竹村文宏 真空

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会 期
20131005日 -  20131109
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日・月・祝
入場料
無料
この情報のお問合せ
児玉画廊|東京
情報提供者/投稿者
開催場所
児玉画廊 | 東京
住所
〒108-0072 東京都
港区白金3-1-15
最寄り駅
白金高輪
電話番号
03-5449-1559

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

 児玉画廊|東京では、竹村文宏個展「真空」を開催します。
 児玉画廊においては2011年のグループショー ignore your perspective 12(児玉画廊|京都)で初めて紹介して以来、昨年は初個展「Flight」(児玉画廊|京都)、東京での初紹介となるignore your perspective 14(児玉画廊|東京)、アートフェアArt Stage Singapore 2013での個展形式でのブース展示など、非常に精力的な発表を続けてきました。今回の個展では、未だ断片的な紹介に留まっていた竹村の世界観の全容をいよいよご覧頂ける機会となります。

 竹村は、アクリル絵具を細く絞り出し乾燥させたものを組み合わせて、キャンバス上に立体的な構造体を精密に構成していくという作品を制作しています。一見、まるでプラモデルやジオラマ、あるいは針金や糸などといった芯となる素材を使って構造を保っているように見えますが、実はそうではなく、あくまで絵画表現の延長線上にある作品として、絵具のみで作られた「ペインティング」であるという点に、まずもって鑑賞者は感心させられます。

 竹村は、初期においては主にドローイングを制作し、それは強弱のないフラットなタッチで引かれた線によって、精密に描き込まれた地図や衛星写真のような俯瞰図を思わせるものでした。しかし、精密ではあるもののそれは写実的な描写をすると言う訳ではありません。統一感のないパースで描かれたモチーフ、そのモチーフ同士のねじれた間を埋めるように歪みながらどうにか繋がっていく線描など、描画の丁寧さに反して空間表現の手法を無視したような不条理さが多々見られ、それが見ていて飽きさせないポイントであると同時に、どこか無理を押し通しているような不思議な感覚を覚えます。実は、竹村は「線と線を決して交差させない」というルールを決めているため、それが画面に違和感を生じさせているのです。なまじそんな決めごとをしてしまったがばかりに、竹村のドローイングは常に線描が突き当たりをうろうろさまようような独特のスタイルになっているのです。2本の線が重なりそうになった時には、交差させずに引き返したり迂回したりして線をどうにか継続させていきます。それは彼の作品の絶対条件であると同時に、かえって描写の自由を強いる面倒な制約にもなっています。ではなぜそうする必要があったのかと言えば、絵画上の層(レイヤー)に対する竹村の問題意識に起因します。ここで言う層(レイヤー)とは、絵の具や色面の重なりのことではなく、空間の重なりを絵画としてどう扱うのかということです。

 例えば、立体交差する高速道路とその下の一般道路の間には両者を上下に隔てる空間があって、互いに接することなくすり抜け合っていますが、地図上では交わる二本の線が単純に二層に重なり合った状態で描かれます。それは極めて合理的な表現手段ではありますが、絵画において、モノとモノとの重なり、現実にはある空間を挟んだモノとモノとの重なりを、安易にレイヤーとして、そして曖昧に処理するのではなく、何かそれとは異なる切り口の表現について模索を始めます。そこでまず、絵画上に一切層(レイヤー)を作らないことにすればどうなるのかという実験を試みました。そして前述の通り「線と線を決して交差させない」というルールを科してドローイングを描いた結果、絵画の遠近法やそれに類する立体感を見せるための描画方法に対しても逆行するような表現をせざるを得なくなったのです。それはむしろ、竹村のドローイングを逆説的な独自性によって際立たせ、一定の目的を果たしたと言えます。しかし、竹村は依然として自身が決定的な解決に至っていないということを看過できず、新たな手法を模索し始めます。

 そこで今度は、実際に線描を画面からつまみ上げることができたなら、と仮定してみました。竹村はアクリル絵具を細い糸状に絞り出したものを固形化させて、線描を立体化する(物質化する)ことによって平面絵画表現における層(レイヤー)からの解放を試み、そのアイデアを実践してみます。例えば、「川の上に架かる橋」のようなモチーフの場合には、川を表す描写に対して直交するように、固形化した絵具で作った橋桁を点々と立てていきます。そして本当に橋を架けるかのようにして橋桁の上に一本のアクリル絵具の線を乗せていくのです。この手法によって、竹村の線描は一気呵成に三次元的に解放されていきました。下地を塗り込めた起伏のあるマチエールが丘陵となり、そこに針葉樹林が生い茂り、林道の続く先にはビルの乱立する町並みが隆起してくる。まるで飛行機から地上を俯瞰するようにして画面を文字通り構築していくのです。ただし、ジオラマや建築模型のような立体造形物として制作しているのではなく、この作品の根幹にあるのは、二次元とは何か、レイヤーとは何かといった自身の絵画に対する違和感を払拭することであり、レイヤーや遠近法によっては騙し騙しでしか獲得することができなかった空間性を、より実態に即した新たなパースペクティブとして絵画領域に持ち込むことなのです。平面の中ではスペースを求めてひしめくようにしていたビルや木々が画面からこちらに向けて伸び上がってくる様は、絵画でありながら具体的な空間を有する全方向的なものとして、新たな可能性を我々に指し示すのです。

関連情報

オープニングレセプション 10月5日18時~

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