坂田栄一郎 ―江ノ島

「江ノ島」 1999 年 ⓒ Eiichiro SAKATA
  • 「江ノ島」 1997 年 ⓒ Eiichiro SAKATA
  • 「江ノ島」 1998 年 ⓒ Eiichiro SAKATA
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会 期
20130713日 -  20130929
開催時間
11時00分 - 17時00分
水曜は20時00分まで/入館は閉館時刻の 30 分前まで
休み
月曜日(祝日にあたる 7月15日、9月16日、9月23日は開館)、7月16日、9月17日、9月24日
入場料
有料
一般 1,000円、大高生 700円、小中生 500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人 100円引
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
原美術館
情報提供者/投稿者
開催場所
原美術館
住所
〒140-0001 東京都
品川区北品川4-7-25
最寄り駅
品川
電話番号
03-3445-0651

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

人物写真(ポートレイト)の大家、坂田栄一郎による“人のいないポートレイト”を中心としたシリーズ「江ノ島」を初公開します。「江ノ島」は、坂田が90年代後半より16年間江ノ島海岸に通い、夏を謳歌する人々の姿を撮りためた作品で、砂浜に広げられた無人のレジャーシート上のさまざまなモノたちをとらえた鮮烈な静物写真(スティルライフ)と、生命力あふれる若者たちのポートレイトから成ります。そこから見えてくるのは実にさまざまな個性、そして急速に移り変わる現代日本の姿です。本展は、すべて初公開となるカラー写真約40点(そのうちポートレイトは約10点)で構成される予定です。「若者たちの姿からポジティブなエネルギーを感じて、複雑で先の見えない時代を生きるみんなに元気になってほしい」。魂をこめて対象と向き合いつつ、鋭い観察眼で時代をとらえ続けてきた写真家・坂田栄一郎の、未来への願いが込められた展覧会となります。

 一般的に坂田栄一郎の仕事の中で最も人の眼に触れる機会の多いものは、週刊誌「AERA」(朝日新聞社)の表紙を飾る各界著名人のポートレイトでしょう。1988年の創刊号から現在まで休むこともなく撮り続けられ、その数は1000人を越えます。  
 そのかたわら、坂田栄一郎は、自分のプロジェクトとして真夏の江ノ島に通い、写真を撮りためてきました。カメラは江ノ島の風景ではなく、“夏の海”を楽しむためにやって来た人々の姿に向けられます。しかしながら、いわゆるポートレイトと呼ばれる写真は展示作品の四分の一ほどしかありません。
 多くの写真に写し出されるのは、真夏の焼けた砂、広げられたカラフルなレジャーシート、無造作に置かれたタオル・サンダル・ポーチなど個人の身の回りのもの、あるいは飲みかけのドリンクや弁当殻、タバコ、さらには麻雀牌等々・・・・・・。海で遊ぶ若者たちが砂浜に残したモノたちが、8x10 インチや 4x5 インチの大型フィルムで捉えられ、鮮烈な色彩とコントラストのイメージに焼き付けられています。これといって特徴のない砂浜や普通に見かけるレジャーシートの色彩やテクスチャーが、絵画を思わせるような力強さと存在感を放つことに驚かれるでしょう。ジャンルとしては静物写真(スティルライフ)と呼べるものですが、むしろイメージの中のモノたちが持ち主たちのライフ(生命・生活)を語る、いわば“人のいないポートレイト”と呼びたくなるヴィヴィッドな作品です。
 同時に、そのモノたちを通して、坂田栄一郎が撮り続けた 16 年という時間、その時代の変化というものも間接的に浮かび上がってきます。そして、偶然海遊びに来たところを坂田の求めに応じてカメラの前に立った若者たちのポートレイトでは、彼らのいきいきとして堂々たる姿に、生きることの肯定と生きるためのエネルギーを感じることができます。同時にポートレイトを得意とする坂田栄一郎の真骨頂を見ることができるでしょう。
本展は、すべて初公開となるカラー写真約 40 点(そのうちポートレイトは約 10 点)を展示する予定です。

【展覧会に向けた坂田栄一郎のメッセージ】
日本三大弁天の一つでもある、弁財天を祀る神社がある江ノ島。そこには、人々を引き寄せる何か強い磁場が存在するのではないかと思う。陸繋島から見下ろす江ノ島ビーチは広く、「東洋のマイアミビーチ」と呼ばれ、梅雨が明け夏の到来とともに、全国津々浦々から若者達が集まってくる。お盆休みの前後のビーチは、足の踏み場もないほどだ。僕もその磁力に長いこと引き寄せられた一人だろう。真夏の炎天の下、重いカメラを携えて東西に広がるビーチを端から端まで何度も往復している。それほどまでに夏の江ノ島のビーチに魅了され続けてきた。
日本の若者は同時に幾つものことをこなし、生活を楽しむ、「マルチタスク術」を備えているのではないかと思う時がある。片手にドリンクを持ち、音楽を聴きながらメールをしたり、携帯電話をしながら化粧をしたり。ビーチに麻雀卓を運んで仲間とプレーに興じ、食べたり飲んだり……。とにかく、若者は忙しい。世界のどこにもない、現代日本ならではの光景が江ノ島にはある。便利で快適だけど忙しく、豊かだけど満たされない。そんな混沌とした現代を象徴するような寂寥感までもが漂っている。
ビーチでの物との出会いは、日常の生活の中では決して見られない衝撃的な光景に映る。砂浜に敷かれたタオルやビニールシートの上に、無造作に置かれた持ち物。そこには、持ち主の人物像や存在感がくっきりと浮かび上がっている。長年、撮影していると、絶えず変容する社会と変遷する時代までも見せてくれる。撮り続ける中で、人間とはいかなる存在なのだろうか、という素朴な疑問までもわいてくる。
ビーチでの人との出会いも、同じかもしれない。2007 年の夏、一人の少女と出会った。パンダの顔を想像させる入念なメイクを施し、蛍光グリーンのビキニに負けない、カラフルなヘアースタイル。人真似ではない。あらゆるものを駆使して、すべてをオリジナルにしているのだ。カメラに収めたギター職人のタトゥーを入れた青年や、アクセサリー・デザイナーのモヒカン青年も、物への拘りは人一倍強かった。
彼らには、若者にありがちな驕慢さは微塵も感じられない。独自の物への拘りには誇りや逞しさがあり、未来への希望を兼ね備えた、秘められた強い輝きを放っていた。そう。それこそが日本の文化を作り、江ノ島が人々を引き寄せて止まないパワーなのだと、僕は思う。

関連情報

日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを行ないます(14時30分より 30分程度)。
関連イベントは決まり次第、原美術館ウェブサイトで追ってお知らせします。

主催・協賛・後援

主催:原美術館
協賛:株式会社ニコン、株式会社ニコンイメージングジャパン
協力:株式会社写真弘社、EIZO 株式会社

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