鷹野隆大 写真展 「香港・深圳 1988」

 「九龍城、香港」©Ryudai Takano  Courtesy: Yumiko Chiba Associates / ZEIT-FOTO SALON
  • 「深圳、中国」©Ryudai Takano  Courtesy: Yumiko Chiba Associates / ZEIT-FOTO SALON
  •  「深圳、中国」©Ryudai Takano  Courtesy: Yumiko Chiba Associates / ZEIT-FOTO SALON
タグ
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会 期
20131121日 -  20131221
開催時間
10時30分 - 18時30分
土曜 ~17時30分まで
休み
日・月・祝
入場料
無料
この情報のお問合せ
ZEIT-FOTO SALON
情報提供者/投稿者
開催場所
ZEIT-FOTO SALON
住所
〒104-0031 東京都
中央区京橋3-5-3 京栄ビル1F
最寄り駅
京橋
電話番号
03-3535-7188

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

25年前の夏、二十五歳だった僕は香港と深圳(しんせん)を旅した。特段の思い入れがあったわけではない。魔窟と恐れられた九龍城(香港では九龍城砦)が間もなく取り壊されると知り、怖いもの見たさで訪れてみただけのことだった。19世紀末に一帯がイギリスに占領された後も中国が所有権を譲らなかったために無法地帯と化して生まれたのが九龍城だった。地元の人には申し訳ないが、それは僕にとっての香港のイメージそのものだった。

この旅で幸運だったのは、偶然知り合った香港人に日本語のできる人を紹介してもらえたことだった。その人のおかげで、九龍城に暮らす人と話ができたうえに、予定外の深圳へも行くことができた。香港に隣接する深圳は、鄧小平が進める改革開放の最初の実験地として経済特区に指定された町だった。指定後10年も経たないうちに大都市へと変貌していると聞き、一度訪れてみたいと思っていた。その深圳では単に街を見て歩くだけでなく、その人が関わっていた裁縫工場を見学することもできた。悲惨というほどではないものの、蚕棚(かいこだな)の貧しい寮で暮らす若い男女に接することができたのは印象深い出会いだった。

その他にも語りたいエピソードは色々ある。それらひとつひとつが撮影時の記憶と分ち難く結びついているものの、写真とエピソードは本質的に別物である。さらに言うなら、撮影意図とも別物である。写真の豊かさとは、そういった撮影者の“物語”に関わりなく何かを語ってしまうところにある。誰もがわかっている当たり前の話なのだが、実践しようとすると案外難しい。我々はつい“意図”や“思い”で画面を支配しようとしがちである。人は目論見なしにシャッターを切ることはできない。そのモチベーションとは詰まるところ“絵作り”しようとする欲求であり、それは自意識の発露以外の何物でもない。しかしそれでも写真を撮るために自分の“物語”を越えて行かねばならないとしたら、禅問答のようなこの循環から逃れる最良の方法は間をおくことである。時間がすべてを解決してくれるとはよく言ったものだ。

四半世紀の間をおいて写真を見返すとき、撮り手の“物語”が消えた後に残るものが明瞭に浮かび上がってくるだろう。自分の写真でこのような体験ができるチャンスは滅多にない(再びやろうとしたら、また25年、写真を塩漬けにしておかねばならない)。こうして得た感覚を次に生かすことができたなら、それはおそらく未来から今を見据える眼差しへと通じるのではないかと思う。今回の展示では、写真が孕むこのような時間性について、なにがしかの実感をつかむことができればと願っている。

2013年9月
鷹野 隆大

主催・協賛・後援

協力:ユミコチバアソシエイツ

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