開催時間 |
10時00分 - 22時00分
火曜:10:00-17:00 ただし9/22(火・祝)は22:00まで ※いずれも入館は閉館時間の30分前まで |
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休み |
無休
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入場料 |
有料 一般1800円、学生(高校・大学生)1200円、子供(4歳ー中学生)600円、シニア(65歳以上)1500円 ※表示料金に消費税込み ※本展のチケットで展望台 東京シティビューにも入館可(屋上スカイデッキを除く) |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
03-5777-8600(ハローダイヤル)
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒106-6150 東京都
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F |
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最寄り駅 | 六本木 |
電話番号 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
世界で最も活躍するベトナム人アーティスト、待望のアジア発個展!
ディン・Q・レは1968年にカンボジアとの国境付近であるベトナムのハーティエンに生まれ、ポル・ポト派の侵攻を逃れるために10歳の時に家族とともにアメリカに渡りました。カリフォルニア大学サンタバーバラ校とニューヨーク視覚芸術学校で写真とメディア・アートを学んだ後、細かく裁断した写真をタペストリー状に編む「フォト・ウィービング」シリーズ(1989年~)で注目され、2003年にはヴェネチア・ビエンナーレのイタリア館で展示されることになります。このシリーズで用いられる独特の技法は、幼少期にベトナムで親戚から習ったゴザの編み方に着想を得たもので、作品にはベトナム戦争をはじめ、カンボジアの遺跡、ポル・ポト派により虐殺、ハリウッド映画など多様なモチーフが織り込まれ、作品を見る角度や立ち位置によってその見え方は変化します。
《傷ついた遺伝子》(1998年)というシリーズでは結合双生児をテーマとし、ベトナム戦争中にアメリカ軍が散布した枯葉剤との関連を示唆しています。ホーチミン市内の店舗を使った最初の展示では、レが考案した結合双生児用の服や玩具が商品のように並び、訪れる人々に衝撃を与えました。それはベトナム人が語ろうとしないタブーを破り、議論を促す試みだったのです。
さらに映像を用いた作品《農民とヘリコプター》(2006年)では、自作のヘリコプターの開発に挑むベトナム人男性に焦点を当て、ベトナム戦争の象徴でもあるヘリコプターをめぐるベトナム人と戦争との複雑な関係を巧みに描き出しました。3面の映像と手作りのヘリコプターを組み合わせたインスタレーションは、シンガポール・ビエンナーレ(2008年)などで評判を呼び、レの名を世界的に知らしめるきっかけとなりました。またドイツ、カッセルの国際展ドクメンタにおける《光と信念:ベトナム戦争の日々のスケッチ》(2012年)では、かつての従軍画家たちによる100点おドローイングの展示とともに、彼らの戦時の青春を活き活きと蘇らせる映像作品を発表しました。
レは徹底した取材を行い、写真、立体、映像などさまざまなメディアを用いて、これまで語られなかった物語に注目し、「公式な」歴史と複雑に絡み合いながら存在する、名もなき市井の人々の個の歴史をすくあげようとします。どのように歴史が記録され、制度化されるかを観察するのと同時に、戦争による物質的な破壊のみならず、しばしば見落とされがちな人々の痛みや喪失の感覚、難民としての心理的葛藤の記憶などに焦点を当て、さらにはどのような状況下においても損なわれることのない人生の輝きを捉えます。そこには、ベトナムとアメリカ両方の文化のはざまに身を置いた経験をもつレならではの、独自の視点が活かされているといえるでしょう。
グローバル化が進み、価値観が多様化する現代の世界において、歴史を読み直し、アートと社会とのより密接な関わりを探ることは、きわめて重要な課題です。ベトナム戦争終結から40年、日本にとっては戦後70年でもある節目の年に、今最も活躍するアジアのアーティスト、ディン・Q・レのユニークな作品と活動を通して、本店は語られてこなかった物語に目を向け、私たちの過去と現在、そして未来について考えます。
(「ディン・Q・レ:明日への記憶」キュレーター/森美術館キュレーター 荒木夏実)
■アーティストトーク ※日英同時通訳付、手話同時通訳付
細く切った写真プリントを編み込んでいく「フォト・ウィービング」やダイナミックな映像インスタレーションなど、多様な手法を用いて制作を続けるディン・Q・レが、これまでの制作活動や本展初出品の新作などについて語ります。
出演:ディン・Q・レ(アーティスト)、モイラ・ロス(美術史家、詩人、脚本家)
日時:2015年7月25日(土)14:00-15:30(開場:13:30)
