開催時間 |
10時00分 - 19時00分
毎週金・土は21時00分まで ※入館は閉館の30分前まで |
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休み |
9月8日(月)
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入場料 |
有料 一般1500円(1300円) 大学・高校生1000円(800円)、中学・小学生700円(500円) ※消費税込 ※( )内は前売券、団体20名様以上の料金 |
作品の販売有無 |
展示のみ
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この情報のお問合せ |
ハローダイヤル 03-5777-8600
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情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒150-8507 東京都
渋谷区道玄坂2-24-1 B1F |
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最寄り駅 | 渋谷 |
電話番号 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
美術の歴史においては、古くから見る人の目をあざくむような仕掛けをもつ「だまし絵」の系譜があります。
古今東西のだまし絵の名品からその系譜を辿った2009年の「だまし絵」展は、東京・名古屋・神戸の3会場計75万人という驚異的な動員数を記録し、多くのお客様にお楽しみにいただきました。
その継続となる本展では、多岐にわたり進化していく現代美術の展開に重きをおいています。視覚的に興味深く、芸術性に優れた作品を選び、その視覚的詐術を「トロンプ・ルイユ」「シャドウ、シルエット&ミラーイメージ」「オブ・イリュージョン」「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」などのカテゴリーに分類して仕掛けを解き明かすとともに、先達者としての古典的巨匠の到達点とあわせて現代の新しい「だまし絵」への挑戦を紹介していきます。
2009年に開催した「だまし絵」展は、美術の歴史における「イリュージョン」の効果に着目し、見る人の目を欺くような焦点を当てた作品の系譜を、古典的絵画から近代を経て現代美術にいたる歴史的な流れのなかで紹介する試みでした。その続編となる本展では、多岐にわたり「進化」していく現代美術の展開に重きを置き、古典的傑作を集めたプロローグに続き、現代の新しい「だまし絵」における挑戦を、視覚的詐術によるカテゴリーに分類して展観していきます。
アートでなければ本物のだまし絵ではない!
巷では相変わらず「びっくりアート」の類が見世物として人気を博し、一方ではCGアートがテレビCMや映画で多用され、多少のことではびっくりしない環境が日常化している昨今。だまし絵と呼ばれるもののなかで一流の美術作品だけが、観る者に真の感動、感銘を与えることができる。そしてそれは、この分野が確立した16世紀ごろから今日まで、そしてこの先も変わらぬ事実ではないだろうか。そしてその創始者の一人が、奇才ジュゼッペ・アルチンボルド(1527-1593)である。
ミラノ出身のこの画家は、神聖ローマ帝国の皇帝を出したハプスブルク家に仕えた宮廷画家であり、動物や野菜、果物など様々な物を組み合わせて人物像を生み出したことで知られており、この道の元祖である。だまし絵という観点からは、ダブル・イメージというカテゴリーに分類される。つまり、ある絵の中に別の絵が潜んでいるという構造を取る作品で、指摘されなければすぐに分からない場合と、本展の出品作の《司書》のように、確信犯的に構成物が分かる場合がある。そして後者では、それが分かるところに面白味があり、作者の意図が隠されている。
されている。
ここに描かれているのは画家が仕えた皇帝マクシミリアン2 世の周辺の人物で、1554 年に宮廷の歴史を記録する修史官に皇帝から任命されたウォルフガング・ラツィウスという博学の人物であろうと言われている。彼は皇帝の美術品収集室の責任者でもあり、皇帝の古銭コレクションや図書館も取り仕切っていた。要するに本はこの人物の象徴なのである。実際当時、司書は知識偏重あるいは主知主義に対する風刺を象徴的に表す図像であったという。この人物、躯体と頭部は積んだ本、髪(あるいは帽子)は開いた本、目は鍵の輪、耳は本を閉じる紐、髭ははたき、そして指は本のしおりで、謂わば本の虫である。そして実際、ラツィウスは非常に多くの文章を残したが、批判精神に欠けると当時から言われていた。アルチンボルドは宮廷でラツィウスが陰で嘲笑されていることを、この作品を通じて表現したのだが、ウォルフガング・ラツィウスの肖像と題されているわけではなく、むしろ皇帝はそんなアルチンボルドの姿勢を面白がったにちがいない。なお、カーテンがマントになっている点は、同じくカーテンの巧みに取り入れた他の技巧的なだまし絵との接点を感じさせる作品である。
(Bunkamura ザ・ミュージアム チーフ・キュレーター 宮澤政男)
主催:Bunkamura、東京新聞、フジテレビジョン
後援:J-WAVE 81.3FM
協力:スイスエア インターナショナル エアラインズ、日本貨物航空、日本航空、ルフトハンザ カーゴ AG
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