していた時期の画風と共通する部分が散見される、きわめて興味深い作例です。

第5章.百花繚乱・幕末の浮世絵界
 最も浮世絵界全体が活発な活動をみせたのは、幕末であったといえます。豊春を祖とする歌川派は、双璧とされる初代豊国と豊広らの門人によって、最大の画閥を形成します。豊広の門からは広重を輩出し、豊国の門からは二代豊国、国貞(三代豊国)、国芳など浮世絵界をリードする名手が出ています。中でも国貞は多作な絵師で、多数の門人たちにより一大勢力を誇りました。
 この歌川派に対し葛飾北斎は、常に画風を変化させながら70年もの作画生活を送って、約200名もの門人がありましたが、没後この一門は急速に衰退をみせました。本章では蹄斎北馬、柳々居辰斎、逸坡、葛飾北濤、抱亭五清、森玉僊を紹介します。この他、菊川英山の作品をはじめ溪斎英泉の優品6点も特筆すべきものです。

第6章.上方の復活
 西川祐信以後、上方では浮世絵はまったくの停滞をみせていました。それがわずかながらも動きをみせはじめるのは、宝暦年間(1751~64)頃からとされます。
 本章のおもな絵師としては、大坂で目ざましい活動を見せた月岡雪鼎がまず挙げられます。雪鼎の子の雪斎や桂宗信、岡田玉山、墨江武禅、蔀関月などの有力な門人が出て、一時、大勢力を形成しています。
 一方京都では、独自に肉筆美人図を専門に描いて知られる祇園井特が活躍しました。井特の描く美人図は、迫真的で強烈な個性に貫かれており、浮世絵史全般を通じても最も異色な肉筆絵師であったといえます。ここでは、井特5点と、雪鼎・雪斎の作品を紹介します。

第7章.近代の中で
 明治維新(1868)を迎えた東京の浮世絵は、大半が歌川派の絵師たちによって支えられていたといえます。国貞門下の豊原国周は、明治期の役者絵の第一人者として活躍し、最後の役者絵師と評されました。本展では3点の美人図を出陳していますが、中でも「楼上美人図」は、背景に歌川様式とは異なる近代的描写を試みている点に興味深いものがあります。
 河鍋暁斎は狩野派も学びましたが、浮世絵では歌川国芳の門下でした。本展ではじめて公開される「一休禅師地獄太夫図」は、暁斎の門人で、建築家のジョサイア・コンドルの遺愛品であり、複数遺されている同主題の作品の基準となるものです。最後の浮世絵師といわれる小林清親は、浮世絵版画に西洋の描写法を用いた“光線画”を創始し、近代における新たな錦絵を目指しました。「頼豪阿闍梨」は大胆な火煙の描写や面貌などに、これまでの浮世絵にはみられないリアルな表現を用いた作品です。

主催・協賛・後援

主催:日本経済新聞社、BSジャパン
監修:永田生慈氏(美術評論家、美術史家)
特別協力:ウェストン財団
後援:米国大使館
協賛:NEC、シンガポール経済開発庁、損保ジャパン日本興亜、みずほ銀行
協力:大光電機、日本航空、三菱重工業/Lumiotec、三菱レイヨン

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