会場:森美術館 オーディトリアム(六本木タワー53階)
定員:80名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:(申込受付終了)
■トークセッション 第1回「ベトナム現代アートをめぐって:戦争から今日まで」 ※日英同時通訳付
ディン・Q・レは自らのアーティストとしての制作を続ける一方で、ホーチミンに現代美術のためのスペース「サン・アート」を設立し、ベトナムのアートシーンをけん引する活動を行っています。ともに「サン・アート」を運営するキュレーターのゾーイ・バット氏とディン・Q・レ自身にその活動について話を伺います。また美術評論家の林道郎氏には、ベトナム戦争が日本に与えた影響などについて、社会とアートの観点からお話いただき、日本とベトナムの繋がりについても考察します。
出演:ディン・Q・レ、ゾーイ・バット(サン・アート、エグゼクティブディレクター/キュレーター)、林 道郎(上智大学教養学部教授)
モデレーター:荒木夏実(森美術館キュレーター/本展担当キュレーター)
日時:2015年7月26日(日)14:00-16:00(開場13:30)
会場:森美術館 オーディトリアム(六本木タワー53階)
定員:80名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum
■トークセッション 第2回「アート・社会・歴史」 ※日英同時通訳付
リサーチとインタビューを通じて、歴史や社会の隠された側面に光を当てる作品を制作してきた2人のアーティストが、アートの表現の中で社会的、歴史的テーマを扱うことについて語ります。
出演:ディン・Q・レ、小泉明郎(アーティスト)
モデレーター:荒木夏実
日時:2015年9月12日(土)14:00-16:00(開場13:30)
会場:森美術館 オーディトリアム(六本木タワー53階)
定員:80名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum
■レクチャー 第1回「カメラを通して見たベトナム戦争」
ベトナム戦争を従軍取材した報道写真家の石川文洋氏。戦争の実態を間近に捉えたその写真は大きな反響を呼びました。日本人写真家がカメラを通して見た戦争とはどのようなものだったのかについて、お話を伺います。
出演:石川文洋(報道写真家)
日時:2015年8月29日(土)14:00-15:30(開場13:30)
会場:森美術館 オーディトリアム(六本木タワー53階)
定員:80名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum
■レクチャー 第2回「結婚にみるベトナム社会の今」
グローバル化の中で台湾や韓国などの外国へ渡るベトナム人女性の国際結婚が増えています。ベトナム研究者の岩井美佐紀氏を招き、結婚事情に焦点を当てながら変動するベトナム社会のいまについてお話いただきます。
出演:岩井美佐紀(神田外語大学アジア言語学科教授)
日時:2015年9月26日(土)14:00-15:30(開場13:30)
会場:森美術館 オーディトリアム(六本木タワー53階)
定員:80名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum
■キュレータートーク「名もなき人の声を集めて」
歴史の表舞台に現れないベトナムの市井の人の声を拾うディン・Q・レの作品を読み解きながら、現代美術に描かれる多様な物語の重要性について語ります。
出演:荒木夏実
日時:2015年7月31日(金)19:00-20:30(開場18:30)
会場:森美術館 オーディトリアム(六本木タワー53階)
定員:80名(要予約)
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:(申込受付終了)
■ギャラリートーク
森美術館スタッフが、展示室内でツアー形式のトークを行います。
日時:2015年8月19日(水)14:00-15:00
2015年9月2日(水)14:00-15:00
2015年9月16日(水)14:00-15:00
2015年9月30日(水)14:00-15:00
会場:森美術館展示室内
定員:各回15名
料金:無料(要展覧会チケット)
お申込み:不要(当日先着順、展示会場入り口にお集まりください)
■学校と美術館のためのプログラム
戦争、個人の歴史、マスメディア、アイデンティティ、多様な技法と表現など、展覧会で扱われるさまざまなテーマについて、学校教育や子供たちの環境と関連付けながら、先生と美術館スタッフがディスカッションします。図工や美術のみならず、他教科の先生もぜひご参加ください。
日時:2015年7月30日(木)18:30-21:00
対象:保育園、幼稚園、小・中・高等学校、大学、専門学校の先生
定員:15名程度(要予約)
料金:無料
お申込み:森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum
主催:森美術館
協力:日本貨物航空株式会社、シャンパーニュ ポメリー、ボンベイ・サファイヤ
企画:荒木夏実(森美術館キュレーター)