一原有徳 1910-2010 版 - 無限の可能性
会期: 2014-04-05 - 2014-06-08
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
版画
開催内容
一原有徳(1910-2010)は、徳島県那賀川町に生まれ、3歳の時に家族とともに北海道に渡り、小樽を拠点に旺盛な版画制作を行いました。1950年代後半、最初に、石版石を用いたモノタイプに着手。以来、一貫してモノタイプと実験的な金属凹版による表現を探求し、国内外で高い評価を得ています。銅、鉄、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、あるいは廃車のボディといった金属の表面を、叩き、削り、腐蝕させて版とし、既存の常識を打ち破り、版画の可能性を拡張し続けました。
本展では、抽象表現でありながら、鑑賞者の想像力を刺激してやまない、一原有徳の「版の世界」を一望します。
版から生まれる一原有徳の世界
1910年に生まれ2010年に100歳で他界した一原は、17歳で逓信省小樽貯金局に事務員として入局し43年 間勤務しました。1928年頃から俳句の創作を開始。1958年に銅版プレス機を入手し、その頃より本格的な版画制作を始めています。若い頃は北海道に数多く残っていた処女峰をことごとく踏破する登山家としても知られ、句作のみならず、兵隊体験などを小説にする多才な人でもありました。1970年小樽貯金局を退職。以後、創作活動に専念。その年、小説『乙部岳』が太宰治賞候補にもなっています。
本展では、当館の一原作品のコレクションから厳選した、60年代から90年代の版画作品を展覧します。 鏡にも似た「版」という構造から出現したそれらの作品群には、儚いものへの憧憬も、得体の知れぬものへの不安も、渾然一体となって画面にたゆたっています。そしてたゆたいながら浮沈するそのモノクロームの色や形は、終わることのないメビウスの輪のような、収束不能の情動として、宇宙をも感じさせる無限の可能性をわたしたちに呈示し続けています。