紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 『イヴェット・ギルベール』表紙 1894年刊 ポーラ美術館蔵 
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会 期
20140921日 -  20150329
開催時間
9時00分 - 17時00分
最終入館は16時30分まで
休み
会期中無休。2015年1月21日(水)は企画展示室のみ休室。
入場料
有料
大人 1800円(1500円)、シニア割引(65歳以上) 1600円(1500円)、大学・高校生 1300円(1100円)、中学・小学生(土曜日無料) 700円(500円)
※()内は15名以上の団体
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
ポーラ美術館
情報提供者/投稿者
開催場所
ポーラ美術館
住所
〒250-0631 神奈川県
足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
最寄り駅
強羅
電話番号
0460-84-2111

詳細

展覧会内容

画家たちは絵筆を手に、絵画のなかにひとつの世界を出現させます。絵画は壁にかけられ、しばしば窓のような存在として眺められます。そのような絵画を描く画家たちの多くが抱いた夢があります。それは、より身近に絵画と向き合える作品を作ることです。手に触れ、幾枚もの絵画を自由に広げて鑑賞することができる、コンパクトなかたち―「本」の制作です。
20世紀絵画において冒険を試みたシャガール、マティス、ミロ、ダリをはじめとする画家たちは、版画の技法による、豪華な挿絵本の制作にも取り組んでいます。19世紀末から20世紀中盤にかけて成熟を極めたさまざまな版画の技法を活かし、物語や詩、もしくは言葉の断片と響きあうように、無数の紙片により広がるイメージの宇宙が生み出されました。
本展覧会では、ポーラ美術館のコレクションの中から挿絵本の黄金期にきらめく代表作をひもとき、初公開の挿絵を含む51点の挿絵本と、関連する絵画作品をご紹介いたします。めくるめく、「絵画」と「書物」の出逢いをご堪能ください。

[出品作家]
エドガー・ドガ 、アンリ・ド・トゥールーズ= ロートレック、 ピエール・ラプラード、ラウル・デュフィ、ジュール・パスキン、レオナール・フジタ(藤田嗣治)、マリー・ローランサン、マルク・シャガール、ジョルジュ・ルオー、アンドレ・ドラン、アリスティド・マイヨール、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、フェルナン・レジェ、ジョルジュ・ブラック、 ジョアン・ミロ、サルバドール・ダリ

序章『愛書家D氏の書斎へようこそ』
まずは古き良き挿絵本の殿堂へ―。20世紀初頭の美術品コレクターで愛書家である紳士Dの書斎を再現したスペース『愛書家D氏の書斎へようこそ』を展覧会の入口に設置し、来館者を挿絵本の世界に誘います。ルネサンス期以降の西洋諸国では、豊かな財力と教養を持つ人物が、自邸のサロンや書斎を洗練された知的空間として演出するため、美しい革の装幀を施した貴重書を書棚に架し、絵画や彫刻とともに壁を飾る慣習が浸透していきました。この再現スペースでは、芸術家による挿絵本が隆盛しはじめた20世紀初頭のフランスを代表する美術品コレクターで愛書家D氏の優雅で華麗な空間を体感していただきます。

第1章 ドガとトゥールーズ・ロートレック「本を編む」
芸術家が手掛ける挿絵本の始まりは、フランスでは19世紀にさかのぼります。印刷技術の発展にともない、文章(文字)と挿絵(図)の関係は、多くの画家たちによってさまざまに探究されていきました。このセクションでは、画家であり版画家でもあった19世紀のドガとトゥールーズ=ロートレックの作品をご紹介します。

第2章 パスキン、フジタ、ローランサン「挿絵を描く」
エコール・ド・パリの画家たち、フジタ、パスキン、ローランサンらは、1920年~30年代に数多くの挿絵本を手がけています。パリの文学界と交流し、舞台芸術にも関わった彼らは、それぞれ個性的なスタイルで繊細な線と色彩を用い、詩や物語にインスピレーションを受けて挿絵を描きました。彼らは、古典文学から同時代の文学まで幅広く対象とし、書物への情熱にあふれた挿絵本を世に送り出しています。

第3章 シャガール「物語を彩る」
「リトグラフの石や銅板の板を手にすると、私はそこに不思議な力を感じとるのだった。私の悲しみの全て、喜びの全てをその中におさめることができる、私はそう感じた」(シャガール)。
銅版画による重厚な明暗表現が冴えわたる『死せる魂』や、カラー・リトグラフによる華麗な色彩を巧みに操り、挿絵本の傑作とされる『ダフニスとクロエ』など、シャガールの代表作を厳選して公開します。

第4章 ルオー「光を与える」
「信仰の画家」として知られるジョルジュ・ルオーは、版画や挿絵本の制作にも情熱を傾けました。第一次世界大戦を契機に、敬虔な信仰心を通じて戦争の悲劇を表現した『ミセレーレ』(憐れみたまえ)から、画家の憧れであったサーカス一座をとりあげた『流れる星のサーカス』まで、宗教的な主題をはじめとするルオーの様々な関心が向けられた版画表現をご覧ください。

第5章 ピカソ、ドラン、マイヨール「古典を旅する」
悠久の歴史をもつ古典文学は、読者はもちろん、画家たちの創意を刺激してやみませんでした。その仕事には、各々の文化的な出自や伝統に対する、憧憬と敬意にあふれるまなざしが息づいています。ここでは、ピカソ、ドラン、マイヨールの手がけた挿絵本に焦点を当て、それぞれの作家の古典と対峙する姿をご紹介いたします。

第6章 マティス、レジェ、ブラック「空間をひらく」
マティスは詩人マラルメの『詩集』に、銅版画の技法を用いて華麗な刻線を配する一方で、『ジャズ』では、切り紙絵の技法を応用したステンシルの技法で、色面の組み合わせによる無限の空間の広がりを実現しました。「サーカス」をテーマに自筆のテクストを添えた躍動感あふれるレジェの『サーカス』、鳥をモティーフに絵画における「詩=ポエジー」について深い思索を重ねた晩年のブラックの挿絵本を紹介し、絵画空間を果敢に切りひらいたマティス、レジェ、ブラックの仕事に迫ります。

第7章 ミロ「宇宙を紡ぐ」
生涯にわたってダダ、シュルレアリスムなどの詩人たちと深く交流したミロは、絵画と文学とが渾然一体となった挿絵本を盛んに制作しました。木版から銅版、リトグラフ、さらにコラージュまで、さまざまな技法を用いてミロが紡ぎだす小宇宙を4点の挿絵本によりご紹介します。

第8章 ダリ「世界を創る」
ダリもまたシュルレアリスムの詩人たちと深く交流し、書物の制作を盛んに行いました。『哲学者の錬金術』は、10点の版画とともに、各国の錬金術に関する古文書の写しをまとめた2巻の冊子を、本をかたどった大きな箱に収めた作品です。神が世界を創造した過程を再現する技法と言われる錬金術に魅せられた、ダリの芸術をご紹介します。

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