上田 トモ 展 「MOVE」

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会 期
20130830日 -  20130911
開催時間
12時00分 - 22時00分
最終日17時00分まで
休み
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cafe dining near
情報提供者/投稿者
開催場所
cafe dining near
住所
〒606-8227 京都府
京都市左京区田中里ノ前町34-2 珠光ビル百万遍B1F
最寄り駅
元田中
電話番号
075-708-8822

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

2013年8月30日(金)から9月11日(水)までの12日間、gallery nearにて、上田 トモ 展「MOVE」を開催いたします。
上田 トモは「墨流し」という日本古来の伝統的な技法をベースに、ドローイングやドロッピングなどを合わせた作風でストリートカルチャーやグラフィティを思わせる作品を表出します。日本において長きに渡り伝承されてきた技法を踏襲し、現代的に表現することで、日本が誇る美しい伝統的な技法を広く周知するという意志を体現し、活動する作家であります。

「墨流し(すみながし)」は、日本古来9世紀頃から日本画に用いられてきた技法であります。容器に水を張り、その中に墨や彩色液(カラーインク)などを落とし、掻き混ぜ、和紙や布といった支持体に写し取ることで、揺らめく水面の表情が色彩となって姿を現し、妖艶且つ神秘的なうねりが画面を縦横無尽に駆け回ります。この「墨流し」が変化したものが、西洋式の「マーブリング」と言われており、名称としては「マーブリング」の方が一般的かもしれません。しかし、糊状の液体を用い、櫛などで紋様を成形することができる「マーブリング」に対し、「墨流し」は純粋な水を用いるので、制作環境(風・気温・水温・和紙との相性など)によって、できあがる画面は大きく左右されます。職人的な技術と経験・勘がもたらす、いわゆる工芸的な側面と、人間が介入できない自然の流れや偶発性によって生まれる思いがけない複雑な紋様や神秘的な色の重なりが、この「墨流し」の一番の醍醐味と言えます。そうして生まれた画面は見るものに様々な形状を想起させ、生物的なものを連想する者、人物の顔を見出す者、あるいは宇宙的な広がりを見ようとする者など、鑑賞者によって十人十色であり、抽象でも具象でもない「墨流し」という「水紋」特有の面白さだと言えるでしょう。

上田は、特に音楽にインスピレーションを受け制作しており、常に好みの音楽を聴きながら表現される画面には、まるで奏でられたリズムやメロディーが描かれているようであり、対峙する画面からは「音楽」を感じることができます。「墨流し」特有の湧き出るような表現は、民族的なスピリット、生命のリズムや動き、人類が本来持つエネルギーをも感じさせ、前述したように鑑賞者に多様な解釈を促します。情報に惑わされ、常に頭で考える癖・正しい回答を探す癖の付いた現代人に、生物として「感じる事」の大切さを気付かせてくれる、まさに現代の日本が失いつつある感覚を呼び起こしてくれるようであります。

本展は「MOVE」と題された新作を中心に、大小様々な作品で構成されます。上田の表現における主題は、現代社会において流動的に変化するあらゆる事象を受け入れ、決して受動的な思考ではなく、あくまで主体性を保持しつつも、流れに身を任せることの重要性を提示します。「墨流し」のゆったりとした水面の変化と、人として人生を歩む上で起こりえる様々な状況の変化とを重ね合わせ、時の流れによって訪れる変化の兆しに対して「行動」を起こし、現状を少しずつ「変化」させていくことで、より良い環境を生み出すことは、新たな流れに身を任せることに繋がります。上田は、過去から現在に至るまで同じ事象は存在せず、ゆるやかな変化の結果が今であるということを、自身が表現する画面に表れる静かで力強い「墨流し」のうねりに比喩させており、我々に変化を受け入れる強さ、自ら動く意思を持つことを投げかけているようであります。

                                                               gallery near 延近 謙

■ ARTIST STATEMENT ■
“墨流し( マーブリング)” という技法を使って制作しています。墨流しは日本古来9 世紀頃からある日本画の技法で、尾形光琳の『紅白梅図屏風』が特に有名です。墨流しは容器に水を張り、その中に彩色液( カラーインク) や墨などを落とし掻き混ぜ形を作り、和紙や布などに写し取ります。この技法は西洋に渡り、西洋式の“マーブリング” と呼ばれるものに変化しています。西洋式では技法・素材など少し違っていて、専用の糊の液体にインクを落としますが、日本式の墨流しは水を使うので、風・気温・水の温度・和紙との相性、全てが上手く混じり合うことがポイントになってきます。技術力を磨くことはもちろんのことですが、経験・勘も大変重要になってきます。

墨流しの作品は偶然的な作用で作り上げたものと思われることも多いですが、決して受け身のものではなく、作る側の想いをダイレクトに受け取り、形作ってくれる技法だと思います。ある時は、大好きな音楽とリンクしてパチパチと音を立てていたり、穏やかな感情とリンクしてふわふわと浮遊していることもあって、不思議な感覚と共に、私の精神を一瞬にして水面に集中させます。宇宙の神秘が凝縮された中で、いつも心地良い感覚に揺られます。毎日違った感情を抱いているのだから当然のことですが、何度作っても同じものが出来ないので本当に不思議です。

伝統的な技法を取り入れながら、現代的な技術・表現方法を使い、墨流しの新境地をひらきたいです。
日本人として生まれたからこそ、このような素晴らしい技術を後世に残していかなければという使命感を感じています。

                               *****

今回の個展のテーマである「MOVE」は、この世界のあらゆるものが動き瞬く瞬間をあらわしています。
“諸行無常” 全ては移ろいゆくもの。
目に見えない小さな命の息吹も、空も想いも、同じものは二つとない。
変化し流れていくことは悲しいことではなく、新しい世界へ導くもの。
恐れることはない。
きっと大丈夫。
あなたも私も変化を繰り返して、今ここまで生きている。

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