櫻井智子展 「クエナイモノ」

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会 期
20110108日 -  20110130
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
最終日の展示は18:00までとさせて頂きます。
月曜定休。
クリエイター在廊
この情報のお問合せ
neutron tokyo
03-3402-3021
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
neutron tokyo
住所
〒107-0062 東京都
港区南青山2丁目17-14
最寄り駅
外苑前
電話番号
03-3402-3021

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

確かな技術に裏打ちされた墨彩画で表現するのは、想像上の生物でも過去の遺産としての動物画でもなく、
現代に生きる人間以外の生命達の活き活きとした姿。
この地球に生きる生命の豊かさやエネルギーを、「陸」「海」 「空」それぞれのフィールドで謳歌する彼らは、
しかし私達人間のせいで絶滅の危機に瀕しているものばかりである。
100羽を超えるペンギンのパノラマから水中生物達の織りなす曼荼羅のような景色まで、
作家の観察眼と想像力によっておおいなるアトランティスが現れる!!

伝統的な水墨画の技法「たらし込み」や、繊細な筆遣いで確かな画力を誇る櫻井智子。その最大の特長と
言えるのは、モチーフとする生き物達の魅力溢れる姿そのものであろう。墨で生き物を描くという行為自体は古く
から繰り返し試され続けており、何も目新しい行為ではない。特に日本においては雪舟らそうそうたる画人によって
掛軸から襖絵、絵巻物に見られる鳥獣戯画まで、数多の作品が残されてきているので尚更である。にも関わらず
作家が現代においてもなお果敢に挑もうとするには、それ相応の理由と覚悟があると言って差し支えないだろう。
 もともとは背景に装飾的な絵柄を配し、いわゆるイラストレーションとしての水墨画を制作していた作家にとって、
転機が訪れたのは2007 年から2008 年にかけての事。当時から描画力には光るものがあったが、いわゆる
水墨画・墨彩画然とした絵の内容は正直なところ新味に欠けていた。モチーフも龍や麒麟といった伝説の
(想像上の)生き物を描いていたので、様式美にとらわれていたと言わざるを得ない。しかしながら、それまでの
作家自身が拘泥していたディテールをあえて排すことにより、驚く程の作風の変化と、隠されていた作家の制作の
本質が一気に明らかになることになる。
 ではその本質とは何かと言えば、それはまさに描こうとするモチーフそのものに在る。古典的な空想の産物は
姿を消し、描かれるのは動物園や図鑑でお馴染みの現存する生き物に替わった。背景には何も描かれず、ただ
白い和紙のまま貼られているのみ。ストイックなまでに削ぎ落とされた画面には、しかし従来感じることの出来なかった
迫力とリアリティーを伴って、数多くの生き物達が描かれて行くことになる。だが決して珍しくない生き物達を
描くことがなぜ転機になったかと言う理由は、作家本人がモチーフとして選んだ生き物達に深い愛情をこめた
眼差しを向け、同じ地球上に生まれながら人間以外の生命が排除され、あるいは都合良く飼われ、繁殖あるいは
絶滅してきた事に対する強い危機感とアンチテーゼを持つに至ったことに他ならない。櫻井は紙に筆という
最小限の画材を用いて、しかし最大限の観察と考察を重ねた結果、絵本にも図鑑にも、そして動物園や水族館にも
見る事の出来ない、生き物達のユーモアと造形美溢れる姿を思い切って活写することを実現したのである。
2008 年のneutron(京都)での初個展では、こうした劇的な変化を伴って全くの新しい境地を開拓し、いきなり
注目を集めるようになった。それ以後、2009 年のneutron tokyo、さらに2010 年のneutron kyotoと
年に一度のペースで意欲的な個展を続けているが、その内容及びコンセプトは洗練と広がりを重ねている。
なにより、作家自身が自分に訪れた転機を前向きに受け止め、楽しくて仕方がないと感じている事が最大の
モチベーションとなっているのであろう。
 だが誤解して欲しくは無いのは、櫻井が地球上の絶滅危惧種を憂いているからと言って、悪名高きグリーン・
ピースを始めとする一部の過激な環境保護団体や、安易に動物擁護を訴える者達と同様の思想を掲げている
わけでは無い。櫻井は間違いなく美術作家としての立場から、ペットや食用にもならない多くの素敵な生き物達の
姿を次々と描くことにより、そもそもの生物の多様性(形状や色彩、機能、成り立ちなど)に思いを馳せることから
結果として現在の生き物が置かれている状況を知り、なお制作を繰り返すことにより、現代人に自分の感じた
気持ちを伝えようとしているものである。私達人間は他の生物と同様、食べることでしか生きられないのだから、
その為に生き物を殺すことを否定しても始まらない。だが、櫻井が唱えるのは、食べたり可愛がったりして人間の
役に立つ、親しみやすい生き物だけが生物ではないというメッセージである。今展覧会のタイトルとなっている
「クエナイモノ」がまさにそれを言い表しており、食べられない/食べたくもない生き物達の中にも、まじまじと見れば
実に魅力的で、面白いものたちが多いことを感じずにはいられない。櫻井の描く構図や技法、色遣いもそれぞれの
個性を引き立たすため、全てにおいて創意工夫が感じられる。今回の発表作品には2010 年に京都で出した、
100 羽を超えるペンギンの群像も含まれる。一方ではダイオウイカとマッコウクジラによる迫力満点の格闘シーンも
見物である。私達日本人は古来から海や陸の生物達と共存共栄し、世界にも名だたる食文化と美術を生み出して
来た。そして今こそ再び、私達の隣人であり友人である彼らと、共に生きて行くことを想起すべきなのではなかろうか。
gallery neutron代表 石橋圭吾

関連イベント

初日[ 1/8(土)]の午後6時から8時過ぎまで、会場にて作家を交えてのオープニングパーティーを開催致します。
入場無料ですのでぜひふるってお集り下さい。

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