松下誠子「窓枠の叛乱」展

  • 印刷する
  • add calendar
  • clip-off
会 期
20241221日 -  20250131
開催時間
10時00分 - 18時00分
休み
月曜日,火曜日
2025年1月1日、2日
入場料
無料
展覧会の撮影
この情報のお問合せ
TEL:03-6279-0049 
info@fuji-gs.jp
担当:谷村
イベントURL
情報提供者/投稿者
開催場所
フジギャラリー新宿
住所
〒160-0023 東京都
新宿区西新宿6-6-2 ヒルトン東京地下1階 ヒルトピアショッピングアーケード内
最寄り駅
新宿駅
電話番号
03-6279-0049

詳細

参加クリエイター

展覧会内容

西新宿のヒルトン東京 地下1階に位置するフジギャラリー新宿では、本年2月の松下誠子「中庭の束縛」展に続き、2度目となる同アーティストの「窓枠の叛乱」展を2024年12月21日(土)より2025年1月31日(金)まで開催いたします。「中庭の束縛」展は長い制作活動の中で描いた未発表のドローイング作品とビデオ作品、今回の「窓枠の叛乱」展ではインスタレーションと2枚のパラフィン紙を用いたドローイング作品を展示いたします。2回の展覧会は、フェミニズムアーティストとしてカテゴライズされることの多いアーティストの過去から未来への軌跡を追うものです。

根強く残る固定観念や閉塞感に満ちた社会に生き、自身が抱える苦悩や葛藤にあらがいながら生きる女性たち。松下誠子はそんな社会と女性たちを1990年代よりインスタレーション、絵画、立体、写真、パフォーマンス、アニメーションなど様々な表現方法を用いて表現してきました。初期の鉄やコンクリートといった重厚で硬質な素材を用いたインスタレーションは、社会的抑圧や制度的な問題を鋭く問いかけ、近年の作品では、鳥の羽根、ワックス、フェルト、パラフィン紙といった軽やかで繊細な素材を駆使し、より内面的かつ心理的な領域に焦点を移しています。この素材の変遷は、彼女が外部の構造的なテーマから個人の内的な感覚や存在の深層へと向き合うようになってきたことの表れであり、常に時代や社会との関係性を再考している姿勢であると考えます。

今回の展覧会の象徴である「窓枠」は、風景を切り取るとともに「内側」と「外側」の境界でありながら、両者を繋げる役割も果たしています。その「窓枠」が失われた時、私たちはむき出しの内と外の世界を目の当たりにし、これまでの漠然とした安心感は消え、当たり前だった風景も異なって見えるのではないでしょうか。同展覧会では、存在していたはずのフレームを取り除き、脆く繊細な2枚のパラフィン紙に描いたテーマの異なるドローイングを重ねることで、ようやく一つの風景(作品)が成立しています。ところが、重なっているがために2枚目の絵はうっすらとしか見ることができません。それはまるで多層的であるがためにそれぞの要素が見えにくくなっている昨今の状況を彷彿とさせるかのようです。

【アーティスト・ステートメント】
展覧会を二度に分けて展示をするプログラムとなり、「窓枠の叛乱」はその2回目にあたる。1回目にあたる展示「中庭の束縛」は、未発表のまま長年眠っているドローイングの展示であった。すでに描き終えてしまった作品と向かい合うことは、主観的な愛着よりも時間の針が振幅して棘にもなりかねないので、自分の中に出口のない「中庭」を作り束縛の塀を張り巡らした。そうした対面の作業から余剰が生まれれば、「中庭」から外界に繋がる通路への扉を作ることが出来るのではないかと考えた。幸いにして余剰が生まれたが、唐突に窓を構成する四本の枠がばらばらと舞い降りてくるイメージにおそわれた。このばらばらになった窓枠は、まるで「ニーチェの馬」のように役割を投げ出したのだ。今の、この世界の許しがたい状況下で何も出来ない私が発狂する前に、まるで身代わりのように、窓枠が叛乱を起こしたかのようだ。

これは絶望だろうか、それとも新しさへの誘惑なのか。

もし新しさへの誘惑が少しでもあるとすれば、窓には絵画のフレームのような眼差しをもっているからだ。扉は出入り自由だが、窓は複雑な「目」のように境界線的な存在でもある。

時折、私の 脳裏には窓全体が図になるものを何も持たず、地となる平べったい空だけの風景が浮かぶ。風が運ぶ汽笛の音や鋭い野鳥の声、囚人が逃げた夜のヒステリックな警報の音が図となることもあるし、窓枠の隅に雪の吹き溜まりを見つけることもあったが、刻々と色を変えていつしか暗闇になっていく風景を飽きることなく眺め続けた日々がある。それは終焉ではなくいつか来る新しさへの誘惑ではなかったのか。今、私はその誘惑に身を任せてみることで、過去を歩きながら実に向かう図の風景を描き写す試みをしてみようと思う。

松下誠子

平均:0.0 
レビューした人:0 人

近くの展覧会

人気の展覧会

<<        >>

クリップした展覧会はありません。