森美術館開館10周年記念展 アウト・オブ・ダウト展-来たるべき風景のために (六本木クロッシング2013)

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会 期
20130921日 -  20140113
開催時間
10時00分 - 22時00分
火曜10:00-17:00 いずれも入館は閉館時間の30分前まで
休み
無休
入場料
有料
一般:1,500円、学生(高校・大学生):1,000円、子供(4歳-中学生):500円 *表示料金に消費税込
*本展のチケットで展望台 東京シティビューにも入館可(スカイデッキを除く)
*スカイデッキヘは別途料金がかかります
作品の販売有無
展示のみ
この情報のお問合せ
Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)
情報提供者/投稿者
開催場所
森美術館
住所
〒106-6150 東京都
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
最寄り駅
六本木
電話番号
03-5777-8600(ハローダイヤル)

詳細

展覧会内容

 「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、2004年以来開催してきたシリーズ展です。森美術館開館10周年事業の一環となる「六本木クロッシング2013」では、過去3~4年の日本のアートシーンの総覧に留まらず、今日の日本における現代美術をより大きな歴史的、社会的な文脈、あるいはグローバルに広がる国際的な美術の実践のなかでいかに位置づけ、相対化できるかを多角的に検証します。

 タイトル「アウト・オブ・ダウト」は、東日本大震災直後の制御不能でアナーキーな状態を起点に、社会的な自覚や意識が明確に高まっている今日の日本において、これまでのあらゆる社会システムや情報メディア、ひいては近代化以降の政治体制や社会通念など、既存の制度や既得権益に向けられた疑念から、いかなる生産的な議論を生み出せるかという問題提起です。英語では「疑念から生まれる何か」と「疑念の晴れた明らかな状態」という両義性を示唆します。また、サブタイトルの「来たるべき風景のために」は、中平卓馬の写真集『来たるべき言葉のために』(1970年)のタイトルに由来します。中平は世界と自身の関係性、芸術や写真のあるべき姿を鋭く問い続けてきた写真家ですが、彼にとっての「風景」は敵対すべき世界、環境、都市、あるいは制度でした。中平は「都市叛乱。それは『風景』への限りない個人的侵略である」と言っていますが、この「風景」が崩壊し、まさに疑念の対象となった今日、展覧会を通して改めてその意味を問い直したいと考えています。

 今回は「六本木クロッシング」シリーズで初めて海外から若手キュレーター、ルーベン・キーハン(クイーンズランド・アートギャラリー|ブリスベン近代美術館アジア現代美術キュレーター)とガブリエル・リッター(ダラス美術館アシスタント・キュレーター)を迎え、森美術館チーフ・キュレーターの片岡真実と3名での共同キュレーションを行います。参加作家は約30組を予定。世代的には1970~80年代生まれの作家が中心になりますが、日本を歴史的に再検証する意味で、戦後の日本美術における主要動向から、今日の視点を通していままさにアクチュアリティのある作家との対話も試みます。また、作家の活動地域も地理的な意味での日本に限定せす、あえて海外在住の日系/日本人作家も積極的に視野に入れることで、日本の文化的境界も再検証します。

 以上のような視点から、日本の現代美術を、戦後史、近代史、もしくは日本古来の自然観、グローバルな動向に照らして考察し、そこから見出されるいくつかの緩やかな文脈に則して参加作家は選ばれています。

1)社会的、歴史的文脈の再訪
 今日、改めて社会を支える価値観や個人による社会への介在や関与が問われるなか、戦後の復興期から1960~70年代の高度経済成長期、そして1990年代以降のグローバル化時代への転換期において、日本社会の大きな変革や変遷の光と関が美術的な実践にいかに反映されてきたか、その歴史的、政治的文脈へ向けられた視点を探ります。1950年代のルポルタージュ絵画から1990年代のグローバル経済への批評を経て、今日の作家がいかに現代と過去の対話を試みているのかを探ります。さらには、美術史的な文脈のなかでも世代を超えた作家同士の対話を試みます。

2)ナンセンス
 今日の日本の大衆文化を牽引してきた近代の退廃的、反抗的精神に裏付けられるナンセンスの系譜にも注目します。それは、上記の歴史的、政治的文脈に向けられた婉曲的な批判精神でもありますが、1930年代の「エロ・グロ・ナンセンス」、1960年代の前衛美術などに見られる滑稽さや不条理さが大衆に働きかけたように、共有された価値の転換方法の今日的有効性を問います。

3)日本の自然観と不可視のエネルギー
 震災以降、特に福島原発問題は、合理性や経済優先に裏付けられた進歩主義的な価値観の無効性を明らかにしましたが、同時に、日本古来の自然観や宗教観に裏付けられた不可視の世界への意識も覚醒させたと言えるでしょう。それはまた、対抗するエネルギー同士の均衡を探る一元論的な世界観でもあり、日本やアジアが今日まさに世界に提示できる価値観でもあります。この視点を、1960年代後半以降に見られた「もの派」の動向、今日に継承された芸術の技巧的・工芸的側面、彫刻表現にみる流動性などを通して再考します。

4)ポスト・オブジェクト
 作品の非物質的、非固定的価値への注目は、近年のグローバルなアートシーンにおけるパフォーマティブな実践、ポスト・オブジェクトとしての表現とも呼応しています。「もの派」や「具体」に向けられた国際的な注目もこの潮流と無関係ではないでしょう。また、日本以外に拠点を置く作家の実践と日本国内で見られる潮流の相対化も、このような視点から検証でぎるのではないかと考えます。また、プロセスと成果物、視覚表現とパフォーマティビティ、再演性や再制作の有効性といった議論にも意識を向けていきます。

 これらはいずれも各参加作家の実践において複雑に絡み合い、桔抗した状態で内包されています。したがって、選ばれた作家はいずれかの視点を代表するものとして分類されるのではなく、むしろ実際の展示空間のなかでそれぞれの表現が空間的、視覚的、概念的な対話を生むように配置されます。

 2003年の森美術館関館から10年。激変する世界の政治的、社会的、経済的なポジションや関係性のなかで「日本の現代美術」がいまどこに在って、これからの10年、20年に何が求められているのか。「アウト・オブ・ダウト展――来たるべき風景のために」が、改めて日本の現代美術の様相を浮き彫りにし、未来へつながる議論の何らかのプラットホームとなることを願っています。

■出展アーティスト(予定)※アーティスト・グループ名/姓/アルファベットの順

赤瀬川原平、アキラ・アキラ、新井 卓、荒川 医+南川史門、朝海陽子、干葉正也、遠藤一郎、サイモン・フジワラ
岩田草平×プロマイノリティ、泉太郎、金氏徹平、風間サチコ、小林史子、小泉明郎、満田晴穂、森干裕、中平卓馬
中村 宏、中村裕太、丹羽良徳、奥村雄樹、流井幸治、笹本 晃、下道基行、菅 木志雄、田島美加、高坂正人、柳幸典

主催・協賛・後援

主催:森美術館
企画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター) ルーベン・キーハン(クイーンズランド・アートギャラリー|ブリスベン近代美術館アジア現代美術キュレーター) ガブリエル・リッター(ダラス美術館アシスタント・キュレーター)

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